■今年最後の2大ビッグイベントが終了
みなさん、こんにちは。
先週(12月16日~)は、今年(2019年)最後のビッグイベントでマーケットは活気づきました。
【参考記事】
●クリスマス前のセル・ザ・ファクトに注意。ユーロ/米ドルに、上昇の可能性あり!?(12月16日、西原宏一&大橋ひろこ)
まず、米中貿易協議のフェーズ1。
期限である12月15日(日)の数日前には、何らかの発表があるだろうと想定されていましたが、米中貿易協議のフェーズ1の合意が発表されたのは日本時間12月13日(金)未明。
つまり、英総選挙結果と重なる時間帯となり、マーケットは一時パニック状態に…。
12月10日(火)~11日(水)に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果を受け、108円台ミドルに下落していた米ドル/円は、一気に109円台ミドルに上昇。

(出所:TradingView)
そして、注目の英総選挙は、保守党の勝利という結果に。
前回のコラムでご紹介させていただいたマジョリティは、なんと「80」という大勝利!
【参考記事】
●英総選挙に注目! 保守党の単独過半数は? 英ポンドは1.35ドル、1.40ドルへ続伸なるか(12月12日、西原宏一)
この結果を受け、英ポンド/米ドルは、一時1.3514ドルまで急騰。
しかし、今週(12月16日~)に入り、英ポンド/米ドルは、12月13日(金)に急騰した値幅をすべて失って反落しました。

(出所:TradingView)
■英ポンド急落のきっかけ「クリフエッジブレグジット」とは?
英ポンド下落のきっかけになったのが、クリフエッジブレグジット(崖っぷちの離脱)。
フォンデアライエンEU(欧州連合)委員長が、EU離脱後の移行期間が終了する2020年末までに英国と貿易合意できなければ、崖っぷちに立つことになる、つまり、クリフエッジブレグジットはEU以上に英国に悪影響を与えると発言したことで、英ポンド/米ドルは利益確定の売りも入り、400pips以上急落。
しかし、クリフエッジブレグジットについてですが、仮に英国が移行期間を延長しないことを法制化したとしても、ブレグジットに関してはあまり関係がありません。
たとえば、英国内法は、2019年1月21日(月)を合意なき離脱回避の期限と定めましたが、実際、当日(1月21日)になってそんな声は一切聞かれず、結局、延長されました。
こうしたことは、ジョンソン首相の交渉術の1つだと認識しています。
この英ポンド/米ドルの急落は、クリスマス休暇を控え、2大イベントが終わったことによる利益確定の動きが加速したと考えています。
つまり、「セル・ザ・ファクト」。

(出所:TradingView)
このセル・ザ・ファクトの動きを警戒する向きは多かったのですが、短期間で400pips以上の急落を見せたのは、英ポンド/米ドルマーケットが、ガンマショート(※)になっていたため、短期的に売りが加速したからでしょう。
(※編集部注:「ガンマショート」とは、オプションを売り持ちしていること)
【参考記事】
●【オプションFX】のスプレッドが大幅縮小! プロがやってるガンマトレードを個人もできる
■トランプ大統領の弾劾訴追決議案が米下院で可決
では、英ポンド以外にも、セル・ザ・ファクトの動きは出ないのでしょうか?
想定されるマーケットの筆頭は、今年(2019年)後半、上昇を続けている米国株。
しかし、米株市場は、今週(12月16日~)に入っても調整局面はなく、高値圏での推移が続いています。

(出所:Bloomberg)
それは、トランプ大統領の弾劾訴追をめぐる下院の動きが意識されているからと言われていました。
そのトランプ大統領の弾劾訴追ですが、米下院は12月18日(水)の本会議で、トランプ大統領のウクライナ疑惑を巡る弾劾訴追の決議案を野党・民主党の賛成多数で可決。
トランプ大統領は、弾劾された米大統領としての汚名を、歴史に刻むことになりました。

この米政治史に残る弾劾手続きの舞台は、与党・共和党が多数派の上院に移り、来年(2020年)1月上旬にも弾劾裁判が始まる見通しです。
■弾劾裁判で、トランプ大統領の有罪はほぼない
しかし、来年(2020年)実施される弾劾裁判で、トランプ大統領が有罪となる可能性はほぼありませんので、民主党のやっていることは、いまひとつ釈然としないところ。

米下院の決議案可決を受け、弾劾裁判を受けることが決定したトランプ大統領。ただ、有罪になる可能性はほとんどないという (C)Mark Wilson/Getty Images
ペロシ下院議長は当初から、今回のトランプ大統領の弾劾手続きに関しては否定的でしたが、AOC(アレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員)を筆頭とした若手に突き上げられて、やると決めたという展開なのでしょう。
マーケット参加者の一部は、今回の弾劾劇を民主党の茶番と一蹴していますが、下院で「米国の大統領が弾劾される」ことは重大なことであることは変わりません。
トランプ大統領の弾劾訴追の決議案が可決されたのが、本稿執筆時点での午前中でした。しかし、その後のマーケットの反応はほとんどなく、日経平均が70円程度下落したのみです。

(出所:Bloomberg)
ただ、この弾劾の影響は、今週(12月16日~)の米国株市場の動きを確認したいところ。
仮に米国株が反落するようであれば、12月の主要イベントをすべて終えて、英ポンド/米ドル同様、米ドル/円もセル・ザ・ファクトによる利益確定の動きになるということになります。

(出所:TradingView)
そして、来年(2020年)は米大統領選を控えています。
隠れQE(量的緩和策)を背景に、来年(2020年)の米国株は底堅く推移すると想定されています。
ただし、来週(12月23日~)前半、欧米勢はクリスマス休暇に入る時期です。欧米勢が戻ってくるのは、12月26日(木)以降。このことも頭に入れておく必要があるでしょう。
次回で、このコラムも年内最後です。
それでは、We Wish You a Merry Christmas!
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