■信用収縮さえ回避できれば連鎖的な恐慌にならない
確かに今回は未知の恐怖なので、コロナウイルスの蔓延がいつ収まるかはわからないから、経済活動への打撃が計り知れない。
しかし、信用収縮さえ回避できれば、生産活動はいずれ正常化し、また景気後退があっても連鎖的な恐慌にならない。
ここが肝心なポイントなので、市場もここに注目し、早期反発をもって最悪の事態を織り込んでいるかもしれない。今だからこそ、過度な悲観は不要だと思う。
前代未聞の量的緩和だから、米国債が買われ、長期金利が再度低下傾向にあるのも正常な値動きだが、注目すべきなのは米10年物国債利回り(米長期金利)が3月9日(月)に記録した安値を下回れるかどうかである。
(出所:Bloomberg)
上限なしの資金供給や国債買い入れがあっても、米長期金利が安値再更新しなくなるであれば、これこそ市場が最悪の事態を織り込んでいる証拠だ。そして、その可能性が大きいと思う。
■今後はクロス円の値動きがリスクオン・オフ判断の根拠に
米ドル/円の値動きは、最近米ドル全体(ドルインデックス)との連動性が高いから、米ドル全体次第と言える。
肝心の米ドル全体だが、米長期金利の低下と相まって、株の切り返しとともにまた売られたのも自然な成り行きだ。
(出所:TradingView)
先日の「恐怖の米ドル買い」や「ドル・クランチ」で買われた分、今はスピード調整の段階にあるが、米ドル自体のブル(上昇)基調は維持されるだろう。本格的な米ドル売りには程遠い。
過度なリスクオフに対する修正が、しばらく株の切り返しで見られるなら、為替市場における最も連動しやすい通貨ペアはクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)であろう。
ユーロ/円をはじめ、主要クロス円の多くは円の主流性がなくなった(リスクオフの円高が終焉した)以上、むしろ米ドル/円にとって代わってリスクオン・オフを測る存在になる。
このあたりの詳説はまた次回、市況はいかに。
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