明けましておめでとうございます。
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■2020年はイランVS米国によるリスクオフでスタート
さて、2019年は、米中貿易協議で金融市場は乱高下しましたが、年後半は米国株が最高値を更新し、リスクオンの環境下で終了しました。
【参考記事】
●2大イベント終了で利益確定の動き加速!? トランプ大統領の弾劾裁判の影響は…?(2019年12月19日、西原宏一)
しかし、2020年は再び波乱のスタート。
金融市場が神経質な展開となったのは、中東情勢です。
1月2日(木)、米国はイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したと発表。
【参考記事】
●第3次世界大戦の危機!? 今はイラン情勢がすべて。ドル/円や豪ドル/円は戻り売りか(1月6日、西原宏一&大橋ひろこ)
これをきっかけに、2020年はイランと米国の対立によるリスクオフ相場でスタートしました。
殺害されたソレイマニ司令官は、イランでは「影の司令官」とも呼ばれる大物だったそうです。
【参考記事】
●ソレイマニ司令官暗殺で中東情勢緊迫化! トルコリラの2つのリスクシナリオとは?(1月8日、エミン・ユルマズ)
ソレイマニ司令官殺害について、トランプ大統領は、「戦争をやめるためであって、戦争をしかけたわけではない」と説明しています。
なぜなら、米国が戦争を宣言するには、議会の承認が必要だからです。
現在、多くの米国民はイランとの戦争を望んでおらず、仮にイランとの戦争に発展すれば、トランプ大統領の再選は、まず、ありません。

トランプ大統領はソレイマニ司令官殺害について、「戦争をやめるためであってしかけたわけではない」と説明した (C)Mark Wilson/Getty Images
そんな、米政府の思惑とは裏腹に、イラクの米大使館付近や米軍基地が砲撃され、また、イラン政府は「もはや核開発に制限はない」と宣言したため、マーケットは混乱。
「#ww3」(第3次世界大戦)のハッシュタグがツイッターで流行っているように、今週(1月6日~)の金融市場は緊張感が極度に高まっていました。
【参考記事】
●第3次世界大戦の危機!? 今はイラン情勢がすべて。ドル/円や豪ドル/円は戻り売りか(1月6日、西原宏一&大橋ひろこ)
■戦争回避で、急速なリスクオフは沈静化
そんな環境下で、1月8日(水)には、イランが米軍が駐留するイラクのアル・アサド基地にロケット弾数発を発射し、「殉教者ソレイマニ」作戦を開始。
マーケットは、米国側の報復に備えて急速にリスクオフに傾斜し、円は全面高となりました。
米ドル/円は、一時107.65円、リスクアセット通貨の豪ドル/円は、一時73.76円まで急落。

(出所:Trading View)

(出所:Trading View)
混乱の中、マーケットは、トランプ大統領の声明を待つことに…。
注目のトランプ米大統領の声明では、まず、イラクの米軍駐留基地に対するイランの攻撃で負傷した米国人はいなかったとしました。
トランプ大統領が、もっとも重要視しているのは、米国民が犠牲になっているかどうかですので、この点でマーケットは安堵。
また、ソレイマニ司令官殺害の正当性を主張し、イランに追加制裁を科す方針もコメントしました。
加えて、「私が米国大統領である限り、イランには決して核兵器を保有させない」、「イランは行動を抑制している様子だ」と述べ、「関係国すべてにとって良いことだ。世界にとって、とても良い」と評価したようです。
結論として、イランは行動を抑制しており、米国民に犠牲者は出なかったことになります。よって、米国は報復はせず、戦争を回避。
この報道を受け、売り込まれていた株価は急反発。

(出所:Bloomberg)
米ドル/円も豪ドル/円も、大きく値を戻す展開となりました。

(出所:Trading View)

(出所:Trading View)
■豪ドルの底堅さ確認で、上値余地拡大
戦争が回避されたことで、米ドル/円は、引き続き、107~110円の狭いレンジを継続。
注目は、豪ドル/円。
オーストラリアの山火事による被害や、それによるRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])の利下げ観測が材料視されたこともあり、今回の局面で豪ドル/円は大きく売り込まれました。
しかし、オーストラリアの山火事による被害は、豪ドルに大きな影響を及ぼすことはなさそうです。
加えて、現地のトレーダーによれば、不動産市況も持ち直していることもあり、豪ドル自体は底堅いという意見が多数。
結果、一時的なリスクオフで73円台まで売り込まれた豪ドル/円は、大きく巻き戻す公算が高まっています。

(出所:Trading View)
トランプ大統領は国民の支持を得られない戦争をうまく回避し、リスクオフ相場は沈静化。
短期的に大きく売り込まれた反動もあって、上値余地が拡大している豪ドル/円の行方に注目です。
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