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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

12月の英総選挙は事実上の再国民投票!?
合意ある離脱なら英ポンドは1.40ドル台へ

2019年10月31日(木)12:34公開 (2019年10月31日(木)12:34更新)
西原宏一

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■12月12日に英国総選挙を実施へ

 みなさん、こんにちは。

 10月29日(火)、ボリス・ジョンソン首相は「EU離脱を実現する方法はただひとつ、議会を刷新し、国民に選択肢を与えることだ」とし、12月に総選挙を行う法案を提出。

 そして英下院は、ジョンソン首相が提出した12月12日(木)に総選挙を実施する法案を賛成438、反対20の賛成多数で可決しました。

【参考記事】
【ブレグジット】12月12日に英総選挙。2020年1月の離脱がメインシナリオに

12月に総選挙を行う法案を提案したボリス・ジョンソン首相。英下院は賛成多数で可決し、12月12日に総選挙が行われることに (C)Justin Sullivan/Getty Images

12月に総選挙を行う法案を提出したボリス・ジョンソン首相。英下院は賛成多数で可決し、12月12日に総選挙が行われることに (C)Justin Sullivan/Getty Images

 前例のない政治的混乱の中で、過去4年半で3回目となる総選挙。

 この状況で行われる総選挙は、ブレグジットを有権者に問う事実上の「再国民投票」という位置付けと見られ、速やかな離脱、あるいはEU(欧州連合)残留を掲げる政党のどちらを支持するかを、有権者が選択できる最後のチャンスになるとのコメントが多数。

■総選挙実施で、合意なき離脱の可能性がほぼ消滅

 もともと、この総選挙は、フランスが3度目の延期を3カ月確保するのに要求した条件だっと言われていますので、その条件が整ったということになります。

 結果として、ボリス・ジョンソン首相は「合意なき離脱」を回避したリーダーとも言え、彼の手腕に対する評価は上々

 口では「合意なき離脱」も辞さずと言っていたのですが、結果的には合意なき離脱を回避した彼の政治手腕は、かなり巧妙です。

【参考記事】
合意なきEU離脱と英ポンド暴落懸念は、ほぼ消滅か。ブレグジットは新局面へ…(10月24日、西原宏一)

 総選挙の実施ということは、合意なき離脱の可能性がほぼ消滅したことを意味します。

 つまり、合意なき離脱による英ポンド/米ドルの暴落リスクもなくなったわけですので、本校執筆時点の英ポンド/米ドルは1.2900ドルレベルで堅調に推移しています。

英ポンド/米ドル 1時間足
英ポンド/米ドル 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 1時間足

■ボリス・ジョンソン首相は総選挙で勝てるのか?

 現在、ボリス・ジョンソン首相は、総選挙で勝利し、議会審議の行き詰まりの打開を目指しています。

 では、ジョンソン首相は、総選挙で本当に勝てるのか?

 世論調査会社YouGovの調査によれば、ジョンソン首相が率いる保守党の現在の支持率は37%で、労働党の22%を上回っており、総選挙で勝利する可能性が高いというのがマーケットのコンセンサスのようです。

【参考記事】
【ブレグジット】12月12日に英総選挙。2020年1月の離脱がメインシナリオに

政党別支持率
政党別支持率

※最新データ調査日は2019年10月24日~25日
(出所:YouGov)

■12月12日総選挙実施の法案は、なぜ通った?

 ではここで、今回、12月12日(木)に総選挙を実施する法案が、なぜ通ったのかを確認してみます。

 これは、労働党のジェレミー・コービン党首が、これまでの姿勢を一転させ、10月29日(火)の下院での採決で、「労働党は総選挙実施を支持する」と述べたことが要因となっています。

 では、なぜ労働党は、一転して支持に回ったのか?

 もともと、総選挙はフランスが3度目の延期を3カ月確保するのに要求した条件だったこと。そして、コービン党首も、「合意なき離脱を避けられれば、総選挙を必ず支持する」と言っていたためです。

 ただ、これで、労働党にとっては不利な状況で総選挙をする、という方向に追い込まれたことになります。

 視点を変えれば、これまでジョンソン首相が行ってきた事柄は極めて高度な政治力によるものであり、その政治力によって労働党は、じわじわと追い込まれたともいえます。

 こうしたことから、ジョンソン首相は、就任当初の「ただ暴言を吐くだけの首相」というイメージから、随分、印象が改善しているようです。

【参考記事】
英ポンド大混乱か。合意なき離脱の高まりがEU離脱取り止めの可能性を高める!?(8月22日、西原宏一)

就任当初の「ただ暴言を吐くだけの首相」というイメージからはずいぶん印象が変わったというジョンソン首相。写真は首相就任時、首相官邸に到着したときのもの (C)WPA Pool/Getty Images News

就任当初の「ただ暴言を吐くだけの首相」というイメージからは、随分、印象が改善したと言われるジョンソン首相(左)。写真は首相就任時、首相官邸に到着したときのもの (C)WPA Pool/Getty Images News

 とはいえ、2016年の国民投票では「ブレグジット」というまさかの結果となったことも記憶に新しいため、今回もジョンソン首相が必ず勝てるとは限りません。

 しかし、前述のように、現時点では、2020年1月末までという新しい離脱期限までに英国はEUを離脱するという公算が高まっています。

■英ポンド/米ドルは1.40ドル台を目指す過程に

 10月末までのブレグジット、というジョンソン首相の公約は果たされなかったことから、当面、1.30ドル台を固めるのに時間はかかるのでしょうが、来年(2020年)早々のブレグジットの可能性はさらに高まったため、英ポンド/米ドルの上値余地は拡大したまま

英ポンド/米ドル 週足
英ポンド/米ドル 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 週足

前回のコラムのとおり、合意ある離脱の実現なら、英ポンド/米ドルは1.40ドル台へと反発するという意見も出てきており、先週(10月21日~)に引き続き、新たな局面に入ったブレグジットと英ポンド/米ドルの行方に注目です。

【参考記事】
合意なきEU離脱と英ポンド暴落懸念は、ほぼ消滅か。ブレグジットは新局面へ…(10月24日、西原宏一)


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