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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

なぜ、フラッシュ・クラッシュは心配ない?
2020年の米ドル/円は120円へ上昇!

2019年12月26日(木)18:05公開 (2019年12月26日(木)18:05更新)
陳満咲杜

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■懸念されるフラッシュ・クラッシュは心配ない

 年末が近づき、為替相場における関心事は「クラッシュ」の懸念ではないかと思う。

 今年(2019年)年初のフラッシュ・クラッシュはまだ記憶に新しく、トレーダーが神経をとがらせているのも納得できる。なにしろ、米ドル/円は2019年年明けから急落、1月3日(木)には一時105円の節目割れを果たし、1日で4円ほどの下落幅を記録したわけなので、ロング筋なら戦々恐々とするのも理解できる。

【フラッシュ・クラッシュに関する参考記事】
フラッシュ・クラッシュで米ドル/円が暴落! 株の下落を伴えば、100円割れの可能性も!?(2019年1月7日、西原宏一&大橋ひろこ)
フラッシュ・クラッシュの真犯人はトルコリラ!? クラッシュ時もスプレッドが優秀なFX会社は?(2019年1月17日、高城泰)

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 とはいえ、結論から申し上げると、今回は、年末年始における変動リスクはあるものの、2019年年初のようなクラッシュを繰り返すリスクは小さいと思う。理屈はシンプル、環境が変わったからだ。

 円の急騰はリスクオフの値動きと解釈すれば、2019年年初のクラッシュはほかならぬ、2018年年末の日米株の急落を受けた結果であり、また、リスクオフの一環と理解できる。

 しかし、2018年12月末のNYダウは2万1712ドル、同時に日経平均は1万8948円の安値を記録したのに対し、今は、NYダウを含め、米主要3指数は歴史的な高値圏をキープしており、日経平均も2018年10月高値に迫るまで上昇してきたから、明らかにリスクオンである。

 リスクオンの環境におけるフラッシュ・クラッシュは想定しにくい上、年末年始の薄商いの状況における変動率の拡大はあったとしても、それが円高とは限らない。言い換えれば、2018年年末や2019年年初の環境とまったく違っているから、今回はクラッシュをあまり心配しなくてもよいかと思う。

■フラッシュ・クラッシュは「買い」の好機だった

 もっとも、2018年年末株の急落や2019年年初の為替市場におけるクラッシュは、ともに逆張りの好機であったことは見逃せない。

 米国株の方がより良いタイミングだったのに対して、米ドル/円の方はその後も波乱となったものの、1月安値から4月高値まで6円超の値幅があったから、逆張りのポジションは、利益確定の余地が十分あったはずだ。

 この意味では、米ドル/円の本当のロング筋なら、むしろクラッシュの再来を歓迎するのではないかと思う。なぜなら、米ドル/円はこれから上放れする可能性が高いから、一時的な急落があれば、それは絶好の押し目を提供してくれることになるからだ。

 が、前記のように、今回はこのようなチャンスは期待できない可能性が大きいから、あくまでたとえ話であることを記しておきたい。

■2020年はリスクオン相場の継続、変動率も高まる!

 当然のように、2020年の相場見通しに関して、筆者の見方は一貫しており、変わっていない。

 基本的にはリスクオン相場が継続するとみており、株高・円安といったメインシナリオが引き続き有力視される。また、株のパフォーマンスに比べ、米ドル/円の方がだいぶ「遅れている」ように見えるから、2020年こそ米ドル/円が「追ってくる」のではないかと思う。

 言い換えれば、来年(2020年)こそは変動率が高まり、米ドルの上値余地も拡大するだろう。

 「来年こそ」と強調するのには、理由がある。

 2018年の米ドル/円の変動幅は10円程度とずいぶん小さかったので、2018年年末には「2019年こそ」と思っていたところ、見事に裏切られた。今年(2019年)の米ドル/円の変動幅は8円程度なので、「史上」最低水準に落ち込み、もっとも「動かない」年となった。この米ドル/円の膠着状況はやはり「異例」である。

 だからこそ、その反動で来年(2020年)は比較的大きく動くのではないかと思う。比較的と言っても「正常」の15円~20円程度の変動で考えてみたいところなので、執筆中の現時点の109.50円前後を基準にして2020年相場のターゲットを探ってみたい。やや乱暴な測り方だが、円安なら124.50円前後、円高なら94.50円前後の目標が得られる。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足チャート

(出所:TradingView

 相場は一直線に進むとは限らないから、このような一直線な測り方ではおかしいだろう、というお叱りが聞こえてきそうだが、来年(2020年)は今年(2019年)のような動かない相場の継続か、一方通行の相場になるかと聞かれるなら、「一方通行」とまでは言わなくても、比較的トレンドがはっきりした相場になりやすいと思う。

 つまり、歴史的な、「異常」に低い変動率が2年連続続いたから、3年連続の可能性は小さいと思う。そして、ブレイクする方向があれば、下(円高)より上(円安)の確率が高いから、2020年こそ米ドルの上値を追いたい。

 円安トレンドが展開されるとする根拠は、ごくシンプル…

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