■米ドル/円は変動率が小さかった分、これから大きく動きそう
一方、バイデン氏が当選した場合、市場のセンチメントに沿った結果であるだけに、いったん株高が進み、その後、利益確定売りで再反落してくる、といった市況も想定されるかと思う。
(出所:TradingView)
要するに、米国株にしても、米ドル/円にしても、基調を維持しながら、変動率が大分抑えられた分、これから大きく動き、また変動率の拡大といった波乱が警戒されるだろう。
実際、米ドル/円は、すでに大きく動いている。10月21日(水)の大陰線は久しぶりに1円以上の下落幅となり、波乱の兆しを示していた。
(出所:TradingView)
しかし、米ドル/円は104円の節目を割り込んでおらず、大きく動いたとはいえ、レンジ変動に留まっている状態は、なお「コップの中」と言える。
それにしても、10月21日(水)の大陰線がかなり目立ち、また注目されるのは、ほかならぬ、最近の米ドル/円が、あまりにも「動かなかった」からであり、その反動が来たと思われているからだ。
点検してみるとわかるように、10月21日(水)の大陰線が出現するまで、今月(10月)になってから米ドル/円の値幅は1円程度に留まっていた。これは、動かないと言われてきた米ドル/円にしても、かなり「異常」なほど静かな市況であった。
ちなみに、昨年年末(2019年12月)は1.3円程度の値幅だったので、10月21日(水)の大陰線がなければ、「動かない」という歴史的な記録が更新されてもおかしくなかった。
したがって、10月21日(水)の大陰線が目立ったのは、米ドル/円のトレンドが加速されたというよりも、あまりにも動かなかったことへの反動と捉えたほうが適切であろう。
■動き出した米ドル/円。104円の節目割れを警戒すべき
また、この意味では、米ドル/円はすでに動き出したから、通常の変動率に戻るという視点では、やはり、いったん104円の節目割れを警戒すべきではないかとみる。昨日(10月22日)のレポートをもって、同視点を説明したい。
本文は、以下のとおり。
(出所:TradingView)
昨日の大幅下落をもって2日安値104.93の下放れを果たし、基調を一段と悪化させた。中段保ち合いの一環、また本格的な「底割れ」を回避できるというメインシナリオは不変だが、目先レンジ下限の拡大を警戒。
もっとも、7月高値から引かれたメインレジスタンスラインが示した抵抗が鮮明、一昨日の「スパイクハイ」のサインが示した頭打ちの状況、昨日の大幅反落で証左されたわけ。
昨日の値幅拡大があったからこそ、ここでは単純なフォーメーションの視点を図れば有効ではないかと思う。10月7日~9日の罫線組み合わせ、「宵の明星」と見なされ、「ヘッド&ショルダーズ」の「ヘッド」と据え置き、一昨日の「スパイクハイ」のサインの蓋然性(つまり9月末と同様、ショルダーとなる)がより鮮明になり、昨日の大陰線で下放れを果たした以上、一旦104関門の打診があっても自然な成り行きとなろう。
同じ視点では、抵抗は105関門~同前半に集中、早期上放れなしではしばらく下値リスクを警戒。但し、米大統領選やテレビ討論会など材料に左右されやすく、波乱含みの展開も覚悟しておきたい。
最後に、下値トライの蓋然性が高まったからこそ、ここからの切り返しが早期見られなくても、安値打診せずに留まれば、逆に基調改善の前兆とも解釈される、ドル全体との連動性もあって、ドル売りで仕掛ける場合は、あくまで短期スパンに徹したほうが無難。
米ドル/円ほどではないが、米国株における変動率も低下してきた。米ドル/円と同様、そろそろ動きだすタイミングに差し掛かるから、やはり要注意だと思う。
株高・米ドル安のセットで考えると、ドルインデックスの9月安値更新は、トランプ氏の落選や米国株の高値を「前提条件」としているだけに、実に、流動的で不確実性が高いことを念頭に置いておきたい。
市況はいかに。
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