■小池・東京都知事がロックダウンの可能性を示唆
新型コロナウイルスの影響はすさまじく、ニューヨーク、サンフランシスコ、ミラノ、上海などの大都市がロックダウン(封鎖)。世界中にゴーストタウンが出現しています。
遅ればせながら、東京都の小池百合子知事も、ロックダウン(封鎖)の可能性を示唆。
首都封鎖に現実味 知事「何もしなければロックダウン」
このままでは「首都封鎖」になりかねない――。新型コロナウイルス感染者の急増を受け、東京都の小池百合子知事は「重大局面」との危機感を表明。
出所:朝日新聞
ただ、日本語での「不要不急の外出は、ぜひとも控えてください」との言い回しは、いまひとつ伝わりにくい。
不要不急の外出とはどういう要件なのか?との論議が沸騰しています。
■ジョンソン英首相の言い回しは極めてシンプル
その点、英国のボリス・ジョンソン首相の言い回しは、極めてシンプル。
'You must stay at home!'?ジョンソン英首相
ボリス・ジョンソン英首相は3月23日(月)夜(日本時間24日早朝)に首相官邸からテレビ演説し、新型コロナウイルス対策として、必需品の買い物や治療、不可欠な仕事への通勤など、ごく一部の理由によるものを除く外出をただちに禁止すると発表した。
出所:BBC
「Must(マスト)」という表現を使っているのは、すなわち「違反すれば罰則の対象になり得る」ということになります。

ボリス・ジョンソン英首相の言い回しは極めてシンプル。「Must(マスト)」という表現を使っているのは、すなわち「違反すれば罰則の対象になり得る」ということになるという (C)Justin Sullivan/Getty Images
もちろん、現在の東京はロックダウンしているわけではないので、「不要不急の外出は、ぜひとも控えてください」という言い方になるのでしょうが、基本、「家から出ないでください!」といった方がわかりやすいといえます。
■東京がロックダウンされたらどうなるのか?
今、ネットでは東京がロックダウンされたらどうなるのか?という議論で持ち切りですが、NHK Webがうまくまとめてくれています。
実際にロックダウンが起きてしまうと、街はどうなるのでしょうか。「封鎖」の程度は海外でもさまざまですが、小池知事の発言を受けて、フランス・パリ在住の作家、辻仁成さんが、24日、自身の主宰するウェブマガジンに日記を掲載しました。
タイトルは「もしも東京がロックダウン(外出制限)されたなら」。冒頭で、辻さんはこう述べています。
「仮に、東京都がロックダウンを発令した場合、どういうことが考えられるかを、現在、ここパリで封鎖を経験中のぼくがまとめてみた。まさか、とは思わないで、心の準備のために読んでもらいたい」
辻さんは、現在のフランスでの外出の可否について、「外出は今日現在、今のところ、誰であろうと可能なのだ」としています。
ただ、一定の条件があるといいます。
「健康のための運動、食材の買い出しは認められているが、外出する前に政府が用意した用紙をダウンロードし、日付やサインなどを記入、携帯しないとならない。パリでは運動や買い物は500メートル以内で一時間以内と限られている。感染の酷い地域では22時から朝の5時までは完全封鎖となっている」
出所:NHK Web
実際にロックダウンになるとどうなるのかを、わかりやすくまとめてくれています。欧米勢は東京がロックダウンされると、日本株の売り材料としているため、彼らもこうした情報に神経を尖らせています。
■米ドル/円は大きく上昇も、「株安・米ドル高」は早晩反転へ
話題をマーケットに戻すと、「株安・米ドル高」の傾向は続き、前回のコラムでご紹介させていただいたように、米ドル/円は110円台を回復。一時、111.71円と節目の112.00円に迫るほどの反発を見せました。
【参考記事】
●FRBが流動性供給策導入も、米ドルの需給逼迫は継続! 株安でも米ドル/円は上昇か(3月19日、西原宏一)
しかし、個人的にはFRB(米連邦準備制度理事会)がCP(コマーシャルペーパー)市場にまで介入していることから、マーケットは次第に沈静化し、「株安・米ドル高」の流れは早晩反転すると考えていることは変わりません。

(出所:Trading View)

(出所:Bloomberg)
3月中旬までは、米ドル全面高の様相を呈していましたが、その中で反発の兆しを見せている通貨ペアがあります。その通貨ペアは、豪ドル/米ドル。
【参考記事】
●シカゴ日経先物がフラッシュ・クラッシュ! 月曜の円高は2週続けてフェイク。今週は?(3月23日、西原宏一&大橋ひろこ)
■豪ドル/米ドルは過去10年の高値から半値まで落ち込む
FRBがCP市場への流動性供給策を導入するも、米ドル需給の逼迫はなかなか解消せず。加えて、3月19日(木)に、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])は臨時の理事会を開催して、3月3日(火)に続き、さらに0.25%の利下げを決行。RBAは、同時にQE(量的緩和策)も開始しています。

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部にて作成)
これは、豪ドル/米ドルにとって、米ドル側、そして、豪ドル側の両面から下落を誘引する材料となります。
米ドル需要の高まりによる米ドル買いと、RBAの緩和による豪ドル売りで、豪ドル/米ドルは強く売られることになります。
3月19日(木)の豪ドル/米ドルは一時、0.5510ドルの安値まで急落。
ただ、その後、豪ドル/米ドルは一転して急反発しています。
この反発の要因ですが、まず、3月19日(木)のRBAの利下げとQEは織り込み済みであったこと。加えて、RBAのロウ総裁が介入について言及したことがきっかけとなっています。
RBAの介入は、金額的にはパワフルなものを連想させないのですが、暴落していた豪ドルマーケットにとってカウンターとなり、十分な効果があった模様。

(出所:Bloomberg)
ただ、豪ドル/米ドルの買い戻しのもっとも重要な要因となったのは、そのレベル。
年初から下落を続けていた豪ドル/米ドルに対し、私も含め、多くのマーケット参加者が注目していたレベルがあります。それは……0.5500ドル。以下は、豪ドル/米ドルの月足チャートです。

(出所:Bloomberg)
過去10年の豪ドル/米ドルの高値は、2011年7月に付けた1.1081ドル。その半値(50%押し)は、0.5541ドルです。
つまり0.5541ドルというのは、過去10年で豪ドル/米ドルの価値が半分になった節目ということになるのです。
当然、マーケット参加者の多くは、このレベルを意識しており、3月19日(木)にRBAが0.25%の利下げを決めた時、彼らが「バイ・ザ・ファクト(ウワサで売って、事実で買い戻す)」で豪ドル/米ドルを買い戻すのは相場の教科書どおりではありますが、豪ドル/米ドルが、ほぼ半値のレベルまで価値が下がっていたことが、単なる「バイ・ザ・ファクト」だけでなく、彼らの買い戻しが急激になった要因です。

(出所:Bloomberg)
■豪ドルの売り材料はすべて織り込み済み、中期で反発へ
振り返ってみれば、年初からの豪ドル/米ドルの売り材料のひとつであった豪州の大規模な森林火災も、公式に鎮火が宣言されています。
【参考記事】
●森林火災危惧も、豪州株は最高値更新。豪ドルは底堅い! 対円は80円へ反発開始(1月16日、西原宏一)
森林火災鎮火を公式宣言、240日余の災難 豪州NSW州
オーストラリア東部ニューサウスウェールズ(NSW)州の消防当局は7日までに、同州で240日間以上続いていた森林火災の鎮火を公式に宣言した。
出所:CNN
これは、豪ドルにとって買い材料。
豪ドルにとっての売り材料をマーケットがすでに織り込んでしまっていること、加えて、過去10年で価値が半分に落ち込んだことから、豪ドル/米ドルは反発余地が拡大しているといえます。
こうした背景から、先週(3月16日~)後半から今週(3月23日~)の豪ドル/米ドルは、一転して急騰しており、3月25日(水)には、一時0.6074ドルまで上昇しています。
先週(3月16日~)、19日(木)の豪ドル/米ドルの安値が0.5510ドルですので、わずか5営業日で500pips強暴騰していることになります。

(出所:Bloomberg)
さすがにこの反発は急激すぎるため、本稿執筆時点では0.5900ドルレベルまで反落していますが、前述のような背景のもと、豪ドル/米ドルは中期で反発しはじめていると考えています。
過去10年の高値から半値にまで落ち込んだ豪ドル/米ドルは、悪材料出尽くしでボトムアウト。上値余地が急拡大している豪ドル/米ドルの行方に注目です。
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