■驚いたトランプ大統領のコロナ感染
先週(9月28日~)は、トランプ大統領とバイデン氏による、米大統領選の第1回テレビ討論会が開催されました。
ただ、罵り合いのような内容となり、どちらも勝者とは言えない状況で終わりました。
【参考記事】
●米大統領選、郵便投票の影響で大混乱に!? 討論会はバイデン氏がうまく立ち回ったか(9月30日、志摩力男)
●米大統領選、討論会はバイデン氏に軍配? メディアの論調よりも浮動票の行方に注目(10月1日、西原宏一)
●米大統領選とは? 制度のしくみや特徴、米ドルなどの為替相場や株価への影響を解説
そして、一番驚いたのは、トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染したという報道です。
それを受けて、米ドル/円は104.93円まで下落しました。
【参考記事】
●トランプ米大統領コロナ感染で、大統領選はバイデン有利? 為替は大統領選で動き出す(10月5日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:TradingView)
■今後、米政府の機能不全も懸念される…
大統領が職務を執行できなくなれば、副大統領が代行することになりますが、もし、ペンス副大統領も新型コロナウイルスに感染するようなことになれば、民主党のペロシ下院議長が大統領職を代行することになります。
しかし、ペンス副大統領やムニューシン財務長官などは陰性だったことから、いったんは、落ち着いた状態となりました。
もし、今後、ペンス副大統領も感染するようなことになれば、リスク回避の動きも大きくなりそうです。
ホワイトハウスではクラスターが発生しており、昨日(10月5日)も、マクナニー報道官が感染したと報じられています。
米政府の機能不全も、懸念されるところです。
■リスクを取っていくような状況ではない
トランプ大統領が動画を公開したり、車から手を振るなど、体調が良いことをアピールし、さらに、追加の経済対策期待も重なって、10月5日(月)は円安・米ドル安で、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の上昇が目立っています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 1時間足)
ただ、追加の経済対策はまだ可決しておらず、トランプ大統領も、いつ、体調が悪くなるかもわからず(※)、さらに、EU(欧州連合)と英国のブレグジット(英国のEU離脱)交渉も、佳境に入ってきています。
【参考記事】
●ブレグジット=英国のEU離脱とは? 欧州連合離脱の経緯、離脱までの過程を解説
不透明要素が多く、ここで、リスクを取っていくような状況ではないと思います。
(※編集部注:本記事の寄稿後、日本時間10月6日(火)の7時30分に、トランプ大統領は入院先だった陸軍病院を退院し、ホワイトハウスに戻ったと報じられた。ただし、退院後もホワイトハウスで投薬を続け、24時間体制で容体を監視する模様)
■トランプ大統領、米大統領選に向け不利な状況に
それでも、市場は楽観的になっています。米国株などは強く、為替市場も、たとえばユーロ/円などは、124.30円のレジスタンスも超えて堅調に推移しており、リスク選好の動きとなっています。
【FX初心者のための基礎知識入門】
●トレンド分析1(サポート/レジスタンス)
(出所:TradingView)
しかし、トランプ大統領が完全に復帰できるまでは、リスクを取りにくいと思いますので、今の動きも続かないと思います。
体調不良となれば、米大統領選ではバイデン氏が有利となり、NYダウなどは下がり、円高となります。
また、体調が良かったとしても、しばらくは隔離期間となるため、米大統領選に向けても動画かツイッターなどを駆使するしかない状況のため、不利な状況は続きます。
■どっちが勝っても、NYダウなどは上昇へ
来月(11月)の米大統領選で、トランプ大統領が勝利すれば、リスク選好が年末に向けて続くと思います。
NYダウなどは上昇し、為替市場は米ドル安になるのではないかと思います。
反対に、バイデン氏が勝利すると、市場ではNYダウなどが下がるとの予想が多いため、短期的には売られることで下がるかもしれませんが、バイデン氏が勝利しても、NYダウなどは上昇するのではないかと考えています。
(出所:TradingView)
ただ、上昇力としては、トランプ大統領が勝利したときの方が大きいと思います。
【参考記事】
●米大統領選が終われば、リスク選好に期待できる! 今の米ドル高は短期的な動きに(9月29日、バカラ村)
●米ドル/円は戻り売り。11月から年末にかけて、リスク選好の米ドル安に期待!(9月15日、バカラ村)
■ユーロ/米ドル、買うには躊躇するが…
IMM(国際通貨先物市場)のポジション動向では、投機筋の米ドルに対するユーロの買い越しが約18.8万枚と、やや減少していますが、まだ、偏った状態が続いています。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
この点からは、ユーロ/米ドルを買うことに躊躇しますが、チャートからは、1.18ドルに定着してくるようであれば、1.1612ドルが押し目だったことになります。
(出所:TradingView)
■4時間足などで下がる形になれば売り増しで
ユーロ/米ドルは、長期的には上昇だと思っていて、4時間足では1.1685ドルがサポートされており、短い時間足で強い形となっているため、徐々に上昇再開の可能性も出てきています。
(出所:TradingView)
しかし、IMMの投機筋のポジションが、まだユーロ買い越しに大きく偏っていることもあって、ユーロ/米ドルが、このまま上昇すると考えるのも難しいと思います。
反対に、4時間足などで下がる形になれば、売り増していきたいと考えています。
1.18ドルに定着するようであれば、再考する必要がありますが、ポジションの偏りからは、売り方向で考えたいところです。
【参考記事】
●米大統領選が終われば、リスク選好に期待できる! 今の米ドル高は短期的な動きに(9月29日、バカラ村)
●ドルインデックスは目先、3月安値が目標。それ以上の上昇には、ドル買い材料が必要(9月23日、バカラ村)
●目先、調整のユーロ/米ドルは戻り売りで! 新たな買い材料がないと上昇は継続しにくい(9月8日、バカラ村)
●急上昇後に下がっているユーロ/米ドルは買いか?売りか?IMMポジションをどう読む?(8月4日、バカラ村)
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