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バカラ村の「FX専業トレーダーの相場観」

ユーロ/米ドルは深い調整を期待しにくいが、
短期的にはレンジ下限1.17ドルを下抜けそう

2020年08月25日(火)11:45公開 (2020年08月25日(火)11:45更新)
バカラ村

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■ユーロ/米ドルは直近高値更新も下落

 米ドル安トレンドが続いてきて、8月18日(火)にユーロ/米ドルは、1.1965ドルまで上昇しました。

 しかし、8月19日(水)に公表された7月開催分のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨の中に、「YCC(イールドカーブ・コントロール)がバランスシートを大幅に拡大する可能性を懸念している」とあり、市場にはYCCの導入期待もあったことから、米ドル高へ推移しました。

【参考記事】
なぜ、米ドル安の長期化を予想する人が増えたのか? 米ドル安第2弾は本格化しない(8月20日、今井雅人)

 さらに、8月21日(金)に発表されたフランスやユーロ圏のPMI(購買担当者景気指数)が悪く、一方で米国のPMIが良かったことから、ユーロ/米ドルは1.1753ドルまで下落しました。

ユーロ/米ドル 4時間足
ユーロ/米ドル 4時間足チャート

(出所:TradingView

 ユーロ/米ドルのここまでの上昇の理由の1つに、米国の景気よりも欧州の景気の方が良いとされていたこともありました。

 しかし、今回のPMIは欧州が悪く、米国が良かったことから、ユーロ/米ドルが下がったことになります。

■ユーロ/米ドルは短期的に戻り売りが良さそう

 さらに、CFTC(全米先物取引委員会)が発表しているIMM(国際通貨先物市場)のポジション動向で、投機筋の米ドルに対するユーロの買い越しが約20万枚まで偏っており、ポジション調整の材料にされたことになります。

IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(ユーロ/米ドル) 8月18日時点
IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(ユーロ/米ドル) 8月18日時点

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移

 投機筋は、トレンドフォローのトレードをしているため、その通貨にトレンドがあるときは、IMMのポジションの偏りは拡大しやすい傾向にあります。

 そのため、IMMの投機筋のポジションが偏っている方へ、同じようにトレードすれば、トレンドに乗ることもできますが、ポジションが大きく偏りだした場合は、同じようにトレンドフォローすると、高値掴みになりやすいです。

ユーロ/米ドル 日足(下段:IMMにおける投機筋のユーロネットポジション)
ユーロ/米ドル 日足とIMMにおける投機筋のユーロネットポジション

(出所:TradingView

 現在もまだ、約20万枚の買い越しに偏ったままで、、ユーロ/米ドルをここから買うのはリスクが高いと思いますので、短期的には戻り売りが良いのではないかと考えています。

【参考記事】
米ドルは戻り売りで!バフェット氏の金鉱株購入は、長期的な米ドル安を見越した動き!?(8月18日、バカラ村)
急上昇後に下がっているユーロ/米ドルは買いか?売りか?IMMポジションをどう読む?(8月4日、バカラ村)

■ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長講演に注目

 今週(8月24日~)は、27日(木)が重要になります。

 米大統領選に向けた共和党大会で、トランプ大統領の演説があり、さらに、ジャクソンホール会議(※)でのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演が、日本時間の22時10分に予定されています。

(※編集部注:「ジャクソンホール会議」は、米カンザスシティー連銀が主催する年次経済シンポジウムの通称。通常は米ワイオミング州ジャクソンホールで開催されるため、このように呼ばれている。世界中の中央銀行総裁や金融関係者の多くが参加するイベントのため、毎年、市場参加者から高い注目を集めている)

 今回のジャクソンホール会議はオンラインでの開催になりますが、パウエルFRB議長の講演の議題が「金融政策の枠組みの見直し」とあるため、金融市場を大きく動かす内容が出てくる可能性があります。

パウエルFRB議長

今年はオンラインで開催されることになったジャクソンホール会議で、日本時間8月27日(木)22時10分からパウエルFRB議長が「金融政策の枠組みの見直し」というテーマで講演を行うことが予定されている (C)Bloomberg/Getty Images News

■株式市場は大きな調整が起きにくい状態

 現在の金融市場は、リスク選好のときは「株高・米ドル安」、リスク回避のときは「株安・米ドル高」に推移しています。

ドルインデックス(右軸)とNYダウ(左軸) 日足
ドルインデックスとNYダウ 日足チャート

(出所:TradingView

株式市場は3月から上昇が続いており、何度か調整は挟んでいますが、その調整は浅いものばかりで、上昇トレンドが継続してきています。

 二番底がくるとの予想も何度もありましたが、そのような動きにはならずに、浅い調整だけで上昇が続いています。

 各国の財政政策と金融政策、そして、新型コロナウイルスのワクチンへの期待、それらが合わさって、大きな調整が起きにくい状態が続いていることになります。

■ユーロ/米ドルは、1.17ドルのレンジ下限を下抜けか

 IMMの投機筋のポジションは、米ドル売り・ユーロ買いに偏っていますが、リスク回避の動きが小さく、今後も深い調整は期待しにくいとすれば、このポジションの巻き戻しも軽微に終わりそうです。

【参考記事】
IMMでロングだからこそ、ユーロ/米ドルはロングでOK! 金調整時もほとんど下落せず(8月19日、志摩力男)

 ただ、現在のユーロ/米ドルは、1.17~1.19ドルを中心としたレンジ相場が続いていますが、ポジションが偏っており、ユーロ圏では、あまりにも速いユーロの上昇に対して懸念が出る可能性もあることから、このレンジも下抜ける可能性があると考えています。

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

 大きくは下がらないと思いますが、基本的にユーロ/米ドルは、戻り売りで良いのではないかと考えています。

■豪ドル/米ドルはサポートを下抜ける可能性

 また、豪ドル/米ドルは、安値が徐々に切り上がっており、強い動きが続いていますが、こちらも調整する可能性があるように思います。

【参考記事】
豪ドル/米ドルは、ゴールドとともに上昇! 金鉱株急騰の裏にウォーレン・バフェット(8月20日、西原宏一)

0.7060ドルがサポートされていますが、このサポートも下抜ける可能性があると考えています。

豪ドル/米ドル 日足
豪ドル/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

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