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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

悪材料織り込みでNYダウの二番底はない!?
大きな流れは米ドル安。豪ドル買い継続へ

2020年04月13日(月)16:23公開 (2020年04月13日(月)16:23更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■米国も参加し、1500万バレルの削減か?

今日はまず、原油からでしょう。OPEC(石油輸出国機構)など産油国は、日量970万バレルの減産に合意しましたね。

OPECプラス(※)に参加していない米国やカナダなども合計で370万バレルを減産するほか、サウジアラビアなども合計200万バレルの自主的な追加減産を表明しており、世界全体の減産量は1500万バレルを超える見通しとも報じられています。


これが遵守されれば過去最大の減産量ですし、米国、カナダも加わっての協調減産となれば歴史的合意です。

(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)

イースターマンデーの影響かもしれませんが、今日(4月13日)のWTI原油は20ドル台で推移しており、反応は鈍いですね。

【参考記事】
日本の緊急事態宣言でセル・ザ・ファクトか。豪ドルの瞬間的な急騰は、誤発注だった!?(4月6日、西原宏一&大橋ひろこ)

NY原油(WTI原油) 日足
NY原油(WTI原油) 日足チャート

(出所:TradingView

需要の落ち込みは2000~3500万バレルと試算されていますから、1500万バレルの減産でも需給は引き締まらず、しばらくは安値で低迷せざるを得ないという印象でしょうか。

G20(主要20カ国・地域)エネルギー相の共同声明でも具体的な削減目標の設定は見送られましたね。

とくに旗振り役を担った米国の具体的な減産量など、まだ情報が少ない。本当に歴史的合意と言えるのか、今のところ市場は懐疑的なようです。

■アフターコロナで株価は爆発するか

原油も重要ですが、やはり注目は新型コロナウイルスの動向ですね。

NYダウは、年初来高値から安値までの下落幅の50%戻しまで回復しています。金融、財政両面の政策が好感されての戻り局面でしょうが、ビフォーコロナのようなグローバリゼーションへ即座に回帰するのは難しそうな印象。


世界経済の低迷が長期化するなら、ここから二番底をつけにいくと見る向きも多いですね。

NYダウ 日足
NYダウ 日足チャート

(出所:TradingView

先進国の中央銀行がマネーをジャブジャブにしているので、ロックダウン(都市封鎖)が解除され、経済がリスタートしたときのリバウンドは強烈なのではとのイメージもあります。


米国では失業者が急増していますが、同時に多額の給付金も出しています。リスタート時には、そうした効果が一斉に出てくる可能性もありますね。

二番底はない、という見方ですか?

NYダウは、すでに1万ドル下げています。かなりの悪材料はすでにプライス・イン(織り込み)されていると考えていいのではないでしょうか。

リスタートするためには、コロナの終息が条件になってきますね。

米国では拡大局面がピークアウトした州もあるようです。一部の州では、リスタートが近いのではとの見方も出ている。市場の見方が好転すれば、株価も徐々に戻していくのではないでしょうか。


もちろん、ここから一直線に上がっていくと想定しているわけではないですが。

【参考記事】
コロナショックのNYダウ暴落を、世界恐慌やリーマン・ショックのときと比較してみると…

■「リキッド化」する世界と米債の計画的デフォルト!?

今週(4月13日~)のスケジュールでは、17日(金)に中国の1-3月期GDP(国内総生産)が発表。予想では前年同期比6%のマイナス成長ですが、その程度で収まるのでしょうか……。

中国がそういうなら、それを指標にするしかないですね。

米国は国内で手一杯ですが、中国は今、新興国に医療物資を積極的に援助しているそうです。国際政治学者のイアン・ブレマー氏は、コロナをきっかけにして中国の存在感が高まると予想していますね。

大きな話になりますが、世界は「リキッド化」に向かっているのかもしれません。覇権や敵味方の構図などが、かつてない速度で変わっていくような時代です。


極論ですが、米国では「中国が保有する米国債をデフォルト(債務不履行)させればいい」との議論も起きています。中国内にある米企業の資産などは接収されるでしょうが、1兆ドルの米国債をチャラにすれば、中国の効力を弱めるともに、コロナ対策の費用をまかなえるだろう、と。

【参考記事】
マーケットは「アフターコロナ」に注目! 大規模金融緩和であふれた資金はどこへ(4月9日、西原宏一)

■「安全通貨」から脱落した円。今週も豪ドル/米ドルの買い

ロシアが米国債の売却を進めているのは、そうした動きを警戒しているからだとの見方もあります。いずれにせよ、今後のメルクマール(指標)となるのが中国の存在ですね。


今週(4月13日~)の戦略についてはどう考えますか?

3月に起きた急激な米ドル需要の高まりは落ち着き、大きな流れは米ドル売りでしょうし、ユーロもそれほど強くない。円もかつての「安全通貨」としての地位を失ったように見えます。

【参考記事】
日本は、本日(4月7日)緊急事態宣言発表へ。コロナウイルス相場が終われば米ドル安か(4月7日、バカラ村)

米ドルVS世界の通貨 日足
米ドルVS世界の通貨 日足チャート

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足

ジャブジャブにあふれたマネーの一部はコモディティ(商品)へと流れるでしょうし、そうなれば、豪ドルが買われやすくなるのでしょう。豪ドル/米ドルは先週(4月6日~)、連日の陽線で0.64ドル手前まで戻しましたが、引き続き、強気で見ています。

豪ドル/米ドル 日足
豪ドル/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

ゴールド(=金)も強いですね。円建ての店頭販売価格は、史上最高値を40年ぶりに更新しています。

NY金 日足
NY金 日足チャート

(出所:TradingView

米ドルはゴールドと逆相関になりやすいですから、その意味でも米ドル安なのでしょう。今週(4月13日~)も、豪ドル/米ドルの押し目買いでいいのだと思います。

【参考記事】
日本の緊急事態宣言でセル・ザ・ファクトか。豪ドルの瞬間的な急騰は、誤発注だった!?(4月6日、西原宏一&大橋ひろこ)
東京がロックダウンなら日本株はどうなる? 米ドル不足解消で米ドル売りが続きそう(3月30日、西原宏一&大橋ひろこ)

(構成/ミドルマン・高城泰)

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