ニュージーランドでサプライズ。量的緩和を今週停止へ
先週(7月12日~)驚いたのが、RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])の政策発表です。
量的緩和の一環として行っていた資産買い入れプログラムを今週23日(金)までに終了する、と発表しました。
ニュージーランドは福岡県程度の経済規模ですし、インフレへの警戒感が強い。
通貨安によるインフレ加速を嫌気して、早期に利上げしたいのだと思います。
金利先物市場では11月の利上げだけでなく、8月の利上げも織り込みつつあります。
そのわりにニュージーランドドルは買われませんね。
金利先物市場と違って、為替市場ではまだ、2回の利上げを織り込んでいないようです。
利上げに向けて動き出したニュージーランドドルは買い方向でいいのでしょう。
(出所:TradingView)
株式市場はまた再び「バブルへGO!」か
今朝(7月19日朝)、日経平均の前場は一時500円を超える値下がりとなり、200日移動平均線を下抜け。
米10年債利回りも1.28%台まで低下しました。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
3月の1.7%台からここまで下げるのは驚きでしたが、年内は1.2%から1.5%台で右往左往するのでしょうか。
この感じだと、株価はまた「バブルへGO!」で上がっていくのかなというイメージです。
【参考記事】
●米長期金利が低下している要因を総点検。自然反発すれば、1.40~1.50%程度までの戻りは想定できる(7月15日、志摩力男)
●なぜ、米10年債利回りは上昇しないのか? 米金利低下時の、米ドル/円上昇は難しい(7月8日、西原宏一)
●米利上げは時間の問題なのに、米雇用統計で米金利が低下したのはなぜ?(7月5日、西原宏一&大橋ひろこ)
なぜですか?
投資家は早期テーパリングを警戒し、リスク資産をキャッシュへと戻していました。
ところが、「米10年債利回りが2%を当面超えないだろう」との認識が広がれば、待機資金が株式市場へとジワジワ戻ってくるためです。
日銀、外債購入の静かなサプライズ
今週(7月19日~)は22日(木)にECB(欧州中央銀行)理事会を控えています。
ECBは今月8日(木)、すでにインフレ目標を2%に引き上げて、2%を超えるオーバーシュートを容認する姿勢を発表済みです。
今回はフォワードガイダンスが修正される見込みですが、発表済みの内容を超えるような変更がないかぎり、ユーロが売られる余地は限られそうです。
先週、7月16日(金)の日銀金融政策決定会合では、前回のコラムでも話題にしたとおり、気候変動への取り組みとしてグリーン債の購入を発表しましたね。
【参考記事】
●ドル/円は戻り売りでよさそう。107円台などに突入すればドテン買いも考えるが、短期的には売り目線(7月12日、西原宏一&大橋ひろこ)
びっくりしたのが、外貨建てのグリーン国債を購入する方針を示したこと。
日銀による外債購入は、過去にも話題となりながらも見送られてきた経緯があります。
規模感などの詳細はまだ発表されていませんが、こうもあっさり外債購入が決まるとは。
これだけで考えれば円安要因ですが、市場のテーマは米国のテーパリング開始時期に集中しており、市場関係者も注目していないようです……。
【参考記事】
●ドル買いを基本にしながらも、細かいトレードのほうが上手くいきそう。市場は米国の本格的な景気回復を、完全には信用していない(7月15日、今井雅人)
OPECプラスでは減産協議が合意。材料出尽くしからか、原油価格は下落
コモディティ市場では、OPECプラス(※)の減産協議がやっと合意しましたね。
(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)
【参考記事】
●ドル/円は戻り売りでよさそう。107円台などに突入すればドテン買いも考えるが、短期的には売り目線(7月12日、西原宏一&大橋ひろこ)
●米利上げは時間の問題なのに、米雇用統計で米金利が低下したのはなぜ?(7月5日、西原宏一&大橋ひろこ)
減産の規模を縮小し、来年(2022年)4月が期限だった協調減産を、5月以降も継続することでまとまりました。
材料出尽くしから投機マネーの利食い売りが入っているのか、このニュースでWTI原油は1%超の値下がりとなっています。
このところ豪ドルやカナダドルなどが弱いのは、原油安も影響しているのかもしれませんね。
大きめの調整になるようだと、リスクオフ気味に動くかもしれません。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
中期的には株高だろうと思うのですが、ただ、その前に市場がグラっとする可能性もありますね。
そこでは、株やコモディティ通貨を買っていいのではと思っています。
8月利上げ濃厚なニュージーランドドルを押し目買い
ニュージーランドドルのアノマリーを見ると、8月は下げやすいんですよね。
8月は豪ドルもよくないですね。
利上げを控えるニュージーランドドルですが、実際に利上げすると「セル・ザ・ファクト」的に売られるのかもしれません。
今週はいよいよ東京オリンピックが開幕します。
日本は木曜日(7月22日)から4連休となりますから、東京市場の時間帯で流動性が低下するかもしれません。
いずれにせよ、今週は8月利上げがまだ織り込まれていないニュージーランドドルを、対円で押し目買いしていきたいと思います。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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