ザイFX! - 初心者必見のFX総合情報サイト

志摩スーパーバナー
----年--月--日(-)日本時間--時--分--秒
志摩力男の「マーケットの常識を疑え!」

米大統領選で「増税」掲げるバイデン氏が
当選しても、中長期では株価にポジティブか

2020年10月08日(木)12:24公開 (2020年10月08日(木)12:24更新)
志摩力男

【ヒロセ通商】ザイFX!限定 最大11000円キャッシュバック実施中!

■第1回テレビ討論会は支持層によって見方がまったく違った

 日本時間9月30日(水)午前中に行われた、米大統領選の第1回テレビ討論会のあと、バイデン氏の支持率が上昇しているようです。僕もバイデン氏がうまくやったように思いました。

【参考記事】
米大統領選、討論会はバイデン氏に軍配? メディアの論調よりも浮動票の行方に注目(10月1日、西原宏一)
米大統領選、郵便投票の影響で大混乱に!? 討論会はバイデン氏がうまく立ち回ったか(9月30日、志摩力男)

 しかし、ツイッターなどを見ていると、「これでトランプ再選」とか「バイデンじゃダメだな」とか、トランプ勝利と見るコメントを多数見ました

 同じものを見ていて、どうしてこれほどまで違うのか。

 米CNNの調査によると、討論会でどちらが優れていたかを問う質問に対し、全体ではバイデン氏が60%、トランプ氏が28%とバイデン氏優位と出たようです。

 しかし、民主党支持者の間ではバイデン氏91%、トランプ氏4%だったのに対し、共和党支持者の間ではトランプ65%、バイデン氏25%と、支持層によって見方がまったく違ったようです。本当に分断が進んでいます。

米大統領選の第1回テレビ討論会の写真

米CNNの調査によると、討論会でどちらが優れていたかを問う質問に対し、民主党支持者の間ではバイデン氏91%、トランプ氏4%だったが、共和党支持者の間ではトランプ65%、バイデン氏25%と、支持層によって見方がまったく違ったようだと志摩氏は指摘 (C)Bloomberg/Getty Images News

 討論会を見て、トランプ支持者が考えを変えることはないようです。

 しかし、投票に迷っている人に対しては、効果はあったでしょう。賭けサイトも、大きくバイデン勝利に傾き始めました

■増税を公約に掲げて、当選した大統領候補は記憶にない

 しかし、バイデン氏は「増税」を掲げています。法人税は21%から28%へ、年40万ドル以上の高所得層の最高税率も37%から39.6%に戻ります。

 それだけでなく、株式売買益に対する課税であるキャピタルゲイン課税も、現行の20%から39.6%へ2倍となります。

かつて増税を公約として掲げて、当選した大統領候補はあったでしょうか。僕は記憶にありません

 ブッシュ大統領のお父さん、パパブッシュが増税に反対する自身の姿勢を強調した言葉である“Read my Lips”というフレーズは、あまりにも有名です。“Read my Lips”のあと、“No New Tax”と続きます。

■バイデン政策は中長期的に株価にポジティブとのレポートも

 ただ、市場関係者としては、どちらが当選するとマーケットはどちらに動くのか、結局は、その方が気になるでしょう。

単純に考えれば、増税する以上、バイデン氏の政策は株式市場にはマイナスです。株価は落ちるはずです。

 しかし、気になるのは、最近、米証券会社等のレポートを読むと、バイデン政策で株価下落とはまったく言わなくなっていることです。

 10年間で4兆ドル増税しますが、インフラやグリーンエネルギー、住宅、医療、教育、育児、介護、社会保障等に7兆ドル支出します。「メイド・イン・アメリカ」計画といって、米国製品に対する調達も増やすと言っています。

要は、増税以上に支出します。GDPは潜在成長率を超えて大きく上昇し、中長期的には株価にもポジティブという結論で多くのレポートは締めくくられています

 また、コロナ禍では、すぐに増税することはないでしょう。まずは経済対策で十分な支援を行い、経済を立て直してから増税となるはずなので、増税のインパクトを過度に心配することはないという見方も散見します。

■トランプ大統領に言わせると、これこそ“Deep State”

 でも、本当にそうなのでしょうか――。ここまでバイデン氏の政策を擁護するということは、何か隠された意図があるのではないかと、勘ぐりたくなります。

トランプ大統領に言わせると、これこそ“Deep State(※)なのでしょう。

(※編集部注:“Deep State(ディープステート)”とは、国家の中の国家を指し、国家のトップの命令などに内部の機関・組織が応じない状態。トランプ大統領や側近は、高級官僚の一部がディープステートを形成し、トランプ政権の弱体化を図っているとの陰謀説を唱えてきた)

トランプ大統領をホワイトハウスから追い出し、世界経済を好き放題にする“グローバリスト(※)”の反撃なのだと。

(※編集部注:“グローバリスト”とは、国境を越えてカネ、モノ、ヒトを動かし、巨額の報酬を得るような多国籍企業や組織のこと)

トランプ米大統領写真

米証券会社等のレポートで、増税を掲げるバイデン氏の政策を擁護するということは、トランプ大統領に言わせると“Deep State”で、トランプ大統領をホワイトハウスから追い出し、世界経済を好き放題にする“グローバリスト”の反撃なのだろうと志摩氏は指摘 (C)Chip Somodevilla/Getty Images News

■金融機関は、金利がないと儲からない

 私は、陰謀論には与しません。トランプ大統領の言っていることも正しいとは思いませんが、株価が上昇するにもかかわらず、金融関係者がトランプ大統領的な政策を嫌っているのは事実です。

 彼らは、過度な金融緩和を望んではいません。金融機関は、金利がないと儲からないのです。株価がいくら上昇しても、そこで得られる利益はあまりないのです。

 手数料はほとんどゼロですし、M&Aなども割高な株を買うことになるので、低調になります。

 FRB(米連邦準備制度理事会)関係者が、これ以上の金融緩和の手段を語らないのも、こうした理由があります。

おそらく、米金利はこれ以上下がらず、長期金利は上昇して行くのだと思います

■バイデン政策は大きな社会改革。勝てば米国の転換点に

 また、バイデン氏の政策を仔細に見ると、米企業の海外所得に対する実効税率について、控除対象を引き下げることで実質10.5%を21%にする案があります。また、米企業の帳簿所得に15%のミニマム税率を適用という案もあります。

 これは、世界中から利益を得ているIT企業を狙ったものでしょう。

 トランプ的な、株価を上昇させることで得た利益で経済を回し、成長させ、トリクルダウン(※)で低所得層にもおこぼれがあるだろう、というような政策に限界がきているのでしょう。だからこそ、米国民は増税を支持するのです。

(※編集部注:トリクルダウンとは、富裕層が豊かになれば低所得層にも富が徐々に滴り落ちるという考え方)

【参考記事】
株価上昇=経済政策が正しいと言えるのか? 迫る大統領選、人種問題がトランプの逆風に!(6月10日、志摩力男)
下品なツイートを浴びせるトランプ大統領が作り出す米国株バブルはいつ崩れる?(2月12日、志摩力男)
俺の手から血が吹き出るまで買う! 米国株の強さの理由はトランプの「信用」にあり!(2月5日、志摩力男)

規制のない中で膨大な利益を積み上げるグローバルIT企業を牽制し、普通のメインストリートの企業の業績を助ける。そして、社会保障を充実させ、社会のインバランスを正す。そうした方向に進むバイデン氏の政策は、大きな社会改革です。

大統領選挙は、どちらが勝つかわかりませんが、バイデン氏が勝てば、米国の転換点と言えると思います。

 そうした中で、株価や為替を論じるのは、ちょっと次元が低いのかもしれません。

バイデン氏写真

規制のない中で膨大な利益を積み上げるグローバルIT企業を牽制し、普通のメインストリートの企業の業績を助け、社会保障を充実させ、社会のインバランスを正す、そうした方向に進むバイデン氏の政策は、大きな社会改革だと志摩氏は解説。大統領選挙は、どちらが勝つかわからないが、バイデン氏が勝てば、米国の転換点と言えるという (C)Scott Olson/Getty Images News


【ザイFX!編集部からのお知らせ】

 ゴールドマン・サックス証券、ドイツ証券など外資系金融機関を中心にプロップディーラーとして活躍した、業界では知らない人がいないほどの伝説のトレーダー志摩力男の有料メルマガ「志摩力男のグローバルFXトレード!(月額:4,950円[税込み])」がザイ投資戦略メルマガで好評配信中!

志摩力男のメルマガグローバルFXトレード!

 世界情勢の解説に定評がある志摩氏。その分析に基づいたポジションや、実践的な売買アドバイスのメールがほぼ毎日届きます。スウィングトレードが中心なので、日中は仕事をしている人にも向いているメルマガです。

 また、志摩氏が購読者の質問にメールで直接答えてくれるため、FX初心者やFXの理解を深めたい人に最適です。

登録後10日間は無料なので、ぜひ 「志摩力男のグローバルFXトレード!」を一度体験してみよう!

人気のザイFX!限定タイアップキャンペーンをPickUp!
FX初心者のための基礎知識入門
ザイ投資戦略メルマガ 田向宏行 CFD口座おすすめ比較
ザイ投資戦略メルマガ 田向宏行 CFD口座おすすめ比較
『羊飼いのFXブログ』はこちら
↑ページの先頭へ戻る