■米大統領選、「本当のところは誰もわからない」
米大統領選の最終討論会を聞きながら、この原稿を書いているが、最近、米マスコミや世論も微妙に変化してきたと思う。
バイデン氏圧勝といった論調から、もしかしたらトランプ氏が再選するのでは? といった微妙な雰囲気に変わり、日本の評論家先生たちも微妙な言い方をし始めたように聞こえる。
そもそも、トランプ氏を嫌う有権者はバイデン氏のスキャンダルが浮上してもバイデン氏に票を入れるし、逆にバイデン氏を嫌う層は何かあってもトランプ氏支持に変わりがないだろう。
今年(2020年)の米大統領選は、コロナ禍のせいもあって、「原理主義」の色合いが一層濃厚になったと言える。
米大統領選は、バイデン氏圧勝といった論調から、もしかしたらトランプ氏が再選するのでは? といった微妙な雰囲気に変わり始めた (C)Bloomberg/Getty Images News
いずれにせよ、相場観に過度な政治的な要素を持ち込まなくて良いし、状況が極めて流動的だから、マスコミの論調や評論家先生たちの見方を気にすることはなかろう。前代未聞の米大統領選だからこそ、本当のところは誰もわからない、ということだけが確実に言えることかと思う。
前回のコラムでも指摘したように、不謹慎な言い方をすれば、本当のところ、誰が大統領になるかは問題ではなく、財政出動(救済支援)が続くかどうかが重要であり、また、株式市場を支える要因である。
【参考記事】
●米大統領選もコロナ禍も市場心理を左右せず! メイントレンドは維持されるが…(2020年10月16日、陳満咲杜)
よって、結局、株次第かもしれないが、総じてバイデン氏の優位性を見込んでいる模様。その結果として、株高が進むだろうという見方が、どうやら主流のようだ。
■ドルインデックスは88.15まで下落すると言われているが…
相場のことは、相場に聞く。
直近の市況は、やはりドルインデックスの再反落や目先の低迷が目立つ。ドルインデックスは、いったん2020年10月9日(金)安値を割り込み、米ドル/円も再度104円台前半をトライした。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
米国株の高値圏での保ち合いに対して、米ドルの切り返しは明らかに力不足であり、さらなる安値更新の観測も当然のように再燃し始めた。
ウォール街のコンセンサスとして、ドルインデックスは2018年安値の88.15へ「全値戻し」を果たすだろうと言われている。
(出所:TradingView)
しかし、相場は「もうはまだなり、まだはもうなり」なので、諸材料や思惑を織り込んでいる以上、米ドル全面安のピークは、すでに過ぎたのかもしれない。
■バイデン氏優勢がゆらいだことで株のモメンタムが欠如
この意味では、米株高一服の可能性ともリンクしているところを見逃せないから、冷静かつ総合的な判断が求められる。
前述のように、そもそも米世論調査の推移やウォール街のコンセンサスにおいて、市場は、バイデン氏の勝利を見込んで株高を推進してきた側面がある。
よって、選挙情勢が微妙に変化してきている目下、米国株は基調を保ちながらも高値圏での足踏みが続き、モメンタムの欠如が目立ってきた。
(出所:TradingView)
株高・米ドル安のセットで考えると、米大統領選の結果が確定されるまで、目下のような市況が続くだろう。米国株の高値更新は、バイデン氏の当選が前提条件とされているだけに、裏切られた場合、株はいったんの調整があり得る。
前回、トランプ氏が当選した際に起こった「トランプショック」は、まず大きく反落、その後、V字反騰を果たしたが、仮にトランプ氏が再選する場合、今回は逆のパターンになる可能性を否定できない。
一方、バイデン氏が当選した場合、市場のセンチメントに…
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