■NYダウの史上最高値更新で、米ドル/円は攻めたが…
みなさん、こんにちは。
今月(11月)に入ってからの米ドル/円は、底堅い展開が続いており、何度か109.50円を攻める展開。

(出所:TradingView)
米ドル/円が底堅い要因は、まず、米中貿易協議の部分合意期待。
そして、もっとも影響を及ぼしているのが、NYダウが史上最高値更新を続けるなど、好調な米国株。

(出所:Bloomberg)
その米国株が堅調な理由としては、「隠れQEでバブルへGO!」という解説が目立ちます。
【参考記事】
●米ドル/円は109.50円と110円に2段構えのバリア!? 抜けないなら手前で戻り売りか(11月11日、西原宏一&大橋ひろこ)
FRB(米連邦準備制度理事会)は、10月中旬以降に月600億ドルの短期国債の購入を開始し、これを少なくとも2020年の第2四半期まで継続すると発表しました。
結果、FRBのバランスシートは拡大。
ただ、パウエルFRB議長は、これは「量的緩和ではない」とコメント。
しかし、市場に流動性を供給していることは確かなので、マーケットではこれを、「隠れQE(量的緩和策)」と呼んでいます。
この「隠れQE」がバブルを延命する形で、米国株は急騰しないまでも、静かに最高値を更新。
そして、米国株の上昇がリスクオンとみなされ、マーケットは米ドル/円を109円台ミドルまで押し上げます。

(出所:TradingView)
しかし、「隠れQE」は米ドル安要因でもあるため、株上昇による米ドル/円の上昇も限定的です。
■2段構えのバリアオプションが、米ドル/円の上昇を阻む
さらに、米ドル/円の上値を抑えているのが、バリアオプション。
マーケット関係者によれば、米ドル/円の109.50円と110.00円には、まとまったバリアオプションが設定されているとのこと。
【参考記事】
●米ドル/円は109.50円と110円に2段構えのバリア!? 抜けないなら手前で戻り売りか(11月11日、西原宏一&大橋ひろこ)
そのため、米ドル/円は、どうしても109.50円のバリアオプションが超えられず、高値は109.49円止まり。

(出所:TradingView)
そして、11月13日(水)のNY市場では、ウォールストリート・ジャーナルの「米中、農産物の購入巡り協議が難航」との報道で、一時、米ドル/円は108.66円まで下落しました。
米中、農産物の購入巡り協議が難航-WSJ
米国と中国の通商協議は、農産物の購入を巡り困難な状況に直面していると、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が事情に詳しい複数の関係者の話として報じた。
出所:Bloomberg
米ドル/円を108円台ミドルでサポートしているのが、本邦機関投資家の米ドル買い注文だと言われています。
結果、米ドル/円は108.50円と109.50円のレンジの中でスタック。
繰り返しますが、「隠れQE」は米国株の延命を誘引しますが、米ドル安要因でもあります。そして、109.50円と110.00円のバリアオプションに阻まれ、米ドル/円の上値は限定的です。そうなると、狭いレンジでの往来の後、ブレイクするのは108.50円ではないでしょうか?

(出所:TradingView)
■NZ中銀が緩和合戦離脱! NZドルは上昇トレンドに
一方、今週(11月11日~)、マーケットの注目を集めたのがNZドル。
11月13日(水)日本時間10時に、RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])の金融政策決定会合の結果が発表されました。
結果は、市場の大方の予想に反して、政策金利を据え置き。

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)
もともと、今回のRBNZに関しては、利下げと据え置きで見方が分かれていました。
しかし、11月6日(水)発表のNZ第3四半期雇用統計が弱い結果に終わったこと。加えて、11月12日(火)のNZ中銀四半期インフレ見通し発表で、見通しの引き下げが行われたことなどの材料が重なり、発表直前のOIS(Overnight Index Swap、翌日物金利スワップ)での利下げ織り込み度は、72.3%まで高まっていました。
ところが、結果は据え置き。
NZドル/米ドルは0.6330ドル台レベルから、一気に0.6400ドル台まで急騰。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/米ドル 4時間足)
RBNZは、今後の金融政策についてはデータ次第と強調しているため、いずれ利下げせざるを得ないと見る市場参加者が多いのですが、IMM(国際通貨先物市場)のポジションは、まだNZドルはショートに片寄っていることもあり、RBNZが緩和合戦から離脱したNZドルは、上昇トレンドに。
こうしたNZドルの動向にも注目です。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
最後にもう一度、米ドル/円についても触れておきます。
お伝えしたとおり、米国株の堅調さを背景に、じり高に推移してきた米ドル/円ですが、109.50円と110.00円の2段構えのバリアオプションがレジスタンスとなり、反落しています。
「隠れQE」による米国株のバブル延命がウワサされていますが、110円を回復できずに反落してきた米ドル/円の行方に、引き続き、注目です。
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