■ドルインデックスは、まだ上値余地がありそう
最近、英ポンド/円の値幅がもっとも大きかったから、例として取り上げられやすいが、ユーロ/円も豪ドル/円も基本は、いっしょである。
英ポンドが他の外貨をリードして下げてきたぶん、巷が思うほど米ドルは弱くないことが暗示されるから、外貨の調整、すなわち米ドル全体の切り返しは、なお継続されると見る。
ドルインデックスの週足で見るとわかるように、先々週(9月21日~)の大陽線をもって切り返しを強めたが、先週(9月28日~)から再反落。目先まで弱含みで、米ドルの切り返しは、すでに終焉したのではないかといった懸念をもたらした模様だ。
(出所:TradingView)
テクニカルのみの視点では、先々週(9月21日~)の大陽線を完全に否定できない限り、目先の反落は切り返しの途中におけるスピード調整と位置付けられるから、同週安値の92.75を下回らないうちは、こういった見方も性急だと言える。
言い換えれば、ドルインデックスにおける92半ば~92後半のサポートゾーンは重要で、また、再度破られない限り、米ドル全体の切り返しは、モメンタムに欠けるものの、緩やかに継続する可能性が大きい。
なにしろ、3月高値からほぼ一本調子の下落を演じてきたのだから、下落幅に対して、先々週(9月21日~)高値94後半ぐらいの切り返しは極めて限定的だ。たとえ切り返し自体がスピード調整にすぎないとしても、当面、上値余地を拡大できると見る。
(出所:TradingView)
したがって、目先、正念場に差し掛かっていると言える。米ドル全体が一段、下落する方向に動くか、それとも切り返しに復帰するかは、そろそろ決定するだろう。
しかし、前回の記事のタイトルにも入れたように、米ドル/円はやはり「蚊帳の外」に置かれるので、米ドル次第、他の外貨次第の状況は、変わらないと思う。
【参考記事】
●円高は杞憂! クロス円の値動は米ドル次第で、夏が過ぎても円は「蚊帳の外」(2020年9月25日、陳満咲杜)
■米ドル/円は当面レンジ。クロス円は動きそう
昨日(10月8日)の米ドル/円の値動きが象徴的であった。米ドル/円は20銭しか動かず、まるで固定相場に復帰したような値動きを見せた。主体性を失ったゆえだと思う。
米ドル全体の緩やかな切り返しに連動する側面もあるものの、クロス円における円高圧力の懸念が消えず、挟まれる米ドル/円は、当面、レンジ変動に留まり、上にも下にもブレイクできるモメンタムを持ち合わせていないと思う。
(出所:TradingView)
筆者の見方が正しければ、そろそろクロス円の方が、また動いてくるだろう。
米大統領選の不確実性もあって、クロス円の調整はまだ終わっておらず、本格的な円高になれないものの、外貨安につられるクロス円の弱含みの変動に目先、警戒しておきたい。
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