新型コロナウイルスの影響で、異例ずくめの選挙戦が展開されてきた2020年の米大統領選。11月3日(火)の一般投票が締め切られ、現在、各州で投開票が進んでいる。
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世論調査や賭けサイトの状況などからは、直前まで民主党のジョー・バイデン候補(以下、バイデン氏)が、現職で共和党のドナルド・トランプ大統領(以下、トランプ氏)を上回っており、バイデン氏が優勢と考えられていた今回の米大統領選。
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すでにいくつかの州で結果は判明しているが、米大統領選の勝利に必要な270人の選挙人を獲得するうえで極めて重要となるのは、民主党と共和党の支持者が拮抗している「スイング・ステート(激戦州)」の勝敗。スイング・ステートでどちらが勝利するか、市場参加者は固唾を呑んで見守っている。
そのスイング・ステートの中でも、今回の米大統領選でまず注目されるのが、29人の選挙人が割り当てられているフロリダ州。バイデン氏がフロリダ州で勝利すれば、その時点でバイデン氏の米大統領選勝利がほぼ確定し、逆にトランプ氏がフロリダ州で勝利すれば、米大統領選の最終的な結果判明まで時間を要すると考えられているからだ。
そのフロリダ州で、一部の米大手メディアがトランプ氏の当選確実を報じている。
フロリダ州で勝利したトランプ大統領 (C)Scott Olson/Getty Images
米政治ニュースサイトのRealClearPoliticsによると、本記事公開直前のフロリダ州の開票率は99%で、得票数ではトランプ氏がバイデン氏を40万票弱、上回っている。
フロリダ州をトランプ氏が押さえれば、前回のように早い段階で候補者による勝利宣言や敗北宣言が行われず、仮にバイデン氏が僅差で勝利した場合は、トランプ氏が選挙結果を司法判断に委ねる可能性も出てくることから、選挙結果が判明するまでの期間が長期化することも想定しておいた方が良さそうな情勢となっている。
■金融市場はバイデン氏勝利を見越した動きの巻き戻し
市場では、今回の大統領選でバイデン氏が勝利するとの見方から、開票前からリスク選好的な米ドル安・円安の動きが見られていたが、トランプ氏がフロリダ州で勝利しそうな情勢が伝わると、リスク選好の巻き戻し的な米ドル高・円高の動きが優勢となった。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 30分足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 30分足)
また、前日の米株高も好感して大きく上昇していた前場の日経平均は、高値から250円近く、下落する場面があった。
(出所:TradingView)
ただ、日経平均はその後、昼休みを挟んで高値を更新しており、複雑な動きとなっている。
フロリダ州以外のスイング・ステートと言われる激戦州の結果は、本記事公開時点ではまだ判明していない。ただ、選挙人の数が38人とフロリダ州より多く、伝統的に共和党が強いと言われているテキサス州においては、開票率70%の段階で、バイデン氏が健闘している。
米大統領選全体について、バイデン氏優勢を伝えるメディアが多いように見えるが、日本経済新聞・後藤達也記者の以下のツイートのとおり、賭けサイトではトランプ氏の勝利確率が高まっているとの情報もある。この賭けサイトPredictItにザイFX!は13時台に何度かアクセスしようと試みたが、アクセスが殺到しているのか、エラーとなってしまった。
【大統領選】レート急変
— 後藤達也(日本経済新聞) (@goto_nikkei) November 4, 2020
賭けサイトPredictItではトランプ氏の勝利確率が7割弱に(下記)。接戦州の多くでトランプ氏の優勢が伝わっており、レートが急変。下記ツイートに過去のグラフがあります(出先のスマホ操作なのでグラフ更新はできません) https://t.co/rDpUUJ3I7q pic.twitter.com/VN4HCO8P8b
米大統領選はまだまだ余談を許さない状況だ。今後も、逐次、伝わる各州の動向に注目したい。
(ザイFX!編集部・堀之内智)
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