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田向宏行
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FX情報局

マイナンバーは口座開設や確定申告で必須。
FX会社へマイナンバー未提出だとどうなる?

2020年09月25日(金)12:15公開 (2020年09月25日(金)12:15更新)
FX情報局

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■FX取引を始めるにはマイナンバーが必要

FX取引を始める際、必要となるもの。そのひとつがマイナンバー(個人番号)です。

 マイナンバーとは、国民一人ひとりに割り当てられた12桁の数字で、社会保障や税、災害対策にかかわる行政手続きの際などに提出が求められます。

 それは、FXにも無関係ではありません。FX口座を新規開設する場合、運転免許証や保険証といった本人確認書類とともに、マイナンバー確認書類を提出する必要があります。マイナンバー確認書類を提出しないと、口座開設ができなかったり、口座開設はできても取引ができないしくみになっているのです。

【FX初心者のための基礎知識入門】
FXの口座開設に必要な本人確認書類とは? 事前に準備しておけば、手続きがスムーズに

 そんなFXとマイナンバーの関係について、ザイFX!では、マイナンバー制度の運用が始まった2016年(平成28年)1月の翌月(2016年2月)に、以下のシリーズ記事で深堀りしました。

【参考記事】
FXとマイナンバー(1) 心配無用! FX会社はマイナンバーを何に使うの?
FXとマイナンバー(2) 会社によって違う!? いつ、どうやってマイナンバーを通知する?
FXとマイナンバー(3) ついに発見! マイナンバー確認書類提出が不要な会社

 また、FXで一定以上の利益が出たら、トレーダー自身で必ず行う義務がある確定申告においても、2016年分からは、本人確認書類に加えて、マイナンバー確認書類の提出が必要に。2017年版(2016年分)のFXの確定申告特集記事では、マイナンバーの解説にウェートを置きました。

【参考記事】
【2017年版】FXの確定申告総まとめ! 「マイナンバー」必須! 負けた人ほど申告を!?

 しかし、マイナンバー制度導入から数年が経過し、マイナンバーをめぐるルールは徐々に変わりつつあります。そこで、本記事ではFXとマイナンバーの関係を改めて整理したいと思います。

■通知カードが廃止に! 住所や氏名が変わると使えなくなる

 FXの口座開設や確定申告の際に提出が必要なマイナンバー確認書類ですが、いくつか種類があり、以下のなかからひとつを提出することになります。


マイナンバー確認書類の種類
(1)通知カード(※)
(2)マイナンバーカード(個人番号カード)(※)
(3)マイナンバー記載の住民票の写し、もしくは住民票記載事項証明書

※氏名、住所等の記載事項が住民票と一致するもの


 まず、(1)通知カードから見ていくと、マイナンバーが記載された通知カードは、マイナンバー制度運用開始前の2015年(平成27年)10月から対象者に向けて郵送されました。通知カードが手元にある方は条件を満たせば、マイナンバー確認書類として利用できます

通知カード
通知カード画像

(出所:総務省)

 けれど、2020年(令和2年)5月25日(月)、通知カードは法改正によって廃止されました。これにより、通知カードの新規発行や再交付、記載事項変更の手続きはできなくなったのです。

 そうはいっても、通知カードがマイナンバー確認書類としてまったく利用できなくなったわけではありません。

住所、氏名といった記載事項が住民票と一致している通知カードは、マイナンバー確認書類として引き続き利用できます

注意が必要なのは、引っ越しや結婚などで住所や氏名が変わった場合です。

 住所や氏名の変更手続きは、住民票ではできますが、通知カードではできませんから、この場合、通知カードはマイナンバー確認書類として利用できなくなってしまう、ということになります。

 ちなみに、2020年(令和2年)5月25日(月)以降にマイナンバーが割り当てられた対象者には、通知カードではなく、「個人番号通知書」が郵送されます。個人番号通知書にはマイナンバーが記載されていますが、マイナンバー確認書類としては利用できません。

■マイナンバーカードは1枚2役! でも、発行に時間がかかる

 通知カードが発行された当時の住所や氏名と今の住所や氏名が変わってしまった場合でも、引き続きマイナンバー確認書類として利用できるのが(2)マイナンバーカードです。

マイナンバーカード
マイナンバーカード画像

(出所:総務省)

マイナンバーカードの新規発行は無料で、パソコン、スマホ、まちなかの証明写真機、郵送、市区町村の役所窓口で申請することが可能。申請から発行までおよそ1カ月かかります。

マイナンバーカードをすでに持っている場合だと、住所や氏名に変更があれば、14日以内に市区町村の役所窓口で、記載内容を変更することになります。

 変更内容はマイナンバーカードの追記欄に記載され、追記欄がいっぱいになるとマイナンバーカードは再発行されます。

 また、2019年11月5日(火)からは政令改正により、結婚などで名字が変わった場合、マイナンバーカードや住民票に旧姓(法的には旧氏(きゅううじ))を併記できるようになりました。

マイナンバーカードは表面が本人確認書類、裏面がマイナンバー確認書類として利用できるため、FXの口座開設や確定申告の際、マイナンバーカード1枚で対応できるという大きなメリットがあります。

 ただ、先ほど述べたとおり、マイナンバーカードの新規発行にはおよそ1カ月かかります。マイナンバー確認書類が急に必要となったとしても、マイナンバーカードをすぐに用意することはできませんので、使いたい方は余裕をもった準備をしておくべきでしょう。

■マイナンバー記載の住民票の写しや、住民票記載事項証明書は即日発行

 市区町村の役所で発行される、(3)マイナンバー記載の住民票の写し、もしくは住民票記載事項証明書もマイナンバー確認書類として利用できます。

 こちらは発行のたびに手数料がかかりますが、役所窓口なら即日発行されるため、通知カードやマイナンバーカードは使えないけれど、急ぎでマイナンバー確認書類が必要となる場合、これを活用することになります。

 ここまで、FXの口座開設や確定申告の際に必要となるマイナンバー確認書類について確認してきました。

 引っ越しや結婚などで、住所や氏名が変わるのは誰にでも起きうること。通知カードが廃止されたことで、住所や氏名が変わったときに、通知カードがマイナンバー確認書類として使えなくなるという状況が、いつかやってくる可能性は高いでしょう。

 その場合、口座開設や確定申告のたびに、マイナンバー記載の住民票の写し、もしくは住民票記載事項証明書を発行するのもアリですが、その分、役所窓口に行く手間や発行手数料がかかります。

マイナンバーカードは、発行におよそ1カ月かかるものの、発行手数料は無料で、本人確認書類とマイナンバー確認書類を兼ねた便利なカードです。口座開設や確定申告の際も、マイナンバーカード1枚でスマートに対応できますから、余裕をもって準備しておくとよさそうです。

■FX会社へのマイナンバー登録期限、2021年末まで延長

 さて、冒頭で触れたとおり、マイナンバー制度の運用が開始されたのは2016年1月だったわけですが、2015年12月以前のFX口座開設ではマイナンバーがそもそも存在しなかったわけですから、その登録も必要ありませんでした

 2015年12月以前にマイナンバーを登録せずにFX口座を開設していた場合、マイナンバーを提出するまでに3年間の猶予期間が設けられたため、2016年1月以降、マイナンバーが未提出であっても、通常どおり取引することができたのです。

 そして、3年間の猶予期間が2018年12月で終わるのを前に、ザイFX!では、マイナンバーを2018年末までに登録しないと本当にFX取引ができなくなるのか、2018年11月に調査して記事にしたことがありました。

【参考記事】
迫るFX会社へのマイナンバー登録期限。18年末までに登録しないと取引できなくなる?

 けれど、政府は2018年12月、2015年12月以前に開設された証券口座におけるマイナンバーの提出割合が低いとの理由から、マイナンバー登録の猶予期間を2018年末から2021年末まで、さらに3年間延長したのでした。

 それは、2015年12月以前に開設されたFX口座についても同様で、マイナンバーが未提出であっても、通常どおり取引できる状況が2021年末まで続くことになります。

■ほふりへの要請で、証券口座のマイナンバー取得が可能に

 ただ、2020年(令和2年)4月1日(水)には、マイナンバーの提出に関する重要な法改正が施行されました。

 2015年12月以前に開設されたマイナンバー未提出の証券口座において、証券会社等がマイナンバー情報提供を要請すれば、株式・債券・投資信託などの保管・振替を行っている証券保管振替機構(ほふり)がマイナンバーを回答できることになったのです。

証券会社等がほふりを通じてマイナンバーを取得できる解説図

(出所:財務省)

 ということは、証券会社で、2015年12月以前に証券口座とFX口座を開設したユーザーがマイナンバーを提出していなくても、証券会社がほふりに要請すれば、証券口座に紐づいたマイナンバーを取得できる可能性があるため、そのマイナンバーがFX口座にも反映されるということはあり得るでしょう。

 一方で、2015年12月以前に、FX専業会社のFX口座を開設していたり、証券会社で証券口座を開設せず、FX専用口座だけを開設している場合はどうでしょうか。

 証券会社がほふりに情報提供を要請できるのは証券口座のマイナンバーであり、FX専業会社や証券会社にFX口座のみ開設されているようなケースでは、それらの会社がほふりにマイナンバー情報提供を要請することはできないと思われます

 このようなケースでは、これまでと同様に、マイナンバー未提出のユーザーに対して、2021年末までのマイナンバー提出を引き続き促していくということになりそうです。

 将来的に、2015年12月以前に開設されたFX口座におけるマイナンバー提出状況が行政で問題視されるようなことがあれば、FX会社がマイナンバーを取得できるしくみづくりが行われる可能性もあるかも…しれませんね。

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