ニュージーランドの利上げ報道、リークと考えるのが自然
東京都は今日(7月12日)から4回目の緊急事態宣言入りですね。
緊急事態宣言を発出するなら、追加財政政策があってしかるべきと思うのですが……。
同意です。
何らかの補償が必要だと思いますし、このままだと菅政権の先行きが心配になりますね。
為替市場では先週(7月5日~)、ニュージーランドの民間銀行が11月の利上げ予想を出して、ニュージーランドドルが買われる場面がありました。
(出所:TradingView)
1行ではなく2行が同時に発表したということは、何らかのリークがあったと考えるのが自然ですね。
米金利は上がっても「潰される」
ただ、ニュージーランドドルの上昇は続かず、反落しています。これはどう見ますか?
(出所:TradingView)
米金利低下の影響でしょう。
米10年債利回りは先週、1.43%から1.25%まで急落し、ニュージーランドの10年債利回りも急落しました。
米金利が下がってしまうと、他国の金利も下がってしまうというのを再確認した動きでしたね。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
米金利を差し置いて上がれない、ということですね。
ニュージーランドも、2年債など短期の金利は上がっているんですけどね。
米10年債利回りは2018年10月の3.2594%と、2020年3月の0.3137%で引いたフィボナッチ・リトレースメントの50%が1.7866%となります。
今年(2021年)4月の米金利上昇でも、この50%ラインを超えられませんでした。
世界のどこも金利がない状態ですから、米金利が急騰すると、日本の機関投資家をはじめ世界のマネーが一斉に米国債へなだれ込む。
そのため、米金利が潰されてしまうんです。
米金利が「潰される」、つまり米金利が低下してしまう、ということですね。
(出所:TradingView)
この状態は今年いっぱいくらい続くものの、来年(2022年)には2%、3%へと上昇が加速していくのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
日銀会合、新たな資金供給策の骨子を固める見通し
米金利を占う意味では、明日7月13日(火)発表の米CPI、それに7月14日(水)、7月15日(木)に予定されるパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言は注目ですね。
7月16日(金)には、欧州でもCPIが発表されます。
先週、ECB(欧州中央銀行)はインフレターゲットをこれまでの2%弱から2%へと変更しました。
一時的な上ブレを容認する姿勢は、FRBや日銀と同様です。
ドイツのCPIはすでに2%に達しているため、早期引き締め論が台頭することへの牽制的な意味合いもあると思われます。
7月16日(金)には日銀金融政策決定会合もありますね。おそらく無風でしょうが。
6月の会合では、気候変動に対応するための資金供給策の導入を決定しました。今回の会合で骨子を固める予定です。
為替市場への影響は限定的だとは思いますが……。
米ドル/円は米金利が調整中で、テクニカル面でも週足がきれいに調整を示唆しています。
中長期的なロング目線は変わりませんが、短期的にはショート目線ですね。
(出所:TradingView)
米ドル/円の戻り売りでよさそう。短期的には売り目線
豪ドル/円やニュージーランドドル/円など、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)もチャート形状が悪化していますね。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
この対談でも何度か話したように、コモディティ価格が調整局面入りしていることもあるのでしょう。
底堅さを保っている鉄鉱石が下がれば、豪ドルを下押しすることにもなるため、注目しています。
【参考記事】
●欧米の半期末、ロンドンフィックスに要注意! ロングがたまっているユーロ/ドルを戻り売り(6月28日、西原宏一&大橋ひろこ)
●タカ派転換のFRBは「市場との対話」に失敗。鉄鉱石が崩れれば、豪ドルは一段安へ(6月21日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:TradingView)
先週も話題にしたOPECプラス(※)の協調減産協議ですが、いまだ合意に至っておらず、協議も中断されたままです。
一方で米国の需要は強く、需給はかなりタイトになっています。
去年3月に起きたサウジアラビアの「逆ギレ増産」のようなことがないかぎり、原油暴落の可能性は低そうです。
今週の戦略はどう考えますか?
(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)
【参考記事】
●米利上げは時間の問題なのに、米雇用統計で米金利が低下したのはなぜ?(7月5日、西原宏一&大橋ひろこ)
●原油暴落はなぜ米経済を悪化させるのか? サウジ増産は米シェール企業潰しが目的!?(2020年3月11日、志摩力男)
●米ドル/円、95円が現実的なターゲットに!? 新型コロナに減産協議決裂…リスク満載!(2020年3月9日、西原宏一&大橋ひろこ)
米ドル/円の戻り売りでいいのでしょう。
中長期ではロング目線なので、107円台などに突入すればドテン買いも考えますが、短期的には売り目線です。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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