昨日は午後の14時からという公的機関のための値決めによって、日本株は大きく持ち上がった。東京クローズ後も買い戻しの流れは弱まらなくて、日経先物は22000円台乗せを達成している。しかしこの時間帯はちょうどグローベックスでの米国株が前日比でマイナス点したタイミングと合致している。
要するに日本株だけ独歩高だったのだ。相関性を無視したバリューの底上げは、すなわち猛烈な割高感を伴う。日経先物でいうとこのステージだけで400円ほどの割高が進んだということになる。
日本人の猛烈なリスクテークが起こっていたことは容易にわかるが、この時間帯には重要な全人代の決定を控えていた。アメリカが気にしている香港の扱いだ。これを懸念して安心してリスクテークしていけないというのが世界的なコンセンサスである。そして欧州序盤で香港を標的にした国家安全法の導入が決定された。
すぐにではないだろうが、米中対立の亀裂が深まるのは明らかなこと。安全志向の高まりによって欧州債、米国債は買われ、長期金利は下落した。それがドル安を演じることとなった。ドル円は相変わらずの同じ水準に位置していたが、ユーロドルは一方的な値上がりを呈することとなった。
ユーロの買いは今週に入ってからの流れではあるが、それでもユーロドルが前日の高値を上抜いてきたことは大きく、そのための買い戻しのストップロスが誘発された側面が大きい。
しかしトランプ大統領はツイッターでの注意書き問題で忙しいせいか、中国マターについて意見を表明しない。それで警戒モードに入っていた米国株は高値追いの理由を見いだした格好となって、株価ラリーとなった。
ニューヨーククローズ間際に「29日にも中国について発言する」と伝わり、それからようやくリスク回避の動きが出てきたが、それまでの上げ分を飛ばしただけで大きなディップは作らなかった。
今晩はそのトランプ大統領が何を言うのかに注目が集まる。本音としては中国と対立したくはないはずだから、激したコメントは出てこないのかしれない。そうなるとリスク回避の巻き返しが起こることになり、ドルの買い戻しがかなり進むのではないかと思われる。また市場の期待通りに中国を非難したところで、すでに警戒済みと言うことでパニック的な動きは出ないだろう。
日本時間 15時00分
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