■東京がロックダウンとなった場合、日本株は下がるのか?
週末の東京は、外出自粛となりました。ロックダウン(都市封鎖)が近いのでは、との噂も出ていますね。
ロックダウンとなれば日本株への負荷が高まるでしょうから、明日(3月31日)の年度末が過ぎてからでは、との観測もあります。
年度末の株価をなるべく持ち上げておきたいでしょうから。
3月29日(日)の記者会見で安倍首相は、リーマンショック時を上回る規模の経済対策を「10日程度で」取りまとめるとしています。
かなりのスピード感ですが、ロックダウンと経済対策を合わせて発表することで、ショックを和らげたいのかもしれません。
ロックダウンとなれば日本株は下がりますか?
発表直後に売られるかもしれませんが、日銀などから即座に防衛的な買いが入るでしょうね。
日銀のETF(上場投資信託)購入目標額は、年12兆円ですから、大きいですね。
日銀は、3月だけで1兆1224億円のETFを買っています。下がれば日銀が出てくる――下値は固そうです。
■米経済のリスタートは、早くても4月末に
先週、月曜日(3月23日)にNYダウ先物が1万8000ドル、日経先物が1万5000円まで急落し、目先の底はつけたように見えます。
ただ、感染者の増加ペースは収まらず、トランプ米大統領は当初、「イースター(4月12日)までに正常化を」としていましたが、今朝(3月31日朝)には自粛要請を4月末まで延長すると話しています。
それだけ米経済のリスタートが遅れることになりますね。
【参考記事】
●シカゴ日経先物がフラッシュ・クラッシュ! 月曜の円高は2週続けてフェイク。今週は?(3月23日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
実体経済への影響は、これからですよね。
先週(3月23日~)発表された米新規失業保険申請件数は過去最多の328万件。
今週(3月30日~)の米雇用統計でも、NFP(非農業部門雇用者数)が10万人減と予想されています。
【FX初心者のための基礎知識入門】
●米雇用統計は、FXトレーダーなら知らない人はいない、月に一度のお祭り的イベント
●ADP全国雇用者数と新規失業保険申請件数。2つのデータが米雇用統計のカギを握る!?
株価は、新型コロナウイルスによる経済活動の停滞を織り込んでいます。
経済指標の悪化が大きく影響することはないでしょう。
それよりも、影響が大きいのは、逼迫していた米ドル需給が解消に向かっていること。
僕が指標としている米CP(コマーシャルペーパー)3カ月物スプレッドは、落ち着き始めています。
【参考記事】
●「株安・米ドル高」の流れは早晩反転か? 豪ドルは悪材料出尽くしで中期的に反発へ(3月26日、西原宏一)
(出所:Bloomberg)
■米ドル不足解消で米ドル売りのフェーズに
FRB(米連邦準備制度理事会)は、2度の緊急利下げと正式なQE(量的緩和)再開、さらに、先週(3月23日~)にはQEを無制限化し、3月27日(金)には社債の購入まで踏み込んできました。
切れるカードを惜しみなく切っていますね。
【参考記事】
●FRBが緊急利下げでゼロ金利政策再開! 大規模緩和でも米株安止まらず。為替は?
●FRBが緊急利下げ&QE再開! それでも105円を割らない米ドル/円は押し目買いか(3月16日、西原宏一&大橋ひろこ)
●FRBが無制限の量的緩和をしてもまだドル高。ドル安に反転してくるのはいつか?(3月24日、バカラ村)
●FRBが全力で信用収縮を阻止しているから、リスクオフの換金売りは続かない!(3月27日、陳満咲杜)
QEにより、米ドルはジャブジャブの状態になりますし、経済をリスタートさせるにあたって米ドル安のほうが都合はいい。
次は、米ドル安のフェーズかなと思います。
特に注目しているのが、過去10年の高値(2011年7月高値1.1081ドル)から半値まで減価していた豪ドル/米ドルです。
0.5ドル台では、ロウ総裁が為替介入を示唆しましたし、買い戻しは、まだ続くのだろうと思います。
【参考記事】
●「株安・米ドル高」の流れは早晩反転か? 豪ドルは悪材料出尽くしで中期的に反発へ(3月26日、西原宏一)
(出所:TradingView)
先週(3月23日~)驚いたのは、ジョンソン英首相のコロナ感染。
それでも英ポンドは上昇しましたから、それだけ米ドル売りが強い、ということでしょうか。
(出所:TradingView)
売られすぎた反動があるのでしょうし、米ドルが売られ始めれば、どんな通貨に対しても売られるのでしょう。
■引き続き、豪ドル/米ドルの押し目買いを基本に
米ドル/円は、いかがですか?
対円でも米ドル売りは進むのでしょうが、明日(3月31日)の年度末を105円といった円高水準で迎えるかというと、ピンとこない。
対円で米ドルを売るなら、年度末を通過してからでしょうか。
コモディティ市場では、原油が続落しています。
今朝(3月30日朝)のWTI原油は、3月20日以来の20ドル割れ。
投機筋のポジションを見ると、まだロングが積み上がったままですし、サウジアラビアやロシアの姿勢を見ても緊急減産合意の可能性は小さそう。
値ごろ感で買うのは危険ですね。
(出所:Bloomberg)
今週(3月30日~)も米ドル不足の解消とQE再開による米ドル売りは継続するのでしょうし、なかでも売られ過ぎが際立っていた対豪ドルで売られやすいのではないでしょうか。
先週(3月23日~)に引き続き、豪ドル/米ドルの押し目買いを基本にしたいと思います。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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