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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

暗号資産暴落は全体相場に波及するのか?
チャート形状のいいユーロ/円、133円台は売り

2021年05月24日(月)15:34公開 (2021年05月24日(月)15:34更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■仮想通貨暴落! 「テスラ裏切り」の理由は?

暗号資産(仮想通貨)が暴落しましたね。


4月につけた史上最高値から最大50%の暴落です。

【参考記事】
ビットコイン暴落を示唆していたビットコイン・ドミナンスとは? 2017年バブルと同じ「40%」!
豪州の経済予想は、今後上ブレがほぼ確実と言えるワケは? 豪ドル/円の押し目買い継続(5月17日、西原宏一&大橋ひろこ)

ビットコイン/円 日足
ビットコイン/円 日足チャート

(出所:TradingView

ビットコインはもともと、リバタリアン(自由至上主義者)の通貨。


政府・中銀のように、防衛してくれる主体が不在です。


上がるときは果てしなく上がるものの、下がるときには果てしなく下がる


そういうものだという覚悟が必要ですね。

暴落の理由はどう考えますか?

2017年バブルは「結局、実用性がないじゃないか」ということで終了しましたが、今回の暴落もきっかけは同様。


テスラがビットコイン決済を停止したことですし、イーロン・マスクがマイニングの環境負荷を懸念したことも影響しているのでしょう。

イーロン・マスクは週末、「法定通貨との戦いで暗号資産を支持する」と好意的なツイートをしましたが、反応は限定的です。

株主とのコンフリクト(摩擦)が生じているのかもしれません。


イーロン・マスクがビットコインの象徴のように扱われているため、ビットコインが下げるとテスラ株も下げてしまう


株主は不安定な状況を好みません

テスラCEOのイーロン・マスク氏写真

ビットコイン暴落には、テスラがビットコイン決済を停止したこと、イーロン・マスクがマイニングの環境負荷を懸念したことも影響しているのだろう。イーロン・マスクがビットコインの象徴のように扱われているため、ビットコインが下げるとテスラ株も下げてしまう… (C)Getty Images

■「デジタル・ゴールド」=OK、「デジタル通貨」=NG

中国からも圧力が高まっているのか、一部の政府機関がテスラ車の乗り入れを禁止するとの報道が出ています。

中国がマイニングなど暗号資産への規制を再強化したのも、対テスラの思惑があるのかもしれません。


米国も暗号資産送金の規制を強化しましたし、「デジタル・ゴールド」としては認めても「デジタル通貨」としては認めたくないのでしょう。

暴落時には一部の大手取引所でシステムがダウンしました。


株やFXであれば大問題ですよね。

逃げたいのに逃げられない、というのは怖いですね。

■暗号資産暴落は全体相場に波及するか

ここからの焦点としては、暗号資産の暴落が全体相場へと波及するのかどうか、ですね。

今朝(5月24日朝)の日経平均も下げるかと思ったのですが、前場は上昇。ピントがずれているように感じます。ただ、米国株が崩れたときには影響が大きくなる懸念もあります。

日経平均 15分足
日経平均 15分足チャート

(出所:TradingView

年金機関などが買い支えているのかもしれませんね。

本来なら暗号資産での損失をカバーするため、株なり、カナダドルなり、木材なり、儲かっているものを利食って、安全資産に戻そうとするのが基本です。

銅や小麦、大豆、それに鉄鉱石なども軟調


中国当局から「行き過ぎた投機が商品価格を押し上げた」、「商品に関して異常な取引を検査する」とのコメントが出ていることも関係しているのでしょう。


上昇トレンドが崩れたというほどではありませんが、嫌な感じのチャートになりつつあります。


リスク資産をキャッシュに戻す動きが出るのなら、為替市場では資源国通貨買いが一服、米ドル高となるのでしょうか。

株価が崩れてリスクオフとなれば、米ドル高でしょうね。

【参考記事】
材木相場、暗号資産が調整局面入り…。株の下落誘引なら、リスクオフ要警戒!(5月20日、西原宏一)

■ECB総裁「利回り上昇を注意深く監視」

先週、5月19日(水)に発表された4月FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録では、複数の理事がテーパリング開始時期に言及していましたが、それでも米長期金利は上がりません。1.7%が重いですね。


暗号資産から抜けたマネーが、静かに米国債を買っているのでは…とも想像したくなりますが。

【参考記事】
正常な市場の反応は長続きしなさそう。米ドル/円の押し目買いが一番安全か(5月20日、今井雅人)

米長期金利(米10年債利回り) 日足
米長期金利(米10年債利回り) 日足チャート

(出所:TradingView

3月に上げすぎたことの調整でしょう。早ければ夏、遅くとも秋には再び上がってくると見ています。


今週(5月24日~)は主要インフレ指標である米PCEコアデフレーターが5月28日(金)に発表


米CPIもサプライズな上昇となりましたから、注目ですね。

【参考記事】
FRBのインフレ容認は米ドル安容認と同義。来月の米CPIが強ければ、米ドルはどう動く?(5月19日、志摩力男)
失業手当の充実が、悪い雇用統計の原因か。より実態を反映しているのは強い米CPI(5月13日、今井雅人)

今週の戦略ですが、ビットコイン暴落の影響を見極めないと、リスクを取りづらいですね。

株価指数も売ってみたいですが、今朝の日経平均で出鼻をくじかれましたね。


気になるのが、ラガルドECB(欧州中央銀行)総裁のコメント


「最近の利回り上昇を認識、注意深く監視している」と発言し、ユーロの上値を抑えています


リスクオフの米ドル高となるなら、ユーロ/米ドルの売りでいいのですが、売り目線でチャート形状がいいのはユーロ/円。133円台は売っていいのでは…と思います。

ユーロ/円 日足
ユーロ/円 日足チャート

(出所:TradingView

(構成/ミドルマン・高城泰)

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