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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

原油暴落! 今日がクライマックスかも!?
為替市場のルールは、変わりつつある!

2020年04月20日(月)17:10公開 (2020年04月20日(月)17:10更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■納会前日の手仕舞い売りで原油15ドル割れ

今朝(4月20日朝)は、WTI原油先物価格が暴落し、とうとう15ドルを割りました

WTI原油先物 5分足
WTI原油先物 5分足チャート

(出所:TradingView

もともとWTI原油先物は、限月間スプレッドが拡大していました。


足もとでは5月限が15ドル、6月限が23ドルで、8ドルという猛烈なコンタンゴ(期近より期先が高い状態)になっています。


これだけ開くのは見たことがありません。

WTI原油先物 5分足
WTI原油先物 5分足チャート

(出所:TradingView

異常ですね。

逆にいえば、現物を買って長期保有していれば確実に儲かるサヤであるということ。


先物市場でも価格が下落しているのにネットロングが積み上がっていました。


しかし、5月限は明日4月21日(火)が納会です。


現受けできないのであれば、反対売買をして決済しなくてはなりません。


ポジション整理が加速しているものと思われます。

■原油はセリング・クライマックスか

ただ、株式市場は無反応ですね。


もともと3月の株価暴落は、3月9日の月曜日早朝に原油が急落したことがきっかけでした。


その直後は、原油と株価のコリレーション(相関性)を注目していましたが、今の原油は産油国会合や要人発言に左右されるだけの「政治プロダクト」となってしまい、株価とのコリレーションも切れている印象です。

【参考記事】
米ドル/円、95円が現実的なターゲットに!? 新型コロナに減産協議決裂…リスク満載!(3月9日、西原宏一&大橋ひろこ)

原油価格の下落は米国のシェール企業に打撃ですし、すでに破たんした会社も1社出ています。


シェール企業の資金調達先であるハイイールド債市場が、この先、穏やかに推移するのかといえば疑問です。


時差をともなって株式市場に影響する可能性もありますよね。

【参考記事】
日本の緊急事態宣言でセル・ザ・ファクトか。豪ドルの瞬間的な急騰は、誤発注だった!?(4月6日、西原宏一&大橋ひろこ)

週末にはシンガポールの石油商社が経営破たんしたというニュースも出ていましたね。


石油商社が飛んで、アジア市場でこれだけ暴落し、かといって株式市場は無反応なところからすると、今日(4月20日)がセリング・クライマックスではないかとの印象もあります。

■ゴールドでも起きていた異常事態

異常事態は、ゴールドでも起きています。


3月、ロコ・ロンドンの金スポット(現物)とNY金先物の価格差が100ドル近く開く瞬間がありました。現在でも15ドルほど開いたままです。


スプレッドが拡大を始めたのは3月23日(月)。英国でロックダウンが始まった日です。


ロンドンのディーラーが出社できず、正確なプライスを出せなくなっているとの指摘があるほか、金の精錬所がロックダウンされ、現物の流通が滞ったことで先物市場に資金がなだれ込んだ可能性もあり、新型コロナウイルスがコモディティ市場の価格の歪みを大きくさせています。

金スポット&NY金先物 4時間足
金スポット&NY金先物 4時間足チャート

(出所:TradingView

市場の注目は、依然として新型コロナの行方。


米国では、トランプ米大統領が言っていたとおり、ピークアウトが近づいており、ロックダウンの解除に向けて動き出しています。


株式市場が強含んでいるのは、経済活動のリスタートを見越しているのでしょう。


今は急落からの半値戻しの水準なので、いったん戻される可能性はありますが、徐々に底固めしているように見えます。

【参考記事】
なぜ不景気の株高に? ウイルス蔓延で深刻な景気後退にならなかった3つの事例とは?(4月17日、陳満咲杜)

NYダウ 日足
NYダウ 日足チャート

(出所:TradingView

今週(4月20日~)は、米国で企業業績が出てきます。大幅な業績悪化は避けられないですね。

悪い数字となって当然ですから、さほど反応はないでしょう。


むしろ、リスクとしては意外といい数字が出てきたときの反発でしょう。

悪い数字が出ても無視され、予想よりもいい数字が出たときは反応しやすい、ということですね。

■為替市場のルールが変わりつつある

トランプ米大統領からは、「米ドルはとても強い。強い米ドルは全体としてとても良いことだ」との発言も出ています。


これまでの米ドル安支持から一転した発言ですよね。

トランプ米大統領写真

トランプ米大統領は4月17日(金)、「米ドルはとても強い。強い米ドルは全体としてとても良いことだ」と発言した。これまでの米ドル安支持から一転した発言だと大橋氏は指摘  (C) Chip Somodevilla/Getty Images News

真意はわかりませんが、株が下がっても外国人が円を買わないようになっていますし、リスクオフだからと豪ドルが売られる場面も減りつつあります。


為替市場のルールが変わりつつある感じが強いですね。

【参考記事】
米国はロックダウン解除に向けた動きに。株下落でも米ドル/円は110円に向けて上昇へ(4月16日、西原宏一)

米ドル/円では下がればGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の買いが出てきますし、リスクオンでもリスクオフでも米ドル買いになりやすいですね。


ただ、為替市場全体はレンジ傾向を強めていて、難しい……。

【参考記事】
為替相場は当面、レンジが続きそう…。米ドル/円は106.80~109.30円程度を想定(4月16日、今井雅人)

基本的な考え方は、変わりません。


米ドル/円は底堅いでしょうし、豪ドルの調整はもう少し続く可能性はありますが、いずれ上昇再開だろうと見ています。


今週(4月20日~)も引き続き、豪ドルの押し目買いでいいのでしょう。


イタリアやスペインを中心に、欧州は新型コロナの傷が深く、復興にも時間がかかるのかもしれない。


欧州に流れるマネーの一部がオセアニアへと流れる動きも出てくるかもしれません。

【参考記事】
悪材料織り込みでNYダウの二番底はない!? 大きな流れは米ドル安。豪ドル買い継続へ(4月13日、西原宏一&大橋ひろこ)
日本の緊急事態宣言でセル・ザ・ファクトか。豪ドルの瞬間的な急騰は、誤発注だった!?(4月6日、西原宏一&大橋ひろこ)
東京がロックダウンなら日本株はどうなる? 米ドル不足解消で米ドル売りが続きそう(3月30日、西原宏一&大橋ひろこ)

(構成/ミドルマン・高城泰)

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