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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

中国人民元が米ドルに取って代わるなど
笑止千万! ドルインデックスの底打ち間近

2020年08月21日(金)17:27公開 (2020年08月21日(金)17:27更新)
陳満咲杜

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■相場の転換点で理由がきちんと語られ始めたら後の祭り

 ナスダックに続き、S&P500の過去最高値更新で、次はNYダウの番だという雰囲気が濃厚になってきた。

 不思議なのは、ここまで来たら米国株に弱気の見方が激減し、日経平均も「割安」であるともてはやされ、有力経済紙も株高の正当性を論じる文章を軒並み発表していることだ。

 市場次第、という言葉は最も適切な理由だ。市場参加者から評論家まで、結局、マーケットのパフォーマンス次第、立場や見方はいくらでも変えられるから、理屈が論理整然と並べられた時、それは必然的に後解釈ということにほかならない。

 換言すれば、トレンドの始まりや相場の転換点において、その理由は往々にしてきちんと語られないものだ。逆にきちんと語られ始めたらもう後の祭りだと悟るべきだ。

 筆者は一貫して、コロナショックによる株急落が一世一代の買い場と主張してきたが、3月後半や4月あたりでは、単に戯言のように聞こえたことも間違いなかったようだ。しかし、だからこそ自分の見方により自信を深めたと言える。

 なにしろ、一世一代のチャンスだから、そのロジックが万人に受け入れられ、全員参加型のブームになるはずもない。猫も杓子も乗る相場はバブルの末期や相場が頂点に達した前後と決まっている。

■米ドル安に理屈が付けられ始めたから、底打ちの段階

 さて、こういった話を踏まえて、今の為替市場にて応用できるものがあるとするならば、それはやはり、米ドルの見通しというほかあるまい。

 3月高値からの米ドルの反落が鮮明、またスピードも速かったから、今は米ドル崩壊の言葉がまたマーケットセンチメントを支配するようになってきたようだ。

 しかし、結論から申し上げると、今の米ドル全体の状況は3月における株の状況と同じく、典型的な「売られすぎ」と言える。また、いろいろと理屈が付けられ、先安観が強いからこそ、もう底打ちしたか、間もなく底打ちを図る段階にきていると思う。

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足チャート

(出所:TradingView

 そもそも「米ドル崩壊」という言葉は、為替市場においてなじみ深い。

 戦後為替市場の事実上のスタートはニクソンショックの1971年。その時から大きな流れはずっと米ドル安だったから、2008年リーマンショック直前までの米ドル全体の凄まじい下落から考えると、「米ドル崩壊」という言葉、単純な意味合いにおいては間違いないと思う。

 さらに、金(ゴールド)の史上最高値更新につれ、金との比較で米ドル価値の毀損もかなり衝撃的である。金に対する米ドルの価値は、1971年当時を100とすれば、現在約1.9程度にしかならず、50年間で50分の1にもなったから、これは崩壊と呼ぶほかあるまい。

■金高騰=米ドル安なら、ドルインデックスは70台以下のはず

 しかし、視点を変えれば、このような言い方は大袈裟な側面も大きい。まず、ドルインデックスは3月高値からずいぶん落ちてきたが、2008年安値より3割程度高い水準にあり、金に対する米ドルの価値に凄まじい毀損があったと言うなら、円も含め、その他の外貨もすべてそうであったことは見逃せない。

 換言すれば、米ドル建て金の高騰を、単に米ドル安の視点のみでは完全に捉えることはできない。

前回の本コラムでも取り上げたように、そもそも金の史上最高値更新が続いていた状況において、米ドル全体は急落してきたものの、2008年安値より3割も高い水準にあること自体が強気のサインとさえ解釈される。

【参考記事】
今年は“キンチョウの夏”にならない!?米ドル/円104円割れのリスクは大きく後退(2020年8月14日、陳満咲杜)

 金の高騰を単純に米ドル安と結論付けるロジックのままだったなら、今、ドルインデックスは92前後ではなく、2008年安値70.80を大きく割り込むレベルに陥っているはずだ。

ドルインデックス 週足
ドルインデックス 週足チャート

(出所:TradingView

 そうなるどころか、ドルインデックスが3割も高い水準にあること自体、強気サインと見なされ、また、単に3月高値が高かったと言えるのではないだろうか。ちなみに、3月高値が高かったという視点は重要で、そこにはより深いロジックが潜んでいるから、また別途詳しく検証したい。

■中国人民元が米ドルに取って代わるなど笑止千万

 もう1つ大事なのは、米ドル崩壊云々の論調の多くは、米ドルの基軸通貨地位の消滅論とリンクしているところが根本的に間違っているということだ。

 その論調は、戦後為替市場の発展とともに、また、米ドル価値の低下とともにたびたび盛り上げられ、また、もてはやされてきたが、完全に外れてきた。

米ドルの基軸通貨の地位はいまだに安定している。また、米ドルに取って変わる通貨が見当たらないことは事実であり、これから相当長い期間において見つからないことを心得るべきだ。

 ユーロが誕生してから、特にリーマンショック前後において、ユーロが米ドルに取って変わって基軸通貨になる論調も盛んだったが、見事に外れたことは記憶に新しい。そして、今度は中国人民元の番だとはやされ、日本でも一部のセンセイたちは中国人民元が台頭し、米ドルに取って変わることを予測しはじめ、また、それを根拠に米ドルのさらなる大幅下落を言い始めている。

 中国出身の筆者に言わせれば、こういった見方は笑止千万だ。彼らは全く中国の本質を理解せず、また、国際金融の本質をわかっていないから、こういった机上の空論を展開するだけの話だ。

 中国人民解放軍が、「国防軍ではなく中国共産党の党衛軍」であることと同じく、資本の自由移動が許されない中国人民元は、「中国の通貨であるよりも中国共産党の通貨」であることから、米ドルに取って変わって世界の基軸通貨になるなどというのは、軽はずみな戯言というほかあるまい。

 要するに、金の高騰と共に、中国人民元が米ドルに取って変わって基軸通貨になるから、米ドルの長期下落が避けられないといった論調が受け入れられつつあるが、これはコロナショックで日米株が暴落し続けるといった視点以上に、的を外しているから、無視していいと断言できる。その上、このことは実は米ドル全体の底打ちが間近と思われる証拠でもあるかと思う。

 対米ドルのロングポジションが過大に積み上げられてきたユーロの動向は最も要注意だ。

IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(ユーロ/米ドル) 8月21日時点
IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(ユーロ/米ドル) 8月21日時点

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移

 市況はいかに。

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西原宏一