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FXの税金・確定申告[2025年最新版]

【2017年版】FXの確定申告総まとめ!
「マイナンバー」必須! 負けた人ほど申告を!?

2017年02月16日(木)12:10公開 (2017年02月16日(木)12:10更新)
ザイFX!編集部

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【FXの税金・確定申告の詳しい解説記事はこちら!】
FXの利益にかかる税金の基本情報、確定申告のやり方、確定申告に必要なもの、誰でもできる節税対策などをわかりやすく解説!

【2024年(令和6年)分の確定申告に関する記事はこちら!】
【2025年版・FXの税金と確定申告】2024年分の確定申告は2月17日(月)に開始。申告は申告書の作成から提出まで、すべてがオンラインで完結するe-Taxがおすすめ!


総決算イベント「確定申告」の時期到来!

 振り返ってみると、2016年は英国のブレグジットやトランプ氏の勝利で終わった米大統領選など、「まさか!」が現実のモノとなり、マーケットが大いに荒れた1年でした。

【参考記事】
2017年 謹賀新年:エコノミストは丸の内の焼き鳥屋でトランプ相場の悪夢を見るか?

 激しい相場展開の中、すごく儲かった人、涙も枯れるくらい損した人、いろいろあると思いますが、各人のエピソードはさて置き、2月16日(木)からは、そんなFXトレーダーのみなさんが無関心ではいられない1年間のトレードの総決算イベント、確定申告が始まります

2016年(平成28年)分の確定申告期間は、2017年2月16日(木)~3月15日(水)です。

国税庁の「確定申告特集」ページ
国税庁の「確定申告特集」

 2016年末にも簡単な記事を公開しましたが、当記事では改めて2016年(平成28年)分の確定申告について、FX税制の概要とともに押さえておきたいポイントを紹介していきたいと思います。

【参考記事】
含み損を決済して年内最後の節税対策!? 2016年分の申告にはマイナンバーが必要

 一般的な会社員や主婦(夫)の人は、確定申告になじみがないかもしれませんが、FXをはじめ、投資などで一定の所得がある場合、確定申告が必要になります。「知らなかった…」なんてことがないように!

取引で損失が出ている人も、「損益通算」や「繰越控除」といった制度を使って節税対策ができる可能性がありますので、関係ないなんて思わず、最後まで記事を読んでくださいね。

確定申告にも「マイナンバー(個人番号)」が必要!

 まず、2016年(平成28年)分の確定申告で、前年分の手続きと決定的に違うのは、先ほど紹介した国税庁の「確定申告特集」ページにもデカデカと掲載されているとおり、申告手続きに「マイナンバーの記載と本人確認書類(番号確認書類+身元確認書類)の提示または写しの添付」が必要になった点です。

確定申告の手続きに、「マイナンバーの記載と本人確認書類(番号確認書類+身元確認書類)の提示または写しの添付」が必要になった

※FX会社で口座開設をする際にも本人確認書類(運転免許証など、ここでいう「身元確認書類」に相当するもの)の提出を求められるが、確定申告で必要な本人確認書類は、「番号確認書類」と「身元確認書類」を合わせたものを指す。FX会社で口座開設の際にコピーや画像アップロードなどで提出を求められる本人確認書類とは意味合いが違うので要注意!

 2016年1月から運用が始まったマイナンバー(個人番号)制度ですが、お手元にマイナンバーが記載された書類はありますか? 確定申告の手続きに入る前に、必ず確認するようにしてくださいね。

【参考記事】
FXとマイナンバー(1) 心配無用!FX会社はマイナンバーを何に使うの?

 まず、確定申告書のマイナンバー記載箇所は、以下のようなイメージです。申告書の様式に大きな変更はなく、マイナンバーの記載箇所が新たに設けられた感じ。所定の箇所に12桁のマイナンバーを記入します。

 場合によっては、配偶者や扶養親族などのマイナンバーの記入が必要になるケースもありますので、必要な方は併せて確認するようにしてください。

例:申告書B様式 第一表(クリックで拡大)
例:申告書B様式 第一表

「番号確認書類」と「身元確認書類」が必要

 次に、提示または写しの添付が必要となった「本人確認書類(番号確認書類+身元確認書類)」について詳しく見ておきましょう。

番号確認書類として利用できるのは、「通知カード」、「住民票の写し」または「住民票記載事項全部証明書」、「マイナンバーカード(個人番号カード)」あたり。確定申告書提出の際には、この中からいずれか1つの提示または写しの添付が必要となります。

身元確認書類として利用できるのは、「運転免許証」、「公的医療保険の被保険者証」、「パスポート」、「身体障害者手帳」、「在留カード」、「マイナンバーカード(個人番号カード)」など。こちらも、いずれか1つの提示または写しの添付が必要となります。

確定申告で利用できる本人確認書類例

 「番号確認書類」や「身元確認書類」の写しを添付する際は、専用の「添付書類台紙」に貼りつけて申告書とともに提出します。「添付書類台紙」は、国税庁の「確定申告特集」ページなどから他の申告書といっしょにダウンロードすることが可能ですので、そちらを利用するようにしてくださいね。

「マイナンバーカード(個人番号カード)」1つでOK

 図解したとおり、「マイナンバーカード(個人番号カード)」は、番号確認書類と身元確認書類のどちらの役割も果たしてくれますので、これがあれば、提示や写しの添付もこれ1つで済ませることが可能です。

 ただし、「マイナンバーカード(個人番号カード)」は、「通知カード」とは異なり、自動的に送られてくるものではありません。所定の手続きに従い、郵送やオンライン申請した人にのみ個別で発行されます。

 先ほど「番号確認書類として利用できるもの」の1つとして紹介した「通知カード」は、マイナンバー制度が始まる直前、2015年10月頃から簡易書留で対象者に向けて送付された、マイナンバーが書かれた紙製のカードです。「マイナンバーカード(個人番号カード)」とは異なるものですので間違わないようにしてください。

【参考記事】
FXとマイナンバー(2) 会社によって違う!? いつ、どうやってマイナンバーを通知する?

「通知カード」と「マイナンバーカード(個人番号カード)」のみほん

(出所:総務省)

「マイナンバーカード(個人番号カード)」発行は?

 ならば、申請した人にのみ個別で発行される「マイナンバーカード(個人番号カード)」は、どのくらいの時間で発行手続きが完了するのか? ついでに確認しておくと、確実なことは言えませんが、少なくともネットで頼んだ商品が2、3日程度あればだいたい手元に届くAmazon並みのスピード感は、期待できなさそうです…。

 いくつかの市区町村のウェブサイトなどを見たところ、「マイナンバーカード(個人番号カード)」発行の申請をしてから交付まで、だいたい2、3週間~1カ月程度の時間が必要と書かれていました。

 したがって、今現在、手元に「マイナンバーカード(個人番号カード)」がないという方は、今から申請しても間に合わない可能性がありますので、2016年(平成28年)分の確定申告で利用するのは難しいかも…。

 来年の確定申告のためにと、申請しておくのは良いと思いますが、今回の確定申告にあたっては「マイナンバーカード(個人番号カード)」以外の本人確認書類を準備してもらった方が良さそうです。

FXの利益(所得)に対する税率は、一律20.315%!

 続いて、もっとも大きな変更点を押さえたところで、ここからはFXの税金に関わる基本点なポイントをざっと確認していきましょう。

 FXに関しては、2015年(平成27年)分の確定申告から税制自体に変更はありませんので、確定申告が始めてではないという方は復習のつもりで読み進めていただければと思います。

 みなさんが気になるのは、結局のところ、「自分は確定申告が必要なのか?」という点と、「FXで発生した利益には、いったいどのくらいの税金がかかってくるのか?」という点ではないでしょうか?

 順に確認していきますが、先に、後者の「FXで発生した利益にはいったいどのくらいの税金がかかってくるのか?」という点を簡単に確認しておくと、これは法律で一律20.315%(所得税15.315%・住民税5%)(※)と定められています。

(※本来は所得税15%・住民税5%で一律20%だが、2013年~2037年は、所得税に対して2.1%の復興特別所得税が課されるため、期間中の税率は所得税・住民税合計で20.315%となる)

 FXで発生した利益は申告分離課税という課税方式が適用されますので、ほかに所得があろうとなかろうと一定の利益が発生した場合は、誰でも等しく確定申告する必要があるという点を、まずは確認しておいてください。

確定申告が必要となるのはどんな人?

 では、いったいどのくらいFX取引で利益が出たら確定申告が必要になり、20.315%の税金を支払わなければならないのでしょうか?

 以下に、納税対象者の例を挙げながら、確定申告が必要になる水準を紹介していきますので、「自分は確定申告が必要なのか?」を考えるうえで参考にしていただければと思います。まずは、「自営業・自由業」、「主婦(夫)・学生」のケースから見ていきましょう。

確定申告の対象となる例

「自営業・自由業」の場合は、FXトレーダーであるなしに関わらず、確定申告するケースが多いと思います。基本は、FXを含め基礎控除38万円超の所得がある場合、確定申告が必要です。

 また、「主婦(夫)や学生」など個人としての収入があまりない場合も、FXを含め基礎控除38万円超の所得がある場合は、確定申告が必要となります。

 ただし、「主婦(夫)や学生」でもパートやアルバイトをしており、源泉徴収を受けている場合は、会社員と同じ扱いとなります。給与所得以外の所得が20万円超であれば確定申告が必要となりますので注意してください。

なお、詳しくは税務署などで確認が必要ですが、FX取引を事業として行っている場合は、取引で出た利益が雑所得ではなく、「事業所得」になる可能性もなくはないようです。とはいえ、本格的に事業として取引する場合は法人を設立するでしょうし、ウワサレベルではありますが、FXで得た所得を事業所得として申告しても、税務署に認めてもらうのは難しいなんて話も聞きます…。

 でも、もし事業所得と認められれば、雑所得では使えない制度が使えたりしますので、場合によっては支払う税金の額に大きな違いが出てくるかも。気になる方は、一度、管轄の税務署や税理士などの専門家に相談してみると良いのではないでしょうか。

「会社員」や「年金生活者」の場合は?

 続いて「会社員」や「年金生活者」のケースを見ていきましょう。

確定申告の対象となる例(再掲載)

「会社員」の場合は、勤務先からの給与支払い時に源泉徴収が行われ、さらに年末調整が実施されることで税の過不足が調整されますので、基本的に自分で確定申告をする必要はありません(給与収入額が2000万円を超える場合は、そもそも確定申告が必要)。

 ただし、FXを含め給与所得以外で20万円超の所得があれば確定申告が必要ですので、忘れないようにしてくださいね。

 最後に、「年金生活者」の場合は、「公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下」で、かつ「公的年金等に係る雑所得以外の各種の所得金額が20万円以下」なら確定申告が不要となる制度が設けられています(確定申告不要制度)

 これは、年金生活者の確定申告の負担を減らすために設けられた制度で、この制度によって多くの年金生活者は、基本的には確定申告をする必要がなくなりました(公的年金等の収入金額が400万円超の場合は確定申告必要)。

 ただし、「公的年金等の収入金額が400万円以下」の年金生活者であってもFXを含め「公的年金等に係る雑所得以外の各種の所得金額」が20万円超の場合は確定申告が必要となります。忘れず、申告するようにしてください。

 なお、FXの場合、1年間の利益がまるまる確定申告の対象金額となるのではなく、利益から一定の必要経費(取引手数料やセミナー受講費、書籍代金など)を差し引いた金額に対して、最終的な納税額を算出することができます。

 紹介したいずれのケースも、大元の利益全額ではなく、必要経費を差し引いてどのくらいの金額になるのかを算出し、確定申告が必要かどうかを考える目安にしてください(※)

(※経費の範囲には具体的な定めがないため、実際に申請する際には管轄の税務署などに経費に該当するか否かを確認することをおすすめします)

【参考記事】
あの投資家たちのFX確定申告の実態(1)ひろぴーさんが必要経費に入れたものは?

FXで発生した利益は「雑所得」になる

 さて、若干、小難しい話になってしまいますが、より正確にFXの税金について理解するために、ここで所得税のしくみについて少し突っ込んでお話したいと思います。

 まず、所得税算出の大元となる「所得」は、その性質ごとに所得税法上、10種類に分けられています

所得の分類:10種類

※国税庁のウェブサイト「タックスアンサー>所得税>所得の種類と課税のしくみ>No.1300 所得の区分のあらまし」を参考にザイFX!編集部が作成

 たとえば、会社員が勤務先から受け取る給与や賞与などの所得を「給与所得」、不動産の貸付けなどで得る所得を「不動産所得」、預貯金などの利子を「利子所得」、株式などの配当金を「配当所得」などと言います。

 この10種類の所得のうち、FXで発生した利益は「雑所得」という所得に分類されているのです。

「申告分離課税」だから自分で確定申告が必要!

 課税方法は、所得の種類によってさまざまですが、日本の所得税は所得の種類を問わずすべて合算し、その合計金額によって税率が変わる総合課税方式が基本(所得が多いほど税率が高くなる累進課税)。

昔はFXの所得も総合課税方式が適用されていたのですが、2012年に税制が変わり、以降、FXで発生した「雑所得」は、他の所得と切り離して課税される「分離課税」が適用されるようになりました。ただし、「雑所得」に分類されるすべての所得が「分離課税」というワケではなく、FXなどいくつかの所得が例外的にそうなっているという感じです。

【参考記事】
【2013年版】税理士・三瀬氏に聞く確定申告(1)FXで損している人も確定申告でお得に!?

 分離課税はさらに、一定の税率で自動的に所得税が徴収される「源泉分離課税」と自分で確定申告しなければならない「申告分離課税」に分かれており、FXで発生した所得には、このうち「申告分離課税」が適用されます。

 先ほど紹介した10種類の所得のうち、たとえば預貯金などの利子を表す「利子所得」には源泉分離課税が適用されますので、基本的に確定申告の必要はありません。しかし、「申告分離課税」が適用されるFXは、自分で確定申告をしなければ誰もやってくれません。

 わからないからって放置すると、申告が遅れて「無申告加算税」が課される可能性がありますし、きちんと理解せずに申告し、結果、本来、申告しなければならない金額よりも少ない所得を申告していたら「過少申告加算税」が課される可能性もあります。故意であるなしにかかわらず、です。

 さらに、申告遅れや申告間違いが悪質と判断されれば、最悪「重加算税」というエグい追徴課税を言い渡されることになるかも…。「つい、うっかり」で、脱税とかシャレにならないですから、気をつけましょう。

【参考記事】
FXで8億円稼いだ主婦…池辺雪子さんのトレード手法(1) ~合計利益は4億円ではなく、8億円!!~~
脱税総額9億円! 超ビッグFX対談!! 池辺雪子×磯貝清明

所得税の課税方式概要

※いずれも所得税と住民税を合算した税率。2013年~2037年は、所得税に対して2.1%の復興特別所得税が課される。「総合課税」については、復興特別所得税を加味せずに記載。FXなどの税率は本来、所得税15%・住民税5%で一律20%だが、期間中の税率は所得税・住民税合計で20.315%となる。なお、分離課税の税率は、対象所得の種類などにより異なるケースがある(20.315%とは限らない)

セミナー受講費などは経費に入れられるみたい

 なお、先ほども少し紹介しましたが、実際に納税する所得税の金額は、原則として、収入全部を元に算出されるのではなく、必要経費や各種控除などを差し引いた金額を元に算出されます。


<所得税算出の基本的な計算式>

収入-経費-各種控除=所得税算出の元となる金額

所得税算出の元となる金額×税率(※)=所得税額
(算出された所得税額から、税額控除が適用されるケースもある)

※2013年~2037年は、所得税に対して2.1%の復興特別所得税が課される


 お伝えしたとおり、FXの場合は、取引手数料やセミナー受講料、書籍代などが必要経費として認められるようですが、実際、今は取引手数料無料のFX会社が多いので、利益(収入)から必要経費(※)として差っ引けるのはセミナー受講料や書籍代くらいかもしれませんね…。

(※経費の範囲には具体的な定めがないため、実際に申請する際には管轄の税務署などに経費に該当するか否かを確認することをおすすめします)

【参考記事】
あの投資家たちのFX確定申告の実態(1) ひろぴーさんが必要経費に入れたものは?

 控除については、ややこしいので、ここでは詳しい説明は省略しますが、38万円の基礎控除のほか、全部で14種類の所得控除があり、納税者の状況によってさまざまなものが適用されます。

 控除の件もそうですが、とにかく確定申告については、もし間違いや勘違いがあっては大変なので、わからないことは税務署や税理士などの専門家に相談するなどして、うやむやにすることがないようにしてください

含み益は課税対象とはならないが、スワップ金利は?

 ちなみに、ここで言う「FXの収入(利益)」は、決済し、確定した為替差益とスワップ金利(スワップポイント)のことを指します。未決済ポジションの含み益は確定申告の対象とはなりません

 ただし、未決済ポジションから発生するスワップ金利については、FX会社によって税制上の扱いが異なり、確定申告の対象になるケースとならないケースがありますのでご注意を。

【参考記事】
あの投資家たちのFX確定申告の実態(2) 含み損なのにスワップ分を納税する悲劇!?

1年間のトータル損益については、FX会社や証券会社が出してくれる「年間損益報告書」(「年間取引報告書」など名称が異なる場合もある)で確認することができますので、利用各社で取得し、詳細を確認するようにしてくださいね。

「年間損益報告書」は、例年、年明け1月から各社の取引システムなどからダウンロードできるようになります。報告書の見方なども各社のウェブサイトなどで解説してくれていることが多いので、参考にすると良いのではないでしょうか?

例:ヒロセ通商「2016年1月~12月の損益計算書」(クリックで拡大)
例:ヒロセ通商「2016年1月~12月の損益計算書」

(出所:ヒロセ通商[LION FX]

その他の金融商品の課税方法をついでにチェック

 ちなみに、FX以外の金融商品の税金事情を紹介すると、こんな感じ。金融商品によってかなりバラつきがあり、ややこしいですね…。

 FXとは関係ありませんが、関連して1つ紹介すると、2016年(平成28年)分の確定申告から公社債の税制が大きく変わっています。

 特に注目したいのは「特定公社債」(国債、地方債、外国債券など)。これまで非課税だった譲渡益に20.315%の申告分離課税が課されるようになった反面、上場株式や株式投資信託との損益通算が可能になったり、損失について3年間の繰越控除ができるようになりました

 特定公社債が含まれる投資信託(MRFやMMFなど)も同様の扱いとなります。特定公社債、またはそれが含まれる投資信託の取引をしている方は、注意するようにしてくださいね。

 ちなみに、よく聞くNISA(ニーサ)口座については、株式や投資信託の譲渡益や配当金がすべて非課税になりますので、基本的に確定申告の必要はありません。

FX以外の金融商品の税金概要

※いずれも所得税と住民税を合算した税率。2013年~2037年は、所得税に対して2.1%の復興特別所得税が課されるため、それを含めた税率を記載している。ただし、「総合課税」については、復興特別所得税を加味せずに記載。株式の売却益などにかかる税金は、本来、所得税15%・住民税5%で一律20%だが、期間中の税率は所得税・住民税合計で20.315%となる

※株式・ETF・公募株式投資信託・公募公社債投資信託・一部特定公社債について、「特定口座の源泉徴収あり」を選択した場合は、源泉徴収により課税が終了するため、原則として確定申告をしなくてもよい

負けている時は「繰越控除」で損失を3年間繰り越せる

 さて、ここまでは、おもにFXで利益が出たケースを想定して話をしてきましたが、冒頭でお伝えしたとおり、確定申告には損失が出た場合にも使える制度があります。それが「繰越控除」と「損益通算」

 損失が出ているんだから確定申告なんて関係ないでしょう…なんて思わないで! 「繰越控除」や「損益通算」を利用することで、うれしい節税効果を得られるかもしれませんよ?

 ということで、まずは「繰越控除」について紹介します。

負けている場合に使える制度:「繰越控除」と「損益通算」

「繰越控除」は、前年までの損失額と当年に出た利益を相殺させ、利益が出た年の納税額を少なく済ませることができる制度で、向こう3年間に渡って利用することができます

 通常、負けている場合は確定申告の必要はありませんし、しなくても怒られませんが、来年以降、繰越控除を受けようという場合には、必ず確定申告をしなければなりません

 具体例を見てみましょう。

 たとえば、2016年にFXで200万円の損失が出ているとします。これを今回の確定申告できちんと申告しておくと、もし、2017年に100万円の利益、2018年に40万円の利益、2019年に60万円の利益が出たとしても、それぞれ2016年分の損失と相殺され、2017年、2018年、2019年分の利益はゼロとみなされます。

3年間の繰越控除

 つまり、このケースだと繰越控除を使うことで、向こう3年間は利益が相殺され、課税されずに済むのです! 少々手間だったとしても、損失が出ているなら、きちんと確定申告を行っておいた方が良い!

 なお、繰越控除の適用を受けるためには、損失を申告した年以降、取引がない年でも毎年、確定申告する必要がありますので忘れないようにしてくださいね。

異なる商品と「損益通算」できるケースもある!

 続いて「損益通算」について見ていきます。

負けている場合に使える制度:「繰越控除」と「損益通算」

「損益通算」は、一定期間内に発生した利益と損失について、所定の条件の下、異なる金融商品間でまるっと合算し、トータルでどれだけ利益が出ているか、または損失なのかを算出することを言います。

 FXの場合、株や投資信託との間で損益通算することはできませんが、店頭FX間ではもちろん、取引所FX・くりっく365との間でも損益通算が可能なほか、CFDバイナリーオプション、商品先物や日経225先物、TOPIX先物などデリバティブ系の他の商品とは損益通算することができるのです。

 FXと損益通算できるおもな金融商品は以下のとおり。結構、いろいろな商品と損益通算できます。複数の金融商品で取引をしている人は、見落とさないように気をつけてくださいね。

FXと「損益通算」できるおもな金融商品

※いずれも所得税と住民税を合算した税率。2013年~2037年は、所得税に対して2.1%の復興特別所得税が課される。上表に掲載した税率は、本来、所得税15%・住民税5%で一律20%だが、期間中の税率は所得税・住民税合計で20.315%となる

損益通算すると利益が圧縮されて納税額が小さくなるかも

 それでは、「損益通算」の具体例を考えてみましょう。

 たとえば、DさんがA社・B社・C社と3つの会社で、それぞれ店頭FX、くりっく365CFDの取引をしていたとしましょう。各社での損益がA社で80万円の利益、B社で20万円の損失、C社で10万円の損失だったとすると、損益を合算するとトータルで50万円の利益となります。

損益通算の例

 このトータル50万円の利益というのが、先ほど紹介した所得税算出の計算式で記載した収入にあたります。FXなどの場合は、ここから必要経費を差し引いて、それでも所定の金額を超える利益が残る時に確定申告が必要(※)ということになるのです。

(※利益の金額に関わらず、繰越控除を受ける場合は確定申告が必要)


<FXなどの税金の計算式>

収入(損益通算済み)-経費-繰越控除があればその金額
=税金算出の元となる金額

税金算出の元となる金額×20.315%(※)=納税する金額

※所得税と住民税を合算した税率。2013年~2037年は、所得税に対して2.1%の復興特別所得税が課される。FXなどの場合は、本来、所得税15%・住民税5%で一律20%だが、期間中の税率は所得税・住民税合計で20.315%となる


他の金融商品と損益通算することで、納税額が小さくなったり、場合によってはゼロになったりする可能性もあります。先にお伝えした繰越控除の活用もそうですが、異なる金融商品間に関しても可能なものについてはきちんと損益通算し、節税できるところはきちんと節税するようにしましょう。

 いろんなFX会社や証券会社で取引しているという方は、あっちでもこっちでも「年間損益報告書」(「年間取引報告書」など名称が異なる場合もある)を取得して、それをすべて合算して…と、作業がやや手間かもしれませんが、めんどくさがらずに対応してくださいね。

確定申告に必要な書類を確認しておこう

 それでは、最後に確定申告の手続きについて、少し触れておきたいと思います。まず、確定申告にあたって必要となる書類は、原則、以下のとおりです。


<確定申告に必要な書類>

★税務署・国税庁のウェブサイトなどで取得する書類
・ 申告書B第一表・第二表
・ 申告書第三表(分離課税用)
・ 先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書
・ 申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)
※繰越控除を受ける場合

★自分で用意する書類
・ FX会社から発行される「年間損益報告書」(「年間取引報告書」など名称が異なる場合もある)
・ 必要経費の領収書
・ 本人確認書類(番号確認書類+身元確認書類)
・源泉徴収票(会社員の場合)


 2016年(平成28年)分の確定申告から、「自分で用意する書類」に新たに加わったのが、当記事の前半でお伝えした「本人確認書類(番号確認書類+身元確認書類)」です。忘れず、用意するようにしてくださいね。

 ただ、場合によっては、これ以外の書類の提出を税務署から求められることもあるようですので、その際は管轄の税務署にて詳細を確認するようにしてください。

確定申告書は国税庁のウェブサイトから作成できる

 次に、確定申告書の作成方法とその提出方法について押さえておきましょう。確定申告書の作成方法には、【1】ウェブ上で確定申告書を作成する方法と【2】手書きで確定申告書を作成する方法の2種類あります。

 【1】ウェブ上で確定申告書を作成する方法で確定申告書を作成する場合は、国税庁のウェブサイトにある「確定申告書作成コーナー」から手続きすることが可能です。

 手順にしたがって必要事項を入力すると、自動で納税額を算出してくれるので、はじめての確定申告だったとしても間違わずに手続きできそう。この方法なら、比較的、簡単に確定申告書を作ることができます。

国税庁の確定申告特集「確定申告書等作成コーナー」
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」

とりあえず申告書の作成はウェブ上で済ませた方が楽

 【1】の方法で確定申告書を作成する場合、できあがった確定申告書を提出するには、以下の表にまとめたとおり、「(1)ウェブ上で申告書を作成して印刷。それを税務署へ郵送または提出しにいく」方法と「(2)e-Tax(電子申告)を利用する」という方法の2つの方法が考えられます。

確定申告書の作成&提出方法【1】ウェブ上で確定申告書を作成する方法および提出方法

 なかでも、どちらかというと【1】-(1)のパターンで確定申告書類を作成し、提出するというのが、もっともとっつきやすいやり方ではないかと思います。提出自体は税務署へ郵送しても直接持って行っても良いですが、とりあえず申告書の作成自体は、ウェブ上で済ませるのが楽です。

【1】-(2)に記載したe-Tax(電子申告)を利用すれば、確定申告書の作成から提出まですべてウェブ上で完結しますが、利用するためには、事前に電子証明書が組み込まれたマイナンバー(個人番号)カードを取得したり(※)、ICカードリーダライタを用意するなどの事前準備が必要。誰でもいきなり利用できるものではありませんので、ご注意ください。

(※「マイナンバーカード(個人番号カード)」は、所定の手続きに従い、郵送やオンライン申請すると個別に発行され、取得することができる。有効期間内であればe-Taxに「住民基本台帳カード」を利用することも可能だが、更新はできないので有効期限が切れた場合は、改めて「マイナンバーカード(個人番号カード)」を取得する必要がある)

【参考記事】
FXとマイナンバー(1) 心配無用! FX会社はマイナンバーを何に使うの?

 詳しいことは国税庁の「確定申告特集」に記載されていますので、そちらで確認するようにしてくださいね。

国税庁の確定申告特集「e-Taxをご利用になる前に」
国税庁の確定申告特集「e-Taxをご利用になる前に」

 時間的な余裕を考えると、確定申告開始時点で、e-Taxを利用するための事前準備ができていないのであれば今回は利用を見送り、別の方法で対応する方が現実的かもしれません。

 ただ、e-Taxを使えば本人確認書類の添付を省略できたり、自宅から確定申告ができたりして、結構、便利そうなのは事実。一度、環境を整えてしまえば効率的な方法と言えそうです。

 来年以降の利用に備えて、時間に余裕があるときに事前準備を済ませておくのは、ありかもしれませんよ。

手書きで作成する方法もあるけれど…

【2】手書きで確定申告書を作成する方法は、いちいち自分で計算などもしなければならないので、ものすごく大変です。記者の周りでも、手書きで確定申告をしている人はあまりいません…。

 参考までに、作成方法と提出方法をまとめた表を掲載しますが、正直、手間を考えると、手書きはあまりおすすめはできません…。

確定申告書の作成&提出方法【2】手書きで確定申告書を作成する方法および提出方法

ふるさと納税とかもあって、確定申告する人は多いかも?

 ということで、今回は、FXの確定申告に関するあれこれをざっとお伝えしてきました。

 ここ最近は、FX取引だけでなく、ふるさと納税が流行っていることもあり、確定申告をしなきゃ! という人も増えている感じ? あまり確定申告をしたことがない人にとっては、本当に、もう何をどうしたら良いのか、わからないことだらけだと思います。

 故意に脱税するのはもってのほかですが、記事の中でもお伝えしたとおり、申告内容に漏れや誤りがあったりすると、本来は還付されるはずのものがされなかったり、場合によってはペナルティを課されたりする可能性も…。

【参考記事】
FXで8億円稼いだ主婦…池辺雪子さんのトレード手法(1) ~合計利益は4億円ではなく、8億円!!~~
脱税総額9億円! 超ビッグFX対談!! 池辺雪子×磯貝清明

 繰り返しになりますが、確定申告に関してわからないことや不安なことがある場合は、自分で判断せずに税理士さんや近くの税務署に相談しに行く、あるいは国税庁のウェブサイトにあるFAQなどを参考にするようにしてください

2016年(平成28年)分の確定申告の受付期間は、2017年2月16日(木)~3月15日(水)。確定申告が必要な方、確定申告をした方が得する方は、忘れずに手続きをしてくださいね。

(ザイFX!編集部・向井友代)


※当記事は、ザイFX!編集部が国税庁のウェブサイトなどを参考に詳細を確認し、記載内容に不備がないよう注意して作成していますが、確実性や完全性を保証するものではありません。不明点がある場合は、必ず税理士などの専門家や税務署などで確認・相談するようにしてください


【※2024年(令和6年)分の確定申告に関する記事はこちら!】
【2025年版・FXの税金と確定申告】2024年分の確定申告は2月17日(月)に開始。申告は申告書の作成から提出まで、すべてがオンラインで完結するe-Taxがおすすめ!

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【2025年4月】ザイFX!読者がおすすめするFX会社トップ3を公開!
【総合1位】 GMOクリック証券「FXネオ」
GMOクリック証券「FXネオ」の主なスペック
米ドル/円 スプレッド ユーロ/米ドル スプレッド 最低取引単位 通貨ペア数
0.2銭原則固定
(9-27時)
0.3pips原則固定
(9-27時)
1000通貨 24ペア
【GMOクリック証券「FXネオ」のおすすめポイント】
機能性の高い取引ツールが、多くのトレーダーから支持されています。特に、スマホアプリの操作性が非常に優れており、スプレッドやスワップポイントなどのスペック面も申し分ないため、あらゆるスタイルのトレーダーにおすすめの口座です。取引環境の良さをFX口座選びで優先するなら、選択肢から外せないFX口座と言えます。
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【総合2位】 SBI FXトレード
SBI FXトレードの主なスペック
米ドル/円 スプレッド ユーロ/米ドル スプレッド 最低取引単位 通貨ペア数
0.18銭 0.3pips 1通貨 34ペア
【SBI FXトレードのおすすめポイント】
すべての通貨ペアを「1通貨」単位、一般的なFX口座の1/1000の規模から取引できるのが最大の特徴! これからFXを始める人、少額取引ができるFX口座を探している方は、絶対にチェックしておきたいFX会社です。スプレッドの狭さにも定評があり、1回の取引で1000万通貨まで注文が出せるので、取引量が増えて稼げるようになってからも長く使い続けられます。
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■SBI FXトレードのメリット・デメリットを解説! スプレッド、スワップポイントなどの他社との比較、キャンペーン情報や口座開設までの時間、必要書類も紹介!
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SBI FXトレードの詳細はこちら
【総合3位】 外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
外為どっとコム「外貨ネクストネオ」の主なスペック
米ドル/円 スプレッド ユーロ/米ドル スプレッド 最低取引単位 通貨ペア数
0.2銭原則固定
(9-27時・例外あり)
0.3pips原則固定
(9-27時・例外あり)
1000通貨 30ペア
【外為どっとコム「外貨ネクストネオ」のおすすめポイント】
業界最狭水準のスプレッドと豊富な情報で、多くのトレーダーに人気のFX口座です。FX取引が初めての初心者から、スキル向上を目指す中・上級者向けまで、各自のレベルにあわせて受講できる学習コンテンツも魅力です。比較チャートや相場の先行きを予測してくれる機能など、取引をサポートしてくれるツールも充実しています。
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※スプレッドはすべて例外あり。この表は2025年4月1日時点のデータをもとに作成しているため、最新の情報とは異なっている場合があります。最新の情報はザイFX!の「FX会社おすすめ比較」や、各FX会社の公式サイトなどで確認してください

各FX口座のさらに詳しい情報や10位までの全ランキングは、以下よりご覧ください。
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