■緊急事態宣言でセル・ザ・ファクトの可能性
日本でも、いよいよ緊急事態宣言が近いようですね。
昨日(4月5日)出た報道は、「緊急事態宣言に向けた準備に入ることを表明する見通し」と、まどろっこしい表現でしたが、今朝(4月6日朝)の日本株市場はポジティブに捉えているようです。
緊急事態宣言がポジティブなんですか?
海外の友人に言わせれば、日本政府の対応は遅い、と。
それがやっと腰を上げるということでポジティブに捉えています。
封鎖などの措置を行ったほうが感染拡大を抑えられ、マーケットにもポジティブだというロジックです。
今朝(4月6日朝)の日本株上昇も、緊急事態宣言に期待した海外の短期筋が買っているのでしょう。
実際に緊急事態宣言が出されれば「セル・ザ・ファクト」で売られる可能性も充分にあります。
![日経平均 1時間足チャート](https://zaifx.ismcdn.jp/mwimgs/f/3/-/img_f3214ee8a80881630c0a484b00fb303193566.jpg)
(出所:TradingView)
■「多くの死者が出る」と警告。ピークは近いか
米国では、トランプ米大統領が「来週(4月13日~)にかけて多くの死者が出る。もっとも厳しい週になる」と国民に覚悟を求めています。
ピークが今週(4月6日~)、来週(4月13日~)になる、ということですね。
今朝(4月6日朝)はNYダウ先物も上がっていますが、トランプ発言が市場の安心感を誘っている部分もあるのでしょう。
先週(3月30日~)の動きを振り返ると、米雇用統計は散々な結果に。
NFP(非農業部門雇用者数)は10万人減の予想に対して70万人の減少と大幅に悪化し、失業率も4.4%と、前月から0.9%急騰しています。
上昇幅としては、1975年1月以来の大きさだそうです。
![米非農業部門雇用者数の推移](https://zaifx.ismcdn.jp/mwimgs/d/e/-/img_deb817632fffbf7c9d226a412ad0ceb7121542.jpg)
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)
![米失業率の推移](https://zaifx.ismcdn.jp/mwimgs/3/0/-/img_30f86a433b641027f1176e5d501575a493606.jpg)
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)
今回の米雇用統計はロックダウン前の数字ですから、来月(4月)発表分は、さらに悪化するのでしょう。
4月29日(水)に出る第1四半期の米GDPはマイナス30%との見方もあります。
■トランプ砲で暴騰した原油。OPECプラスは減産協議へ
先週(3月30日~)、注目されたのが原油の急騰。
トランプさんのツイートをきっかけにして、ロシアとサウジアラビアが1000万バレルの減産で合意するとの期待が高まり、30%近く暴騰しました。
Just spoke to my friend MBS (Crown Prince) of Saudi Arabia, who spoke with President Putin of Russia, & I expect & hope that they will be cutting back approximately 10 Million Barrels, and maybe substantially more which, if it happens, will be GREAT for the oil & gas industry!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) April 2, 2020
![WTI原油先物 1時間足チャート](https://zaifx.ismcdn.jp/mwimgs/b/c/-/img_bc94587122d759ef1308e88eed23d90477876.jpg)
(出所:TradingView)
原油急騰でリスクオン的な雰囲気となり、米ドル/円も急騰しましたね。
![米ドル/円 1時間足チャート](https://zaifx.ismcdn.jp/mwimgs/6/4/-/img_64de022be129d53184546cf975677ed865177.jpg)
(出所:TradingView)
トランプさんがツイートする前日には、上場している米シェール企業が倒産したこともトランプさんの危機感を高めたのかもしれません。
ただ、米国は減産せず、サウジとロシアだけに減産しろというのでは反発も買いますね。
OPECプラス(※)の減産協議は4月9日(木)開催で調整されているようですね。
(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)
すんなり減産合意できるかどうか……。
もし合意できればサプライズですし、そのときは原油が上昇するだけでなく、金融市場全般にリスクオン的な流れが生まれる可能性がありますね。
コモディティ、特に貴金属は非常に重要だと思っています。
主要国がこれだけジャブジャブにすると、その一部はコモディティへも流れていくでしょう。
それは、豪ドルなど資源国通貨にはポジティブです。資源国通貨といっても「(新興国を除く)」ですが。
ムーディーズは、南アフリカを「ジャンク級」に格下げしました。
南アランド/円は、史上最安値を更新しています。
こうした新興国から抜けたお金が米ドルへとレパトリする動きも出ているのかもしれません。
![南アフリカランド/円 月足チャート](https://zaifx.ismcdn.jp/mwimgs/2/a/-/img_2a8fa84049bd54c0397cdbaace02f19a90039.jpg)
(出所:TradingView)
■豪ドルの瞬間的な急騰は「ファットフィンガー」とも
それはあるでしょうね。
あとは、コモディティといっても貴金属ではなく、小麦などの食料系に注目する友人もいます。
彼に言わせれば、「だから豪ドルではなく、NZドルなんだ」と。
西原さんの注目されている豪ドルでは先週(3月30日~)、瞬間的に130pipsも上昇する場面がありました。
「ファットフィンガー(誤発注)」だったのでは、とも言われていますが。
![豪ドル/米ドル 1時間足チャート](https://zaifx.ismcdn.jp/mwimgs/2/1/-/img_211e55a314972a98d9dd58252c94441f74837.jpg)
(出所:TradingView)
真相は不明ですが、誤発注と大口の買いが重なったとの意見を聞いています。
近年、マーケットは不安定な動きが強まっています。
人間ではなく、AIがトレードすることの弊害でもあるのでしょう。
こうした動きには警戒する必要がありますが、今週も引き続き、豪ドル/米ドルの押し目買いを続けたいと思います。
【参考記事】
●シカゴ日経先物がフラッシュ・クラッシュ! 月曜の円高は2週続けてフェイク。今週は?(3月23日、西原宏一&大橋ひろこ)
●東京がロックダウンなら日本株はどうなる? 米ドル不足解消で米ドル売りが続きそう(3月30日、西原宏一&大橋ひろこ)
(構成/ミドルマン・高城泰)
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
![西原宏一のトレード戦略指令!](https://zaifx.ismcdn.jp/mwimgs/2/2/-/img_221e5cf0a74d67f27a54951cfb9031f461348.jpg)
「トレード戦略指令!」は登録後10日間無料解約可能なので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)