■FRBが緊急利下げ&QE再開!
すごい相場が続いていますね。リーマンショック以上じゃないですか?
そう思いますね。
今朝(3月16日朝)はFRB(米連邦準備制度理事会)が1%の緊急利下げをし、ゼロ金利へ逆戻り。
さらには、量的緩和の再開も公式にアナウンスしています。「QE4(量的緩和第4弾)」ですね。
これに合わせて3月17日(火)、18日(水)に予定されていたFOMC(米連邦公開市場委員会)はキャンセルされました。
今朝のNYダウ先物は急落し、サーキットブレーカーが発動。米ドル/円も一時105円台まで下げました。
緊急利下げの影響でしょうか?
【参考記事】
●FRBが緊急利下げでゼロ金利政策再開! 大規模緩和でも米株安止まらず。為替は?
(出所:Bloomberg)
(出所:TradingView)
何もなければ、米ドル/円は108円だったでしょうし、日経平均も1万8000円で始まっていたと思います。
FRBの動きを、市場は「そこまでひどいのか」と受け取ったということですね。
「FRBは、何かもっとひどいことを知っているんじゃないか」と市場が疑心暗鬼になっているという見方もありますね。
破たんしたヘッジファンドもあるようですからね。
ただ、3月3日(火)の緊急利下げでも、初動は「そこまでひどいのか」と株式市場は売りで反応しましたが、戻しています。
今回も初動は売りですが、ニューヨーク市場の反応を待ちたいですね。
【参考記事】
●新型コロナ対策でFRBが0.5%の緊急利下げ! ドル/円は短期で105円台、中期では100円も(3月5日、西原宏一)
●新型コロナのダメージに金融緩和や財政出動は効かない!? 米ドル/円は105円前後へ(3月5日、今井雅人)
■市場のクラッシュで高まる米ドル需要
FRBだけでなく、今朝はRBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])も75bpの緊急利下げを発表。政策金利は0.25%まで低下しています。
先週(3月9日~)は英国やカナダも緊急利下げしましたし、日銀は本日12時(3月16日12時)から緊急会合を開催しています。記事執筆時点では、まだ結果が出ていませんが(※)。
(※編集部注:日銀は3月16日(月)14時過ぎに緊急会合の結果を公表した。現在マイナス0.1%である政策金利の引き下げは見送り、ETF買入れを従来の年間6兆円から年間12兆円に倍増させるなどの追加緩和を決定した)
米ドル/円に対する市場の見方は、2つあります。
ひとつは、「日米金利差が急速に縮小したから、下がる」という見方。
もうひとつは、「市場の混乱から米ドル不足となっているため、上がる」という見方です。
ゴールドも急落、ビットコインも暴落、実需に支えられているはずのパラジウムも暴落し、REITやジャンク債の下落もひどい――各市場が壊れ、世界中で換金売りの波が起きていてキャッシュ、つまり、米ドルを手に入れようとしているから米ドルの調達コストが急上昇しているという話ですね。
(出所:Bloomberg)
(リアルタイムチャートはこちら → 仮想通貨リアルタイムチャート:ビットコイン/円(BTC/JPY) 日足)
通常のマーケットであれば、米金利が下がれば米ドル/円の売りですが、先週(3月9日~)は米金利が下がっても米ドル/円は急騰しました。
どれだけ米ドルが足りないのか、ということですね。
■米ドル/円ベア派が急増。踏み上げの可能性も
米ドル/円は、1週間前には101円台まで突っ込んだのに、週末は108円台。この急騰の理由は、どう説明しますか?
(出所:TradingView)
ゴールドマン・サックスの95円予想を始め、先週(3月9日~)は、各社が米ドル/円のベアに見方を転換しました。
しかし、NYダウが暴落し、FRBがQEを正式に再開しても105円を割らない。
「これ以上、何があれば米ドル/円は下がるの?」ということにもなります。
今、110円を超えると思っている人は非常に少ないですから、米ドル調達ニーズの高まりなどによる思わぬ上昇に注意したほうがいいでしょう。
【参考記事】
●米ドル/円、95円が現実的なターゲットに!? 新型コロナに減産協議決裂…リスク満載!(3月9日、西原宏一&大橋ひろこ)
●米ドル/円は中期目標の100円水準に迫る!トランプ相場の起点が重要なサポートに(3月12日、西原宏一)
カレンダー的には、3月期末が近づいています。
リバランスなどによる特殊玉が出てくる可能性もありそうですね。
今回の急落でポートフォリオのバランスは相当変化しているでしょうし、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や機関投資家が急騰した米国債を売って急落した米株を買う可能性だってあるでしょうし。
【参考記事】
●元ゴールドマン・サックス 志摩力男氏に聞く(2) 乱高下した英ポンドで利益を出せたワケは?
FRBの次のカードとして、日銀のように「ETFを購入するのでは」と予想する人も出てきています。
米大手8銀行は、2020年第2四半期まで自社株買いを中止を表明していますし……。
個人的に気になるのは、英国。「集団免疫」という独特な新型コロナ対策を採用するようです。
あえて感染させることで免疫をつけさせ、感染拡大のスピードを遅らせる政策だそうですが、この政策にともない「より多くの家族が愛する人を失うことになる」とジョンソン英首相がスピーチしたことが国民の反感を買っています。
この政策を続けるかぎり、英ポンドは安心して買えないと考える人は多いのではないでしょうか。
トランプ米大統領が、入国禁止措置の対象を英国やアイルランドへ拡大したことにも不安を感じているのでしょう。
■105円を割れないかぎり押し目買い
今週の戦略は、どう考えますか?
先週(3月9日~)のようなボラティリティの大きい相場では、スウィングでポジションを持つより短期的な勢いに乗ったほうが収益は高まります。
ただ、時間的な都合のある人も多いでしょうから、そんな人はリスク管理に気をつけながら米ドル/円の押し目買いでしょうか。
先週の週足は、105円以下が長い下ヒゲをつけました。105円以下はダマシとなっている可能性があり、当面は105円から112円で推移するイメージ。
105円を割るまでは押し目買いでいいのではないでしょうか。
【参考記事】
●株式市場崩壊、恐怖の米ドル買いが進行! 「リスクオフの円高」ロジックは崩れた!?(3月13日、陳満咲杜)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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