■ビッグマック指数では1ドル=68.78円
最後に、(3)の購買力平価ですが、これは海外と日本との物価の差です。
日本の場合、長い間インフレがないので、国内物価はほとんど昔と同じです。
しかし、海外はそれなりに物価が上昇しているので、価格は上昇していきます。
ラーメン一杯の値段でも、日本では700円前後でも、ニューヨークでは2000円前後というのはよく聞く話です。
購買力平価は算出方法によって、いろいろと違ってきますが、1ドル=95円前後という数字がもっとも多いのではないでしょうか。
財団法人国際通貨研究所では、企業物価で97.94円と算出しています。
(出所:財団法人国際通貨研究所)
わりと公平に比較できるものとしては、英エコノミスト誌が出している「ビッグマック指数」があります。
マクドナルドのビッグマックは世界中で売っていますが、その値段を比較することで、各国の購買力を比較しようと言うものです。
2020年1月時点の最新データでは、米国ではビッグマック1個の値段は5.67ドル、日本では390円。そこから計算される米ドル/円レートは1ドル=68.78円です。

(出所:英エコノミスト誌)
多くの人は驚かれるかも知れません。しかし、それが今の日本と米国の価格差です。
■株式市場と日本の財政への懸念が円安要因か
(1)の金利差、(2)の経常収支、(3)の購買力平価、いずれで見ても、有り得るべき米ドル/円相場は円高を示唆しています。
これだけ円高を示唆する条件が揃っているのに、なぜ円高に行かないのか。
一つには、債券市場より株式市場の影響度が高まっていることがあるかもしれません。
【参考記事】
●株価と為替の関係はいつも同じではない。「リスクオフの円高」がなくなる日は近い(2月19日、志摩力男)
世界中、金利がゼロ近辺へと低下し、資産運用の場としての債券市場は存在感をなくしています。つまり、金利差の意味がなくなりつつあります。
また、高い成長を享受するには、株式投資が欠かせません。資産運用の主戦場が債券から株に移っているのかもしれません。
裏を返せば、日本は成長しないと、投資家が思っているからでもあります。主因は、人口減です。
そして、長期的な日本の財政に対する懸念もあります。
特に最近、コロナ対策としてとてつもなく巨額の財政支出をしましたが、事実上の「財政ファイナンス」とみなされている部分はあるでしょう。それは円安要因です。
【参考記事】
●新型コロナ対策の補正予算は巨額! リスクは円安方向。ユーロ/円は長期の大底形成中か(6月3日、志摩力男)
■為替相場にもまだわかっていない「ファクターX」がある
日本は、特別、厳しい措置をとらなかったにもかかわらず、新型コロナウイルスの感染は収まりつつあります。
欧米のように感染が広がらなかった本当の理由は、まだわかっていません。
それは最近「ファクターX」と呼ばれていますが、為替相場にもまだわかっていない「ファクターX」があるのでしょう。それを探していきたいと思います。
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
2023年3月28日(火)20時~志摩力男のYouTube「グローバルFXトレード!チャンネル」で「ライブ配信!志摩力男」を開催します。

誰でも無料で参加できるので、ぜひご視聴ください。詳しくは、【参考記事】をご覧ください。
【参考記事】
●YouTube生配信!「ライブ配信!志摩力男」 3月28日20時開催!FXプロトレーダー・志摩力男が新年度入りからの 実践FXトレード戦略を語る!
ゴールドマン・サックス証券、ドイツ証券など外資系金融機関を中心にプロップディーラーとして活躍した、業界では知らない人がいないほどの伝説のトレーダー志摩力男の有料メルマガ「志摩力男のグローバルFXトレード!(月額:4,950円[税込み])」がザイ投資戦略メルマガで好評配信中!
世界情勢の解説に定評がある志摩氏。その分析に基づいたポジションや、実践的な売買アドバイスのメールがほぼ毎日届きます。スウィングトレードが中心なので、日中は仕事をしている人にも向いているメルマガです。
また、志摩氏が購読者の質問にメールで直接答えてくれるため、FX初心者やFXの理解を深めたい人に最適です。
登録後10日間は無料なので、ぜひ 「志摩力男のグローバルFXトレード!」を一度体験してみよう!
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)