■カネ余り相場で、NYダウは2万8000ドル乗せ
米国株が強いですね。NYダウは先週(11月11日~)も史上最高値を更新、2万8000ドルへ乗せてきました。
(出所:Bloomberg)
先週(11月11日公開分)も話したように「隠れQE(量的緩和策)」が効いているということですね。
アベノミクスで株高とともに円安が進んだように、QEは通貨の劣化を招きます。NYダウが上がっても、米ドルの劣化で米ドル/円は膠着せざるを得ないのでしょう。
【参考記事】
●米ドル/円は109.50円と110円に2段構えのバリア!? 抜けないなら手前で戻り売りか(11月11日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:TradingView)
ところが、下がったら下がったで本邦勢の買いが待っているのか、膠着ですね。
NYダウがここまで上がれば本来、豪ドル/円がもっと上がっているはずですが、先週(11月11日~)は下落しています。
米国株とクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)、米ドル/円の相関性に変化が生じているのかもしれませんね。
(出所:TradingView)
今の株高は欧米のQEによるカネ余りの過剰流動性相場ということなのかもしれませんね。FRB(米連邦準備制度理事会)の隠れQEは少なくとも2020年の第2四半期まで継続するとされています。
株価がそこまで持つかというとクエスチョンですね。今週(11月18日~)、来週(11月25日~)に下がるというわけではなくとも、長期的に株高が続くイメージもありません。
■全体的に米ドル安が進んでいる
今月(11月)からQEを開始したユーロ圏では先週(11月11日~)、中銀関係者からタカ派的な発言が相次ぎました。ドイツ財務相は財政出動に否定的な発言もしています。
背景にあるのはリセッション(景気後退)入りが懸念されていたドイツGDPが持ち直したことなのでしょうか。底打ちとまではいいませんが、ユーロは強いですね。
ユーロ高というより、全体的に米ドル安が進んでいるのだと考えています。主要通貨と米ドルの値動きを過去5営業日で見ると、豪ドル以外の全通貨で米ドル安が進んでいます。
中でも先週(11月11日~)、上昇したのが政策金利が発表されたNZドル。利下げの織り込みが高まっていましたが、金利据え置きとなったことで買われています。
一方で、ユーロはドイツ銀行への懸念も根強く、円に代わる「ファンディング・カレンシー」(調達通貨)ともなりつつあり、ユーロ/米ドルは上がったとしても上値余地は限られるのかもしれません。
【参考記事】
●米ドル/円は2段構えのバリアが上値阻む! 狭いレンジで推移後、108.50円割れか?(11月14日、西原宏一)
(出所:TradingView)
■英総選挙は保守党勝利の流れが強まるか
英国では、12月12日(木)の総選挙へ向けて保守党の立候補者全員がジョンソン首相の離脱合意案に賛成するとの誓約書に署名したそうです。総選挙で保守党が勝利すれば、合意ある離脱となる可能性が高まりますね。
【参考記事】
●12月の英総選挙は事実上の再国民投票!? 合意ある離脱なら英ポンドは1.40ドル台へ(10月31日、西原宏一)
上昇ストーリーが描きやすいですね。英ポンド/米ドルは、保守党勝利の流れが強まれば1.30ドルから1.35ドルへと向かっていくのでしょう。
一方、ニュージーランドは今回こそ金利据え置きだったとはいえ、NZ中銀は「来年(2020年)2月に再び行動する可能性」があるとしており、不透明感が残ります。
(出所:TradingView)
■OPEC総会に向けて減産協議に注目集まる
コモディティ(商品)市場では、WTI原油が先週(11月11日~)、上昇しました。
(出所:Bloomberg)
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IEA(国際エネルギー機関)の月報で「来年(2020年)は供給過多の縮小が見込まれている」との見通しが示されたことが要因のひとつですが、12月5日(木)にはOPEC(石油輸出国機構)総会が控えています。総会へ向けて追加減産協議への注目が高まりそうです。
イランやイラクでもデモが起きているようですが、香港のデモも続いています。先週(11月11日~)末にはついに人民解放軍が出動。道路をふさぐがれきを撤去するためですが、波紋を呼んでいます。
今は局所的な影響にとどまっていますが、リスクオフ要因であることはたしかで、ここからも米国株の上昇が長期的に続く感じはしません。
今週(11月18日~)の戦略はどう考えますか?
米ドル/円は円高方向だろうと思いますが、小幅な値動きにとどまっており、効率が悪い。
総選挙へ向けた上昇に期待して、英ポンド/米ドルの押し目買いでいいのではないでしょうか。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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