■「本邦勢の米国債買い翌日は米ドル/円上昇」の傾向
先週(3月29日~)の米雇用統計は、とても強い数字でしたね。
NFP(非農業部門雇用者数)は、予想66万人増に対して、91.6万人の増加です。
【参考記事】
●米雇用統計 | FX初心者のための基礎知識入門
数字はよかったものの、イースター休暇で動けず、というところですね。
今朝(4月6日朝)、大谷翔平選手のリアル二刀流を見た人も多いでしょうが、メジャーリーグが開幕してお客さんも入っている。
米国の友人によれば、フリーウェイも混雑し始めていて、コロナからの脱却は日々の生活からも実感するようです。
金融緩和はそのまま続行ですから、じわじわとインフレが進むのでしょう。
ところが、先週木曜日(4月1日)の米10年債利回りは下げていました。
これはどう見ますか?
新年度入りということで、日本の機関投資家が米国債を買っていた影響のようです。
昨年末(2020年末)あたりから「本邦勢が米国債を買った翌日は米ドル/円が上がる」という傾向があり、金曜日(4月2日)も米ドル/円が買われるのだろうと見ていたところ、大きな上昇はありませんでしたが、安値も限定的。
やはり、本邦勢が買っていたのでしょう。

(出所:TradingView)

(出所:TradingView)
■踏まれる日経平均売り
本邦勢は、4月になってから運用会議を開いて方針を決めて、2週目、3週目、遅いと5月から出てくるようなイメージでしたが、4月1日(木)から米国債を買ってきたんですね。
会社にもよるのでしょうが、早いところだと4月1日(木)から出てきます。
「米国債を買って、為替ヘッジのために米ドル/円を売る」のではなく、買うのですか?
ヘッジの有無も会社次第ですが、米ドルを調達するために買ってくる、ということです。
今日(4月5日)の前場の日経平均も強いですね。3万円台に乗せています。

(出所:TradingView)
日銀が先月(3月)に、買い入れ対象を日経平均型からTOPIX型へと一本化した影響でしょう。
「買い支えていた日銀がいなくなれば、日経平均は下がる」という理屈はわかりやすい。
この理屈に従った日経平均売りのポジションが、踏まれているのだと思います。
【参考記事】
●中銀総裁更迭でトルコリラ/円が大暴落! ドル/円はいずれ120円との見通し変わらず(3月22日、西原宏一&大橋ひろこ)
■4月の日経平均は10勝5敗
アノマリーを見ると、4月の日経平均は強い。過去15年で10勝5敗です。
日本株を再評価する声も出ているようですね。
今までが安すぎたという面もありますし、地政学的にも、米国にとって中国を牽制する意味で、日本を強くしたいという思惑があるのかもしれません。
コモディティ市場ではサプライズが。
先週のOPECプラス(※)は、減産幅の縮小を決定。実質的な増産です。
世界的な景気回復による需要増加を見越しての決定ですが、バイデン政権が原油価格を上げさせないよう呼びかけた、との憶測も出ています。
景気回復のためには、原油安のほうがいいですから。
(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)
【参考記事】
●米ドル/円の押し目買いを継続! 株が落ちても円が買われない傾向が鮮明に(3月29日、西原宏一&大橋ひろこ)
先週から不安材料となっていたアルケゴス・キャピタルですが、大規模なリスクオフにつながる可能性は薄れてきたようです。
【参考記事】
●米ドル/円、アルケゴスショックへの反応も限定的。短期112円、中期120円へ上昇継続!(4月1日、西原宏一)
アルケゴスに対して、SEC(米国証券取引委員会)が調査に入るようです。
アルケゴスが使っていた金融商品の「トータルリターンスワップ」などに対して、規制が強化されるようなことがあれば、市場は動揺するかもしれませんが、もう少し先の話ですね。
先々週(3月22日~)はトルコリラショック、先週はアルケゴスショックと、2週連続して週初にリスクオフ材料が出ましたが、株式市場への影響は軽微で、円高にも動きません。
「リスクオフの円高は終了」との説が、再確認されたことになります。
【参考記事】
●米ドル/円、アルケゴスショックへの反応も限定的。短期112円、中期120円へ上昇継続!(4月1日、西原宏一)
●米ドル/円の押し目買いを継続! 株が落ちても円が買われない傾向が鮮明に(3月29日、西原宏一&大橋ひろこ)
●中銀総裁更迭でトルコリラ/円が大暴落! ドル/円はいずれ120円との見通し変わらず(3月22日、西原宏一&大橋ひろこ)
■RBAは据え置き予想、注目は声明文
明日4月6日(火)は、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])の政策発表です。
据え置きなのでしょうが、注目は声明文。
豪州は雇用状況がよく、景気もいい。強気な声明になるようだと、豪ドルが上昇する可能性もあります。
ただ、豪ドル/米ドルが0.80ドル付近に達した直後に、牽制発言で上昇を抑えたばかりですから、慎重な発言となるのかもしれません。
今週の戦略は、どう考えますか?
今年(2021年)に入ってからの米ドル/円は、102円台から111円目前まで上昇しています。
この数年のボラティリティからすれば、かなりのスピード。
「3月末111円」というのは想定されていなかったレートで、買えていないプレイヤーも多く、大きな押し目はなさそう。
今週とは言いませんが、112円台に乗せてくるのでしょう。

(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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