米国債が下げ止まっている。つまり長期金利の上昇に歯止めがかかっている。米国債の先物価格では131.230というプライスでサポートされており、ここで3回以上も跳ね返されているのだから、テクニカル的には強力なサポートだと言わねばなるまい。10年ものの利回りでいうと、1.64%~1.63%のレベルである。
しかし強力なテクニカルポイントであればあるほど、その後に抜けたときの破壊力は大きい。一気に2.25%台辺りまでノンストップかもしれない。その動機を与えるのが今回のFOMC会合になるのかもしれない。会合の中身も重要かも知れないが、そうした債券価格といったレベルだけに着目しておくのも大事だろう。
そしていよいよFOMCである。これまでと環境が変わってきたのは事実である。コロナ感染の拡大が一段落し、ワクチンの摂取率も増えてきた。生活スタイルの回復が期待されており、米国株も史上最高値の圏内を維持している。これまで2023年の末まで金利は引き上げないとしていたのも、果たしてそのまま放置しておいていいのかという意見が出てくる状態になっている。それを先取りする形で長期金利はやや上昇の傾向を示したのだが、まだ本格的なタイトニング・モードに入っていない。
今回のFOMCの注目点としては、今ぐらいの長期金利の上昇ならば追認するのか、それとも何らかのオペを行ってさらなる上昇に歯止めをかける意思を示すのかどうかである。「雇用の回復は十分ではない」といった従来のコメントを繰り返すようだったら、市場との対話ができていないということで、しばらくは不安定な相場展開となることが予想される。
市場がパニくらないためには、現状の長期金利を追認する方が得策なのだろう。しかしそれを怠ると、これまで積み上がってきたタイトニング期待のドル買いポジションのアンワインドが一斉に起こることになりそうだ。ドル相場は再び年初の水準まで急落する可能性だってある。勝負として妙味があるのはドルのショート攻めであろう。
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