■中東情勢鎮静化はイランの自滅か、トランプの外交手腕か
「第3次世界大戦」、「第2次湾岸戦争」といった言葉が躍った中東情勢ですが、イランがウクライナ機の誤射を認めたことで急速に沈静化しました。
カナダのトルドー首相が墜落直後からイランによる撃墜だと指摘していたように、ごまかしようがなかったんでしょうね。
【参考記事】
●第3次世界大戦の危機!? 今はイラン情勢がすべて。ドル/円や豪ドル/円は戻り売りか(1月6日、西原宏一&大橋ひろこ)
誤射を認めさせたのは、トランプ政権の外交努力もあったのかもしれません。対イランの戦争を米世論は支持していないですから、泥沼化すれば再選に赤信号が灯る事態をうまくまとめあげたともいえます。
【参考記事】
●イランと米国による戦争回避で株価反発! リスクオフ沈静化で豪ドル買いに妙味!?(1月9日、西原宏一)
証拠もそろっていましたし、イランの自滅でもありますよね。日経平均はイランのミサイル攻撃で開けた窓を埋めて上昇しています。
(出所:Bloomberg)
全戻し以上の上昇で、前回指摘した「アイランドリバーサル」も否定され、テクニカル面からは売る理由がなくなっています。あらためて株式市場の強さを認識しました。
【参考記事】
●第3次世界大戦の危機!? 今はイラン情勢がすべて。ドル/円や豪ドル/円は戻り売りか(1月6日、西原宏一&大橋ひろこ)
■米ドル/円は110円にバリアオプション&輸出の売り
株高を支えている「隠れQE(量的緩和)」ですが、気になるのはFRB(米連邦準備制度委員会)のバランスシートが先週(1月6日~)、縮小していること。
バランスシート拡大が株高の一因だとの指摘も多い中、縮小が明白になってくると株式市場にはネガティブですね。
少なくとも、今年(2020年)第2四半期までは行なうとしているので、今すぐ止めることはないのでしょう。隠れQEが続くかぎり、株式市場は底堅いのかなと思います。
(出所:Bloomberg)
日経平均が上げているのに対して、米ドル/円は重い。109.50円を明確に抜けられないですね。
(出所:Trading View)
米ドル/円の110円にはバリアオプションがあり、大手輸出企業のまとまった売り注文も控えているようです。株価が上昇すれば、米ドル/円も多少は上がるのでしょうが、強いトレンドは期待できそうもありません。
■動かない米ドル/円から投資家は離脱
BIS(国際決済銀行)の調査によると、主要通貨ペアのなかで米ドル/円だけは取引量が低下しているそうです。これだけ動かないと「米ドル/円離れ」がますます進みますね。
以前にも指摘しているように、アベノミクスのような円側の材料が出ないと大きく動けない。米ドル/円は、107円から112円程度のレンジが続くのでしょう。
【参考記事】
●2大米銀の2020年為替予想は米ドル安! 米大統領選挙は波乱要因になるのか?(2019年12月26日、西原宏一)
(出所:Trading View)
イラン情勢が落ち着くとともに、原油価格も急落。WTI原油は中期レンジの上限で上ヒゲをつくって上昇トレンド形成に失敗したように見えます。
金(ゴールド)も同様に上ヒゲをつけましたが、こちらは高値圏でもみ合い。下がったところを買いたい向きも多いようです。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
今週(1月13日~)のイベントを見ると、15日(水)には米中通商協議第1弾の合意署名が控えています。
直前でキャンセルとなる可能性もゼロではないのでしょうが、相場に対する影響度は低下しています。また、トランプ大統領に対する弾劾決議案が上院に送付される予定ですが、無罪となるのは確実でしょう。
【参考記事】
●2大イベント終了で利益確定の動き加速!? トランプ大統領の弾劾裁判の影響は…?(2019年12月19日、西原宏一)
■「イラン、米中、弾劾」、3つのリスクがそろって払拭へ
1月14日(火)に米CPI(消費者物価指数)、16日(木)には米小売売上高と物価関連の指標が発表されます。絶好調だった11月に比べると先週、1月10日(金)発表の12月分雇用統計は弱さも見え隠れしました。米景気の先行きを見る上で注目しておきたいですね。
1月の米雇用統計が終わると、いよいよ新しい1年の相場が始まるという感じ。今週(1月13日~)の動きは重要です。
今週(1月13日~)の戦略はどう考えますか?
昨年(2019年)から続く「イラン、米中、弾劾」の3つのリスク材料がそろって払拭されつつあります。
株式市場は上値が軽くなるのでしょうし、リスクオンが続くのであれば、豪ドル/円の押し目買いでいいのではないでしょうか。
【参考記事】
●イランと米国による戦争回避で株価反発! リスクオフ沈静化で豪ドル買いに妙味!?(1月9日、西原宏一)
(出所:Trading View)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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