■「台湾」へと踏み込んだ菅首相
日米首脳会談が終了しました。
バイデン米大統領にとって、初めての外国首脳との対面でしたが、共同声明や記者会見をどう見ましたか?
菅首相が「台湾海峡の平和と安定の重要性は日米間で一致」と話したのは、かなり踏み込んだ発言でした。
中国は早速、内政干渉だと猛反発していますね。
米国は中国と対峙する姿勢を鮮明に打ち出しており、日本は「踏み絵」を迫られた、とも言えます。
すでに、楽天が中国ネット大手テンセントから出資を受けたことに対して、米政府は懸念を示しています。
企業レベルでも。対中姿勢を問われる局面があるかもしれません。
楽天のことを言うなら、アップルにしろテスラにしろ中国に工場がある。まず自国企業をどうするのか――。
いずれにせよ、かつて中国と緊密な関係だった豪州も中国への経済制裁に加わっています。
豪州の友人は中国が追い詰められた印象だと話していましたし、今後は「中国囲い込み」の政治的な動きが強まっていくのでしょう。
米国は台湾を国として認める方向へ動き出し、米中の対立が先鋭化していきます。
今日明日の話ではないにせよ、金融市場にも影響が出てくるでしょうね。
それが鮮明になった日米首脳会談、と言えますね。
■ファイザー製ワクチンの大量購入で米ドル円/上昇へ?
首脳会談後には、菅首相がファイザーCEOと電話で会談。
すべての接種対象者への必要量を9月までに確保したいとの意向を伝え、前向きな返答をもらっています。
ワクチン代金の支払いによる米ドル買い需要で、米ドル/円は底堅くなる、と考えていいでしょうか。
「ファイザー製ワクチンの購入=米ドル/円の買い」と素直に考えていいのではないでしょうか。
■ビットコイン急落、銅と豪ドルのサイクル一致
先週(4月12日~)には700万円台の史上最高値をつけたビットコインですが、昨日(4月18日)は急落。一時600万円を割れました。
(出所:TradingView)
史上最高値更新のきっかけとなったのは、米取引所大手コインベースのナスダック上場でしたが、実際に上場したことで「セル・ザ・ファクト」となった面もあるのでしょう。
米財務省が暗号資産のマネーロンダリング対策を強化する、との報道があったことも、急落のきっかけだったようです。
「上場ゴール」となっているコインベースはともかく、テスラ株などへ波及すると金融市場全体へ影響が出るかもしれませんね。
コモディティはいかがですか。先週、銅が急騰しましたが。
銅以上に原油が上昇しています。
原油については、OPEC(石油輸出国機構)とIEA(国際エネルギー機関)がそろって、今年(2021年)の見通しを強気に修正したことが材料視されました。
ただ、銅については特に材料は見当たりません。
(出所:TradingView)
材料はさておき、注目しているのが銅と豪ドルの相関性。
銅は、昨年(2020年)3月に4371ドルの安値まで急落し、今年2月には9671ドルの高値をつけています。
注目すべきは、そのタイミング。豪ドル/米ドルが0.55ドルの安値と0.80ドルの高値をつけたのと、ほぼ同時でした。
銅がここから9671ドルの高値を更新していくようなら、豪ドルも0.80ドルを超えて上昇すると見ていますし、手前で反落するようなら、調整が続くのでしょう。
(出所:IG証券)
(出所:IG証券)
■早期テーパリング観測のカナダ、今週の中銀会合は
今週(4月19日~)のイベントでは、4月21日(水)にカナダ、4月22日(木)にユーロ圏の中央銀行会合が予定されています。
ともに見通しは据え置きですね。
BOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])に対して、テーパリング(※)の開始を見通す声も一部でありましたが、さすがに今回は時期尚早でしょうか。
もし何かやるとしたら、カナダも不動産バブルですから、ニュージーランドのような不動産市場に的を絞った引き締めなのかもしれませんね。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
FRB(米連邦準備制度理事会)がテーパリングに動き出すタイミングであれば、カナダが先んじて動くこともあるでしょうが、FRBが動くのはまだ先。カナダも今はまだ動かないでしょう。
今週の戦略は、どう考えますか?
ファイザー製ワクチンを9月までに購入、との話も出ましたから、米ドル/円の108円台は買っていいのではと思います。
(出所:IG証券)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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