■米GDPはマイナス32.9%!
先週(7月27日~)は、米国の4~6月期実質GDP(国内総生産)・速報値が、前期比年率で過去最低のマイナス32.9%と発表されたこともあり、米ドル安相場が継続しました。
【参考コンテンツ】
●FX初心者のための基礎知識入門:GDP
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:各国GDP成長率の推移)
(出所:TradingView)
GDPのマイナス32.9%は、驚くほどの悪い数字ですが、新型コロナウイルスの影響でロックダウン(=都市封鎖)したことにより、4~6月期が過去最低の水準まで下がることは予想されていたことでもありました。
そのため、金融市場が大きく動くことはありませんでしたが、米ドル売りは継続しました。
今回は悪い数字でしたが、これからの回復スピードが注目されます。
回復に時間がかかるようであれば、悲観的な内容になりますが、ワクチンなどの開発も進んでいるようで、回復に期待したいところです。
■米ドル/円は長期サポートゾーンをやや下抜けたが…
米ドル売りトレンドもあり、7月31日(金)に米ドル/円は、一時104.19円まで下がりました。
長期のサポートゾーンは104円台半ばため、やや下抜けたことになります。
【参考記事】
●米ドル/円、104円台半ば抜ければ100円が見えてくる! 動き出せば下落余地は大きい(7月27日、西原宏一&大橋ひろこ)
ただ、その後はポジション調整や月末フローで上昇し、その影響で短期勢の米ドル/円のショートカバーが出て、さらに上昇へ。そして、106.05円まで上昇しました。
さらに昨日(8月3日)は、セブン&アイ・ホールディングスが、米国のコンビニエンスストア運営会社を約2.2兆円で買収すると発表され、M&Aに絡んだフローへの思惑もあって、米ドル/円は106.47円まで上昇しました。
(出所:TradingView)
■米ドル/円はしばらく、下落に期待できない!?
今回も、米ドル/円は104円割れに失敗した形となっており、長期的には104円台半ば~114円台半ばのレンジが続いていることになります。
【参考記事】
●米ドル安の材料豊富で短期的には過熱感も。戻り局面に注意だが長期的な米ドル安は継続(7月28日、バカラ村)
(出所:TradingView)
長期的には米ドル売りだと考えているため、米ドル/円も下がるのではないかと思いますが、短期的にはレンジ下限から反発していることもあり、しばらくは、下がることは期待できないように思います。
【参考記事】
●短期で米ドル/円の押し目買いもいいかも! 104円台ミドルのブレイクに今回も失敗…(8月3日、西原宏一&大橋ひろこ)
■米追加経済対策の行方に注目!
今週(8月3日~)は、7日(金)に米雇用統計が発表されます。
最近は、あまり材料になっていませんが、それ以外では、米国の追加経済対策の協議もあります。
週600ドルの追加失業給付が7月末で終了したことで、それに変わる追加の失業給付などの経済対策が出てくるのか、注目されるところです。
米国では、週600ドル(約6万3000円)の失業給付上乗せ措置が7月末で終了した。米議会では民主党が長期的な延長を求める一方、共和党は減額して給付する案を提示しており、協議は平行線をたどっていると報じられている。写真は米国のトランプ大統領 (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
経済対策が合意されるようであれば、株価は上昇することになります。
為替市場では、米ドル高に反応するか、米ドル安になるか、判断が難しいところですが、株式市場と連動する可能性の方が高いのではないかと思いますので、経済対策が決まれば米ドル安になるかと思います。
■ユーロ/米ドルは、買いに偏った状態
CFTC(全米先物取引委員会)が発表しているIMM(国際通貨先物市場)のポジション動向では、ロイターの算出によると、投機筋の主要6通貨に対する米ドルの売り越しが、2011年8月以来の水準まで増加しています。
これは、米ドル売りにかなり、偏っていることになります。
そして、円に関しては、あまり偏りはありませんが、ユーロは買いに偏ってきています。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
そのため、ユーロ/米ドルは、買いに偏った状態だと言えます。
■トレンドが反転してからでも遅くない!
市場のポジションが偏ると、反転してくる可能性が高まってくるのですが、ユーロ/米ドルは上昇トレンドのため、トレンドに逆らうのも良くないことになります。
(出所:TradingView)
私は、IMMポジションが偏ったときは、それを解消するほどの材料が出るか、テクニカル的に反転を示唆する形になるまで、待つようにしています。
【参考記事】
●IMMの危険水準は円10万枚、ユーロ15万枚、英ポンド10万枚だが、さらに確認すべきは?
反転を示唆する形の判断方法としては、フォーメーション分析での、たとえば、ダブルトップやヘッド・アンド・ショルダーズなどの形になるまで、待つことがあります。
【参考コンテンツ】
●FX初心者のための基礎知識入門:ダブルボトム/ダブルトップ
●FX初心者のための基礎知識入門:ヘッド・アンド・ショルダーズ
そうすると、エントリーは遅れますが、IMMのポジション動向は週間ベースの発表になるため、遅れたとしても、まだ大きく動く余地があることになります。
■ユーロ/米ドルは利食い入れつつ押し目買いで
今回は、日足のMACDも買われ過ぎとなっているため、ユーロ/米ドルは反転してくる可能性もありますが、トレンドはまだ上昇のため、まだ押し目買いで考えています。
【参考コンテンツ】
●FX初心者のための基礎知識入門:MACD
(出所:TradingView)
ここまでは、米ドル安で考えてきましたが、ここからは、反転に警戒する必要があると考えています。
【参考記事】
●米ドル安の材料豊富で短期的には過熱感も。戻り局面に注意だが長期的な米ドル安は継続(7月28日、バカラ村)
●緩やかに米ドル安。米ドル高より米ドル安材料の方が多く、大きな流れに変化なし!(7月21日、バカラ村)
●ドルインデックスがダブルトップ形成! 大きな流れとしての米ドル安に変化なし(7月7日、バカラ村)
ユーロ/米ドルは高いところで買わず、押し目買いで対応したいと思います。ただ、トレンドが止まる可能性もあるため、利食いも入れる必要があると考えています。
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