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志摩力男の「マーケットの常識を疑え!」

バイデン政権では、ある程度の経済対策が
実現し、増税はない。緩やかなドル安進行か

2020年11月11日(水)18:24公開 (2020年11月11日(水)18:24更新)
志摩力男

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■トランプ大統領は強かった

 トランプ大統領は強かった。皮肉ではなく、事実そうでした。

 大統領選直前の世論調査では、バイデン氏が7.9%ほどリードしていましたが、実際に投じられた票は、これまでのところ、バイデン氏が7696万6161票(50.8%)、トランプ氏が7189万7289票(47.5%)。その差は3.3%。

 つまり、事前の世論調査で把握できない「隠れトランプ」が4.6%もいた、ということになります。

トランプ大統領写真

大統領選直前の世論調査では、バイデン氏が7.9%ほどリードしていたが、実際に投じられた票を見ると、 事前の世論調査で把握できない「隠れトランプ」が4.6%もいたことになると志摩氏は指摘 (C)Chip Somodevilla/Getty Images News

 激戦州、しかもカギとなると見られた、ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシン。この3州の事前の世論調査では、バイデン氏が、それぞれ4.3%、5.1%、6.1%と余裕で上回っていました

 これだけあれば、普通はバイデン氏が楽勝です。しかも、最重要であるペンシルベニアはバイデン氏が生まれた州。だからこそ、バイデン氏が民主党大統領候補になった理由もあります。

【参考記事】
トランプ氏勝利なら? バイデン氏勝利なら? 大統領選の結果次第で市場はどう動く?(11月4日、志摩力男)

 ところが開票初日、接戦が予想されたフロリダ、オハイオ、テキサスを次々とトランプ氏は制していきます。肝心のペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンでも、トランプ氏が上回っていました

【参考記事】
トランプ氏がフロリダを制す! 結果判明は長期化も? 情報錯綜、金融市場は複雑な動き

 郵便投票の開票が進むにつれて、バイデン氏が逆転するというのが事前の予想ではありましたが、どの程度、郵便が開票されたのか、まったくわからない状況でした。

 特にフィラデルフィアでは、はっきりした数字は忘れましたが、トランプ氏が65%前後、バイデン氏が35%前後だったと思います。

「トランプ氏は化け物か。なんなんだ、この強さは!」――私自身も、トランプ氏再選を覚悟しました。

 夕方のテレビで、トランプ推しの評論家の方々が「ドヤ顔」しているところを見ながら、あと4年、デタラメだらけのツイートを見なければならないのかと思うと、暗たんたる気分がしたものです。

結局、郵便投票の開票の結果、バイデン氏が微差でペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンを勝利しましたが、その得票差はペンシルベニアで0.7%、ミシガン3.3%、ウィスコンシン0.7%と、世論調査とは大違い。やはり、「隠れトランプ」だらけでした。

■上院、下院ともに好調だったのはトランプ氏に近い議員

 今回の選挙戦は、期日前投票が1億人を超えるという、すごいことになりました。

 期日前投票をする多くの人は、民主党支持者。そうであるなら、民主党躍進は間違いなしと思ったものです。

【参考記事】
米大統領選、郵便投票の影響で大混乱に!? 討論会はバイデン氏がうまく立ち回ったか(9月30日、志摩力男)

 しかし、民主党は上院を制することができませんでした。しかも、下院でも二桁、議席を落としています

上院、下院ともに、好調だったのはトランプ氏に近い議員です。ここでもトランプ氏の影響が色濃く出ています。

 たった一人でワシントンに乗り込み、共和党保守派の支持があったとはいえ、トランプ氏は共和党主流派を脇に追いやり、事実上、共和党を乗っ取りました。究極のポピュリストの面目躍如です。

コロナ、BLM(ブラック・ライブス・マター)運動、共和党主流派の離反、こうした悪材料だらけの中でも、これだけ票を獲ったトランプ氏。何もなければ、間違いなく再選されたでしょう。

 このトランプ・イズム的なものは、今後も残ります。もしかすると、2024年の大統領選挙に再度登場する可能性もあるのではないかと思います。

■中国人民元がゆっくり強くなっていきそう

 さて、トランプ政権からバイデン政権となり、政策も大きく違ってきます。

 トランプ政権がオバマ氏の政策を全否定したように、バイデン政権もトランプ政権の「否定」を始めるでしょう。

【参考記事】
トランプラリーとは? 2016年米大統領選でのトランプ氏当選を受けて、強烈なリスクオンに!

バイデン氏写真

トランプ政権がオバマ氏の政策を全否定したように、バイデン政権もトランプ政権の「否定」を始めるだろうと志摩氏は指摘 (C)Scott Olson/Getty Images News

 バイデン氏が大統領になると、対中政策は、人権等の問題に対してはより厳しくなるでしょうが、貿易に関しては制裁を緩めることが予想されます。対中制裁関税も見直されることは、中国経済にはプラスです。

 世界最大手のヘッジファンド、ブリッジ・ウォーターのレイ・ダリオ氏は、中国の国債購入を勧めていましたが、多くの先進国の長期金利がゼロに近い水準に沈んでいる今、中国の3%台の金利は魅力的です。

一定の資金が中国に流れるので、中国人民元はゆっくり強くなっていきそうです。現状、対ドルで6.6元程度ですが、6.3元からもっと下が望めるかもしれません。

米ドル/中国人民元 週足
米ドル/中国人民元 週足チャート

(出所:TradingView

■メキシコペソ/円はもう少し上昇余地がある

 メキシコも、バイデン政権で恩恵を受けます。

 トランプ政権で北米自由貿易協定(NAFTA)が見直され、メキシコは貿易面で制限を受けていますが、それが緩和されるでしょう。

メキシコペソ/円は5円台を超え、5.2円に達しましたが、もう少し上昇余地があると思われます。5.3円から5.5円くらいでしょうか。

メキシコペソ/円 日足
メキシコペソ/円 日足チャート

(出所:TradingView

 意外な影響は、ブレグジット(英国のEU(欧州連合)離脱)にも…


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