■バイデン米大統領の行動に、米国の強さを改めて痛感
みなさん、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、GW(ゴールデンウィーク)をどうお過ごしになられたでしょうか。
私は、天気がよくない日もあったこともあり、久しぶりにテレビをゆっくり見ました。
そうすると、どこのチャンネルでも、米国でワクチンの普及が進んでいるという特集をしていました。
長い間休業していたロサンゼルスのディズニーランドも再開し、ニューヨークのタイムズスクエアにも人通りが戻ってきています。
バイデン米大統領は、7月末までにはワクチン接種を全国民に普及させ、経済も正常化させると強いメッセージを出しています。
ワクチン接種がなかなか進まない日本から見ると、羨ましい限りです。
バイデン米大統領は、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の開発したワクチンを、ライバル会社のメルクに委託製造させるという離れ業をやってのけました。
また、ワクチンの特許を開放して、全世界に1日も早く普及させることを支持しました。
これぞ、世界のリーダーという行動を見せています。米国の強さを改めて痛感しています。
7月末までにワクチン接種を全国民に普及させ、経済も正常化させるというバイデン米大統領。ワクチンの特許開放を支持し、全世界への普及を後押しする姿勢を見せるなど、これぞ世界のリーダーという行動を見せている (C)Scott Olson/Getty Images News
■株式以外の金融市場が、なぜかあまりさえない
こうした状況を株式市場は非常に好意的に捉え、NYダウも史上最高値を更新し続けています。
(出所:TradingView)
しかしながら、株式市場以外の金融市場はどうしてか、あまりさえません。
米国の代表的な長期金利の指標である10年物国債利回りも、このところ1.6%前後をうろうろしています。
FX市場も同様で、最近は方向感がまったくなくなっています。
【参考記事】
●米長期金利が比較的堅調なのに米ドル全体の動きがさえず、円安が進んでいるのはなぜ?(4月30日、今井雅人)
●米ドルの大崩れはないだろう。最近の為替市場で起こった不思議な動きについて解説(4月22日、今井雅人)
(出所:TradingView)
■米長期金利が上昇すれば、米ドルも本格的に上昇か
為替レートというのは、元来それぞれの国の経済の状況を反映するものです。
米国の景気回復が日本や欧州より早いであろうことは、誰の目からも明らかであり、本来であれば、米ドル高がどんどん進行していってもまったくおかしくありません。
しかし、なかなかそういう状況になっていかないのはなぜなのか?と最近いろいろ考えているのですが、どうもピンとくる理由が見つからないでいます。
1つの理由として考えられるのは、米国のFOMC(米連邦公開市場委員会)が、今後も大胆な金融緩和を続けていくという姿勢を崩していないことにあると思います。
景気回復の環境が整ってきている中で、金融緩和を続ければ、株式市場には非常にプラスの材料になります。
これが株式市場の活況を招いているわけですが、金利が抑えられており、さらに市場に米ドルをばら撒いているから、米ドル高になっていかないという説明は、一応成り立つのかなと思います。
しかし、実際の経済指標が改善してくれば、インフレ懸念が高まって、長期金利も徐々に上昇してくるでしょう。
米ドル相場は米国の長期金利の動きに非常に敏感ですから、そのときは本格的に米ドルが上昇してくるのではないかと考えています。
■米ドル高でも円安でも、米ドル/円のロングが一番安心
株式市場が安定しているということであれば、それに伴う円安という展開は期待できるわけで、これまでも説明しているとおり、米ドル高になっても円安になっても安心という、米ドル/円のロングポジションは一番安定感があるのではないでしょうか。
ただ、一気に上昇するとは考えておらず、110円を目指し、そこが固まってくると111円というように、徐々に動いてくると予測しています。
【参考記事】
●米長期金利が比較的堅調なのに米ドル全体の動きがさえず、円安が進んでいるのはなぜ?(4月30日、今井雅人)
(出所:TradingView)
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