2021年のマーケット、最大のサプライズは「インフレの復活」
今年(2021年)のマーケット、最大のサプライズは「インフレの復活」でしょう。
インフレを警告する人はいました。代表的な人は、元米財務官ローレンス・サマーズ氏でしょう。また債券市場関係者の中にも何人もいました。
しかし、我々はもう何年もインフレというものを体験したことがありません。2%のインフレ目標を達成できず、苦労してきたのがこの十数年ぐらいのマーケットの歴史です。
そのため、インフレが来る条件が揃っていたとしても、本当にインフレになるのか確信が持てなかったというのが正直なところでしょう。
【参考記事】
●米ドル/円はトランプラリー高値118.68円が意識される展開へ。日本に突然インフレが襲ってきたら、その時、円はどう動く?(10月13日、志摩力男)
また、マーケットがインフレ率が上昇するということを正しく予測できていたとしても、それで利益を得ることができたかというと、難しかったと思います。
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インフレ復活と金利は上昇しない、2つの予想を正確にするのは困難
通常は米国債をショート(売り)にします。今年(2021年)1月に米ジョージア州上院選挙で民主党の上院掌握が確定し、トリプルブルーが実現したあとの1月から3月にかけての金利上昇局面は、米国債ショートで儲けたプレーヤーはかなりいたと思います。
【参考記事】
●「トリプルブルー」実現は、かなり濃厚!2021年初頭も株高・米ドル安の動きか(1月6日、志摩力男)
しかし、9月ごろからの米金利上昇局面では、1.7%水準で上昇が止まってしまい、むしろ米国債ショートで損失を被った人の方が多かったと思います。
(出所:TradingView)
つまり、「インフレ復活」を予想しつつ、それでも「金利は上昇しない」という2つを正確に予想しなければならなかった……ということで、これは非常に難度が高かった。
しかし、12月のCPI(消費者物価指数)が前年比6.8%上昇で、成長率もそれなりにある米国において、長期金利が上昇しないのは異様です。1.4%台の長期債を買っても損失が確定するだけなのに、誰が買っているのでしょうか。
それはわかりませんが、かつて海外勢が売っても売っても国内機関投資家の買いにショートカバーを余儀なくされたJGB(日本国債)マーケットを彷彿とさせます。
今は日銀によるYCC(※イールドカーブ・コントロール)で一切動かなくなりましたが、かつては海外勢の格好の投機手段でした。一時的に、JGB売りでかなり儲かるのですが、本邦機関投資家の買いに最終的にショートスクイーズされるので、JGBは“Widow Maker”(未亡人産出装置)と呼ばれました。
(※イールドカーブ・コントロールとは、中央銀行が国債の利回りを一定の水準以下に保つために必要なだけ国債を購入することを約束するもの)
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米金融当局は、他の中銀以上にタカ派。予想は難しいが、最終的に米ドルは上昇するか
さて、本日(日本時間16日未明)、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が公表されます。
・テーパリング(※)加速
・インフレは一時的と言う文言削除
(※「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
この2つは決定的でしょう。問題はドットチャートですが、2022年の利上げ予想が2回が主流なのか、3回なのか、そこが焦点とされています。
しかし、金融政策引き締めへの明確なシフトが行われることになるのですが、それで米長期債の金利が上昇するのかどうか、そこは難しい。一応は、テーパリング加速に敬意を表し、金利は少し上昇すると思います。しかし、その結果、米ドルは上昇するかというと、そこも怪しいところがあります。
年末という時期的なこともあり、今回のFOMCで米ドルがどのように動くか予想し難いところがありますが、バイデン政権の意向を受けて、金融引き締めに動く米金融当局は、いつの間にか他の中銀以上にタカ派です。最終的に米ドルは上昇するものと考えたい。
特に、金融引き締めにかなり遠いところにある「円」に対しては、まだじり高でしょうか。
(出所:TradingView)
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