中国人民元の上昇が、米ドル安の原動力に。コントロールされた人民元が1日で0.8%動くのは驚き!
話題にする人があまりいませんが、昨日(10月19日)、中国人民元が上昇しました。対米ドルで6.4270元前後から6.3700元前後へと米ドル安・中国人民元高が進んだので、約0.8%程度の動きですが、基本的に中国人民銀行によりコントロールされ、あまり動かないマーケットなので、この0.8%の動きは驚きです。
(出所:TradingView)
昨日(10月19日)、豪ドル/米ドルやニュージーランドドル/米ドルといったアジア通貨をはじめ、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルなどでも米ドル安が進みましたが、原動力は中国人民元の上昇です。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足)
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市場が中国人民元安を見込む中、なぜ上昇したのか? そのカギは資源価格上昇にアリ!?
中国は、中国恒大集団に代表される不動産市況の問題や、エネルギー政策の混乱からくる停電等があり、先日発表された7-9月期GDPも+4.9%と市場予想の+5.2%を下回るなど問題を抱えているように見えます。
よって、多くの市場参加者は中国人民元安を見込んでいました。しかし、実際に起こったことは中国人民元の上昇です。
(出所:TradingView)
管理されている市場という点を考えると、習近平政権は通貨安(中国人民元安)による景気刺激ではなく、資源価格上昇に対応して通貨(中国人民元)を高めに誘導したということです。予想されていた金融緩和も見送っています。
もしかすると、習近平政権は経済の見通しを見誤っているのかもしれません。電力不足で停電するということは、計算ミスがあるのでしょう。しかし、通貨高(中国人民元高)を選択できるというのは、輸出競争力に不安がないということ、そして、今後も起こりうる資源価格の上昇に対応することが重要だと考えているのでしょう。
米国のメディアを見ても、少し前までは金融緩和を辛抱強く続けたFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長を褒め称えていましたが、手のひらを返したように、インフレが問題であり、なぜこのインフレが見抜けなかったのかと罵倒されています。
米国のメディアはここにきて、なぜこのインフレが見抜けなかったのかとパウエルFRB議長を罵倒しているという (C)Bloomberg/GettyImages
英国は慌てふためいて利上げに動く。ニュージーランドは1.25%程度まで連続利上げが確定的
英国も慌てふためいて利上げに動こうとしています。少し前まで、利上げは早くて来年(2022年)半ばぐらいとの予想でしたが、4%超のインフレ率にベイリー総裁は「行動する」と発言し、来月(11月)の利上げが確実視されています。
資源国の代表であるノルウェーは9月23日(木)に利上げしました。ニュージーランドも10月6日(水)に利上げしました。
特にニュージーランドは、最近コロナ感染が拡大し、引き締めペースが緩みましたが、先日発表された7-9月期CPIが対前期比で+2.2%!と、すごい数字になっています。年率だと何%になるのでしょうか。
次の金融政策会合は11月24日(水)ですが、0.5%の利上げが予想されています。来年(2022年)に向けて、1.25%程度まで連続利上げすることが確定的です。
(各種データよりメルマガ事業部が作成)
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利上げに向かう世界と超金融緩和を続ける日本。円売りは今後も続くことになる
そうした中、日本だけはインフレ率が上がってきません。内需の弱さが顕著です。世界各国が利上げに向かう中、日本は2%のインフレ目標目指して、超金融緩和政策継続なのでしょう。
利上げに向かう世界、金融緩和を続ける日本、あまりにもコントラストが明確なので、円売りの動きは今後も続くことになると思います。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
最終的にはかなりの円安になると考えています。今年(2021年)2月4日(木)に公開した当コラムに書いた考えに変わりはありません。
【参考記事】
●円の上昇力に陰り! アベノミクス開始時の予想どおりなら、将来米ドル/円は150円か(2月4日、志摩力男)
しかしながら、一部のクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)はあまりにも上昇しました。ニュージーランドドル/円は、10月6日(水)安値76.66円から、10月20日(水)に一時82.23円まで上昇していて、2週間で7.2%も上昇しましたが、短期的にはやりすぎの感じもあります。目先の調整に注意しつつ、円安トレンドに乗っていきたいところでしょう。
(出所:TradingView)
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