昨日はマーケットの材料のない中、注目はトランプ大統領のスピーチだけだった。期待はあまりされていなかった。なぜならば成果があるならば、いち早くツイッターなどでつぶやいているはずだからだ。
それでも市場はそれ向けて期待感だけが高まり、株価は上昇。東京クローズ間際で日本株が急上昇したのと同様の理由で、米国株も持ち上がった。S&P先物は史上最高値を更新してきて、3102ポイントまで吹き上がった。
トランプ大統領の発言内容には目新しい物は何もなかった。中国との交渉はうまくいっているといいながらも、進展がなければ追加関税を課すとした。これでは部分的であっても合意するつもりがあるのかどうかも疑わしくなる。肝心の香港に絡んだ人権問題にはいっさい触れていない。
対EUの関税は6ヶ月ほど先送りになるとの見込みがあるにも関わらず、依然としてEUの貿易政策に関しては厳しい口調で臨んでいる。ともあれ内容にフレッシュ味がないということで、時間はかかったが不必要なまでのリスクテークの流れは収まった。
ドル円もアジア時間からトランプ待ちの様子が続いて、ずっと109円台をキープ。そしてトランプ発言が終わった頃から、ややオファーが下がってきたという感じとなった。ドル円は108円台に突入したりするものの、ベースとしては小動き。値動きだけから判断すると、トランプ大統領はマーケットにあまり影響を与えなかったということになる。
ちょっと目立ったのはユーロの下げである。大きな下落ということではないが、ユーロドルもユーロ円もひたすら下げる一方となった。ユーロ円も120円の大台を割り込んだりしている。
今日になって昨日のリスクテーク分の解消が先行している。日本株も下がってきたがマイナス材料があったわけではなく、昨日の期待が剥がれ落ちただけであろう。ドル円もやや下攻めしているようにも見えるが、108円台にはブルに転じた連中の押し目買いもぎっしりと入っているようだ。
今晩も大きなイベントはないのだが、パウエル議長のトークが予定されている。そこからも目新しいことが出てくるとは考えられないが、ひょっとしたら利下げの打ち止め感を示唆するようなことも飛び出してくるかもしれない。そうなるとドル買いに弾みがつくことになり、ユーロドルなどは一気に1.08台まで進んでしまうかもしれない。しかしそれは可能性としては決して高くはなさそう。
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