■交渉決裂! サウジは減産どころか増産へ!?
今朝(3月9日朝)は、各市場とも大きな窓をあけて始まっています。
本稿執筆時点で米ドル/円は103.50円まで(※)。日経平均は2万円割れです。
(※編集部注:米ドル/円は本稿執筆後にフラッシュ・クラッシュ的な動きで一時101.50円台まで暴落した)
(出所:TradingView)
(出所:Bloomberg)
週末の間にもリスクオフ要因が続きましたからね。
注目されていたOPEC(石油輸出国機構)プラス会合では産油国の減産協議が決裂。ロシアが追加減産に合意しなかったためです。
この報道でWTI原油は41ドル台まで急落したのですが、週末になってサウジアラビアが増産するとの報道が出ました。
減産どころか、増産とは驚きです。
協議決裂への逆ギレでしょうか。
サウジは、これまで減産による価格維持を目指していましたが、減産協議が決裂してしまったことで、今後は増産し、シェアを奪還する路線へ転換するとみられます。
交渉決裂のニュースが出た先週末時点で41ドル台まで急落した原油価格ですが、サウジ増産のニュースを織り込むのは今日(3月9日)からで、30ドル台まで暴落しています。
(出所:Bloomberg)
もう一段の下落があるかもしれませんね。
サウジ増産で気をつけないといけないのが、シェール企業が10%を占めるとされるジャンク債(ハイイールド債)市場です。
原油価格の下落で採算が合わないシェール企業が出くるとデフォルトリスクが警戒され、ジャンク債市場が混乱する可能性もあり、債券市場から株式市場を通じて金融市場全体に波及するかもしれません。
■週末間際のVIX指数が示唆すること
レバノンでは、デフォルト報道が出ています。
為替市場と直接の関係はないでしょうが、他国へ飛び火するようだと警戒が必要になります。
米国では、新型コロナウイルスの感染者急増からニューヨーク州が非常事態宣言を出しました。
友人の話では、西海岸でも恐怖心が高まっているとのことでした。
イタリアでもミラノなど北部を封鎖するとの発表が出ていますし、拡大が止まりません。リスク要因が満載ですね。
今週(3月9日~)もコロナショック相場が継続ですか?
注目したいのが、VIX指数。
先週金曜日(3月6日)には50ポイント超えまで急騰しましたが、40ポイント台前半まで戻して終わっています。
2月21日(金)に112円台だった米ドル/円は2週間で103円(※)まで急落しました。
やりすぎた感じもあり、いったんは戻すのかもしれません。
(※編集部注:米ドル/円は本稿執筆後にフラッシュ・クラッシュ的な動きで一時101.50円台まで暴落した)
(出所:Bloomberg)
日本株も「岩盤」とされる「日経平均PBR1倍」の水準である2万700円、そして、大台の2万円を割り込みました。買いが入りやすい水準でもありますね。
■1ドル=95円が「現実的なターゲット」に
注目したいのが、来週3月18日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)。
市場では50bp(0.5%)の利下げを100%織り込んでいます。
【FX初心者のための基礎知識入門】
●FOMCとは? 米国の政策金利FFレートやイベントのスケジュールを徹底解説!
3月3日(火)に50bpの緊急利下げを行ったばかりですから、本当に50bp下げると3週間で1%もの利下げになりますね。
【参考記事】
●新型コロナの影響で市場は今後どうなる? 世界中が金利ゼロへ!? ドル/円100円割れも!(3月4日、志摩力男)
●新型コロナ対策でFRBが0.5%の緊急利下げ! ドル/円は短期で105円台、中期では100円も(3月5日、西原宏一)
●新型コロナのダメージに金融緩和や財政出動は効かない!? 米ドル/円は105円前後へ(3月5日、今井雅人)
先週(3月2日~)は豪州、カナダが利下げし、今週3月12日(木)はECB(欧州中央銀行)理事会があります。
ところが、ECBの打てる手は限られています。日銀も同様です。
米ドルは、まだ利下げ余地がありますからユーロや円との金利差は縮まる一方。ユーロと円は買われやすくなります。
ゴールドマン・サックスは、1ドル=95円も「現実的なターゲット」と指摘していますね。
【参考記事】
●元ゴールドマン・サックス 志摩力男氏に聞く(3) ドル/円は95円まで急落後、130円まで上昇?
(出所:TradingView)
先週(3月2日~)、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がポートフォリオ比率を見直して外債比率を高めるとの報道が出ました。
市場関係者の間では、以前からウワサされていた話ですよね。
以前から言われていた話が円高の進行中に報道として出たということは、一種の口先介入とも捉えられますよね。市場の反応は限定的でしたが……。
今年(2020年)のレンジを105円から112円と予想していたこともあり、先週(3月2日~)は105円で利益確定しましたが、米ドル安はまだ続くのでしょう。
■米ドル/円の戻り売り、ユーロ/米ドルの押し目買い
先週(3月2日~)は、スーパーチューズデーでした。勝利したのはバイデン氏ですね。
サンダースが想像以上に強かったため、オバマ前大統領がブティジェッジを説得して撤退させ、その支持者がバイデンに回った、ということでしょう。
これでサンダースとバイデンによる一騎打ちの構図になりました。
予備選はまだ続きますし、新型コロナの拡大でサンダースの訴える国民皆保険が支持されやすくなっています。
サンダース優勢といった報道が出ると、株価が一時的に弱含む場面があるかもしれませんね。
サンダース優勢は、株式市場にとって決してポジティブではありません。
ただ、今の注目は、やはり新型コロナウイルスですし、目先は、来週3月18日(水)のFOMCということになります。
今週の戦略は、どう考えますか?
米ドル売りでいいのでしょう。米ドル/円の戻り売り、そして、ユーロ/米ドルの押し目買いです。
先週(3月2日~)から今朝にかけてやりすぎた反動で今週(3月9日~)は戻す場面もあるでしょう。
安値追いはせず、押し目・戻りを狙っていきたいと思います。
市場のボラティリティが非常に高まっていますから、資金管理には気をつけたいですね。
【参考記事】
●金融政策でコロナショックは収まらない! 「ボルマゲドン」ならドル/円は100円も!?(3月2日、西原宏一&大橋ひろこ)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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