■2021年に注目すべき主要通貨は…!?
では、主要通貨ではどの通貨に注目すればいいのか?
米国株に限らず、株は大きく変動しているわけですので、まず、リスクオンとリスクオフに反応する通貨ペアを確認します。
リスクアセットとしての筆頭は、豪ドル/円。豪ドル/円の動きをチェックしてみると、3月の安値が59.87円。その後の急反発で、8月に78.46円まで急騰しました。
(出所:TradingView)
5カ月の短期間で約1.31倍に急騰しています。
少なくとも、今年(2020年)のFXでは、ファンディング通貨の米ドル/円やユーロ/米ドルではなく、リスクアセットである豪ドル/円をトレードしないと、なかなか収益が上がらなかったことがわかります。
そして、筆者がポストコロナで大きく動くのではないかと想定している通貨ペアが、ユーロ/豪ドル。
(出所:TradingView)
今月(11月)に入り、米大手製薬会社のファイザーやモデルナといったところからワクチン開発進展の報道が相次いだことで、来年(2021年)は「ロックダウン(都市封鎖)」という言葉は時代遅れとなって、人の移動が回復。それに従って、人々の心理も回復すると思われます。
【参考記事】
●新型コロナのワクチン開発期待で、市場はリスクオン。豪ドル/円は80円へ向けて上昇(11月12日、西原宏一)
一時もてはやされた「ステイホーム銘柄」が値を下げ、「お出かけ銘柄」である航空株などが回復しています。
■2021年は豪ドル/円に加えて、ユーロ/豪ドルに熱視線
国別で見ると、回復スピードには明白な差が出ています。
このコラムで頻繁に取り上げている豪州の感染者数は、ほぼゼロ。
季節的にも南半球はこれから夏に向かい、状況はさらに好転することが見込まれていますが、慎重な豪州はまだ国境を封鎖しており、感染者ゼロも近いうちに実現できそうです。
一方、米国や欧州では新型コロナウイルスの感染者が急拡大中。
【参考記事】
●新型コロナ感染者が少ない豪州に注目! 豪ドル/米ドルは0.75ドルを目指す展開に(11月5日、西原宏一)
北半球はこれから冬に向かうため、感染者の拡大は避けられず、欧米の主要都市でロックダウンが相次いでいます。
つまり、豪州ではロックダウンはすでの過去のキーワードとなりますが、欧米では2021年もキーワードとなる可能性が高くなっています。
では、それが為替市場にどのような影響を与えているのかチェックするため、欧州と豪州の通貨ペア、ユーロ/豪ドルで確認してみましょう。
新型コロナウイルスの感染が拡大したことで、3月のユーロ/豪ドルは一気に急騰し、一時1.9802豪ドルの高値に到達。
その後、急速に値を下げ、現在、1.6200豪ドルレベルまで急落しています。この間、約3600pipsの暴落。
(出所:TradingView)
前述のように「ロックダウン」というワードは、豪州では2020年のキーワードとして認識されていますが、新型コロナウイルスの感染拡大が続く欧州では2021年も重要なトピックになる可能性が高まっています。
ロックダウンは、(巣ごもり需要は別として)総じて、実体経済を低下させます。
ユーロ/豪ドルは、ファンディング通貨としての米ドル/円やユーロ/米ドルと比較すると圧倒的にボラティリティが高い通貨ペアですが、多くの新興国通貨のようにマーケットが荒れた場合、値がつかなくなるようなことも頻繁に起こるわけではありません。
2020年後半は、ポストコロナで湧いた株式市場を横目に動きを止めていた米ドル/円やユーロ/米ドル。そんな中、大きく値を上げ、活発に動いたのが、感染者ほぼゼロの豪州の通貨、豪ドルです。
来年(2021年)は、豪ドル/円や豪ドル/米ドルに加え、新型コロナウイルス対策に格段の差が生じ、下落余地が拡大しているユーロ/豪ドルの動向にも注目です。
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