■米大統領選の行方に関心が集中
金融市場の関心が、米大統領選の行方に集中していることは、前回のコラムでお話ししました。
【参考記事】
●今回の米大統領選は2016年とは状況が違う。米ドル/円は当面104~106円、クロス円は?(10月16日、今井雅人)
このコラムを書いているのは、10月22日(木)ですが、まさに、今日(10月22日)の米国時間の夜(日本時間23日午前)から、トランプ大統領とバイデン候補による、最後のテレビ討論会が行われます。
前回のテレビ討論会は、双方、特に、トランプ大統領が相手の発言を邪魔するという、あまりに醜い事態となってしまったために、今回は、相手が意見表明をしているときは、もう一方のマイクをオフにするという、前代未聞の対応となります。
【参考記事】
●米大統領選、討論会はバイデン氏に軍配? メディアの論調よりも浮動票の行方に注目(10月1日、西原宏一)
●米大統領選、郵便投票の影響で大混乱に!? 討論会はバイデン氏がうまく立ち回ったか(9月30日、志摩力男)
今回のテレビ討論会は、米大統領選を占うには、もっとも重要なイベントです。
トランプ大統領は、ここで巻き返しができなければ、情勢は一気にバイデン候補有利に傾いていくと思います。
【参考記事】
●米大統領選とは? 制度のしくみや特徴、米ドルなどの為替相場や株価への影響を解説

金融市場の関心が米大統領選に集中するなか、今井氏は日本時間23日午前に行われる大統領候補者によるテレビ討論会が、もっとも重要なイベントになると指摘。写真は日本時間9月30日に行われた第1回目のテレビ討論会のときのもの (C)Bloomberg/Getty Images News
■バイデン候補の勝利を、なかなか織り込まないワケは?
そもそも、現在、各世論調査では、激戦州(スイング・ステート)でのバイデン候補の優勢が伝えられています。

※2020年10月22日時点
※RealClearPoliticsが各世論調査の結果から集計した平均
(出所:RealClearPolitics)
本来であれば、市場はバイデン候補の勝利を織り込んでいっても、おかしくはありません。
しかし、なかなかそうなっていかないのは、前回、2016年のことがあるからです。
前回も、ヒラリー・クリントン候補が、直前まで世論調査でトランプ大統領を上回っていました。しかし、結果はトランプ大統領が勝利し、大方の予想を覆してしまいました。
【参考記事】
●ザイFX!で2016年を振り返ろう!(2) トランプ氏当選でまさかのリスクオン到来!
■今回は、「トランプ離れ」が広がっている!?
その理由としては、ヒラリー候補の私用メール使用疑惑が、投票日直前に大きくなってきたことに加え、いわゆる「隠れトランプ」と言われる人たちの存在も指摘されました。
【参考記事】
●メール問題再発で混沌の米大統領選挙! ヒラリー側近の美人スタッフがどう関係?(2016年11月4日、広瀬隆雄)
トランプ大統領を応援していると言うと、差別主義者で下品な人間だと思われるので黙っている人が、投票日にはトランプ大統領に投票するという現象が原因だという人も、たくさんいたわけです。
そういうことがあって、今回も、まだわからないと、疑心暗鬼になっているということです。
しかし、今回は、前回支援した人の中で、「トランプ離れ」をしている人が、特に、女性の中で広がっていると言われていますので、前回のようにはいかないのではないかと思います。
【参考記事】
●今回の米大統領選は2016年とは状況が違う。米ドル/円は当面104~106円、クロス円は?(10月16日、今井雅人)

今井氏は、前回は「隠れトランプ」と言われる人たちの存在がトランプ氏の勝利につながったとの見方も多かったが、今回は「トランプ離れ」が広がっているという (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
本日(10月22日)のテレビ討論会が終わると、あとは、集会などで一方的に攻撃するしかなくなりますので、トランプ大統領は苦しくなってくると思います。
■今は政治相場。英ポンドはブレグジット関連で乱高下
さて、もう1つの政治テーマは、古くて新しいブレグジット(英国のEU離脱)問題です。
【参考記事】
●ブレグジット=英国のEU離脱とは? 欧州連合離脱の経緯、離脱までの過程を解説
今年(2020年)の年末を期限とした、EU(欧州連合)との協定交渉が一進一退となっており、雲行きが怪しくなると英ポンドが急落し、可能性が出てくると急騰する。これがまた、始まっています。
この1週間は、可能性が残されたという観測が広がり、英ポンドが急騰しました。
昨日、10月21日(水)には、英ポンド/米ドルが一気に、200ポイント(pips)以上も急騰した影響で、ユーロや円に対しても米ドル安が進み、米ドル全面安という展開となりました。
まさに、今は政治相場です。
【参考記事】
●ブレグジット関連に振り回され英ポンド急落! 目先はいったん落ち着き、修正の動きか(9月18日、今井雅人)
●英ポンドは、どう動く!? ブレグジット移行期間終了に向けた予想シナリオとは?(9月23日、志摩力男)
●ポンドを戻り売り! 合意なき離脱での下落余地大きいが、ボリスのウルトラCには注意(9月14日、西原宏一&大橋ひろこ)
●注目はブレグジット交渉! FTAの協議合意なら英ポンド/米ドルは1.34ドル台到達か(10月13日、バカラ村)

(出所:TradingView)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
■米ドル/円は104~106円を想定したレンジトレードで
こういうとき、相場は、目先の状況の変化に振り回されます。それに惑わされないように、冷静にやらなくてはなりません。
個人的には、米ドル/円、ユーロ/米ドルでの現在の米ドル安は、一時的に終わると思っていますので、逆張りをすれば良いのではないかと考えています。
特に、米ドル/円は、104~106円の想定レンジの中で動いていますので、そのレンジの中でのレンジトレードをするのが、一番、安全だと思っています。
【参考記事】
●今回の米大統領選は2016年とは状況が違う。米ドル/円は当面104~106円、クロス円は?(10月16日、今井雅人)
●米大統領選が近づき、しばらく気迷い相場か。米ドル/円は、引き続きレンジトレードで!(10月8日、今井雅人)
●米ドル/円の104~106円を想定したレンジ取引が一番いいか。相場が崩れた理由は?(9月24日、今井雅人)

(出所:TradingView)
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