■翌日の4月21日、WTI原油先物の6月限が暴落!
本記事はここまで、WTI原油先物の価格が史上初めてマイナス圏に突入した4月20日(月)に起こった出来事をおもにまとめてきたのですが、その翌日、4月21日(火)もWTI原油先物は大きく揺れ動きました。次に、そのことも紹介しておきましょう。
4月21日(火)に最終取引日を迎えたWTI原油先物の期近5月限はマイナス圏からプラス圏に浮上し、結局、清算値は10.01ドルとなりました。
一方、4月21日(火)の6月限はマイナス圏まではいかないものの、6.50ドルまで暴落したのです。

(出所:TradingView)
上のチャートのように歴史的な暴落相場を演じた5月限とその次の限月の6月限をいっしょに並べると、6月限がそれほど下落していないようにも見えてしまいますが、6月限だけを取り出せば、以下のとおり。1日も経たないうちに価格が3分の1以下になってしまうという、かなり大きな下落をしています。

(出所:TradingView)
■原油先物暴落の背景に原油ETFの動きあり!?
4月20日(月)に期近5月限がマイナス圏に突入し、4月21日(火)に6月限が暴落した背景として、市場で話題となっているのが米国市場に上場されているUSO(ユナイテッド・ステーツ・オイル・ファンド)という原油ETFの暴落です。

(出所:TradingView)
上はUSOの日足チャートですが、2月下旬から下落を続け、4月21日(火)に2ドル台をつけたことがわかります。
USOはWTI原油先物に投資するETFの最大手なのですが、足もとの原油下落で逆張りに動いた個人投資家の資金流入が続いていたといいます。
そんな中、USOなどのETFは石油精製業者ではなく、原油の現物を受け渡されても売却することができないため、USOはWTI原油先物の5月限が最終取引日を迎える前に買いポジションを解消する必要に迫られ、損失覚悟で投げ売りを持ち込んだ結果、売りが売りを呼んで5月限がマイナス圏に突入したというような報道をしている大手経済紙もありました。
ただ、詳しいことまではわかりませんが、原油ETFは「すでに保有している期近の原油先物を売って、期先の原油先物を買うロールオーバー(限月乗り換え)」を通常やっているはずであり、それがスムーズにできていれば、原油の現物を受け渡されて困る心配などしなくていいはずとも思えます。
けれど、価格急落に伴って原油ETFに対する売買が異常に増えた結果、ロールオーバーがスムーズにできなかった、といったこともあったのかもしれません。
実際、USOに対する売買が急増した結果、4月21日(火)、USOは現在認められている受益権の新規発行量が上限に達してしまったことで、新規発行を停止する事態となりました。
USOは受益権の追加設定を米証券取引委員会(SEC)に申請していますが、SECが認めるまで、USOはWTI原油先物を追加で購入することはないとの報道もあり、このことが4月21日(火)のWTI原油先物の期近6月限の暴落に関係しているとの見方もあるようです。
いずれにしても、原油ETFが原油価格を左右する1つのカギを握っていそうな感じがあります。
■GMOクリック証券はわずか3営業日で再び参照限月移行
このように原油価格を巡って異例の事態が続いているわけですが、GMOクリック証券の原油CFDでは4月21日(火)にも異例の動きがありましたので、それについてもお伝えしましょう。
GMOクリック証券の「原油」を見てみると、以下のように推移していました。

(出所:GMOクリック証券)
4月21日(火)のGMOクリック証券の「原油」は、参照原資産であるWTI原油先物の6月限の暴落につれて6.55ドルまで下げ幅を拡大しました。
すると、4月22日(火)の取引開始時刻に「原油」の参照原資産がWTI原油先物の期近6月限から期先7月限に移行され、価格にズレが発生したのです。
「原油」の参照原資産は4月17日(金)にWTI原油先物の期近5月限から期先6月限に移行されたばかりだったことは先にお伝えしたとおりですが、そこからわずか3営業日で、今度は6月限から7月限に再び移行されたのでした。
わずか3営業日での限月移行は異例の事態と思えます。そこには、もしかしたら、原油CFDのマイナス価格突入は避けたいといった理由があるのかもしれません。
なお、4月22日(水)になって、DMM.com証券は「【緊急】4月22日(水)OIL/USD価格調整額のお知らせ」を発表しました。これによると、4月22日(水)のマーケットクローズ時点(日本時間で4月23日(木)午前5時50分)で、DMM.com証券の「OIL/USD」は6月限から7月限へ切り替えられることになります。GMOクリック証券の異例の早期限月切り替えを見て、急遽追随したのでしょうか?
■「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」がオススメ
ここまでご紹介してきたように、足もとで大きく揺れ動いているWTI原油先物ですが、原油などコモディティ市場の動きが気になるという方には「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」がオススメです。
元為替ディーラーの西原宏一さんとフリーアナウンサーで、コモディティ(商品)に詳しい大橋ひろこさんが、FXとコモディティについて、その週の作戦会議を開いている模様をお届けしています。
【参考コンテンツ】
●FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議
このコーナーでは最近、原油価格のことを毎週真っ先に詳しく取り上げていました。
【参考記事】
●悪材料織り込みでNYダウの二番底はない!? 大きな流れは米ドル安。豪ドル買い継続へ(2020年4月13日)
●原油暴落! 今日がクライマックスかも!? 為替市場のルールは、変わりつつある!(2020年4月20日)
原油価格に興味がある方はぜひ、参考にしてみてください。
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(ザイFX!編集部・藤本康文&ザイFX!編集長・井口稔)
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