■FOMC、経済・インフレ見通しを上方修正
昨日(3月17日)、米国でFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されました。今回は、同時に今後の経済見通しと金利見通しが発表されるということでしたので、注目が集まっていました。
そして、その結果ですが、まず、金融政策に関しては、これまでの政策を維持するというものでした。それと同時に、新型コロナウイルスの感染拡大が収束に向かうに従い、今年(2021年の)の経済成長率とインフレは、大きく上昇するという見方を示しました。
※FRB「Economic Projections」の内容をもとに作成
■FOMC後に、米ドルが売られた理由は?
こうした結果を受けて、株式市場の方は好意的に捉えて、株価が上昇するという反応を示しましたが、これは妥当だったと思います。
(出所:TradingView)
やや不思議だったのは、外国為替市場の反応です。
株価の上昇からの全体的な円安傾向というのは、まあ、うなずけなくもないのですが、全体的に米ドル売りで反応したことが、やや解せません。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 15分足)
米国の景気もよくなり、インフレも加速するとすれば、金利高から米ドル高になるのが自然の流れです。
どうもよく聞いてみると、米国の大手金融機関などが、FOMCでやや引き締め的なコメントが出るのではないか、と事前に煽っていたようです。それで、実際に政策変更がなかったことを受けて、米ドルが売られたというのが真相のようです。
■長期金利は2%へ、米ドル安は一時的か
そこで、改めて今後の展開を考えてみましょう。
米国の景気が他の国より先に回復していくのは、ほぼ間違いがないと私は考えていますので、そうなると、長期金利の上昇も米国が先んじるということになります。
現在、米国の長期金利(10年物国債利回り)は1.6%台ですが、これから2%に向かっていく展開になってくると考えています。
(出所:TradingView)
そうなると、やはり米ドルは上昇していくというのが、基本的な見通しです。
ですから、昨日の米ドル安の反応は、一時的なものだと考えます。
■米ドル/円の買いに安心感と期待感。110円を目指す動きに
それに合わせて、株式市場も好調をキープするでしょうから、全体的な円安も継続する可能性が高いと思っています。
その2つを総合して考えると、やはり、米ドル/円のロング(買い)ポジションが、一番安心感と期待感があるということになります。
とりあえず、110円を目指す動きとなってくるのではないでしょうか。
【参考記事】
●米ドル/円は、近いうちに110円へ到達か。米給付金の約4割が株式投資に回る可能性!?(3月11日、今井雅人)
●米ドル/円の押し目買いに安心感! 米長期金利が上昇してもしなくても下値は堅い(3月4日、今井雅人)
●米ドル/円の一段高を有力視。長いスパンで見れば本格的な円安は、むしろこれから(3月12日、陳満咲杜)
●米ドル/円は中期で120円に向けて上昇か。米金利の上昇に呼応し、上値余地拡大!(3月11日、西原宏一)
(出所:TradingView)
■豪ドル/円、月足で見た次の目標は90円辺りか
クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)のロングポジションも、おもしろいと思います。
特に、世界的な景気回復期待から、資源国通貨は有望であるという従来からの見通しは、今も維持しています。
豪ドル/円のロングポジションを、ずっとおすすめしてきましたが、とりあえず、最初の目標である85円に達しました。
【参考記事】
●豪ドル/円は、85円がもう視野に入った! クロス円での円安傾向は今後も続きそう(2月25日、今井雅人)
豪ドル/円の日足、週足を見ると、どちらも上に突き抜けてしまっているので、次の目標値の設定が難しくなっています。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
そこで月足を見てみると、長期的には90円辺りが目標として見えてきます。
(出所:TradingView)
ただし、それには、数カ月以上かかるように見えます。少し、気長に考える必要があるかもしれません。
【参考記事】
●豪ドル/円の下値は、かなり堅いと見る! 長期保有目的で買いポジションをキープ(1月15日、今井雅人)
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