ファイザー発言でオミクロン相場は終幕へ
先週(12月6日~)、ゲームチェンジャーとなったのがファイザーCEOの発言。
「3回目の接種を受ければ、オミクロン株に対する防御効果が高まるだろう」と話したことで、市場はリスクオン的な動きとなりましたね。
【参考記事】
●米ドル/円は、年内に114円をしっかり抜けて115円台を目指すか。12/14~15に開催される、今年最後のFOMCが大きな注目材料に!(12月9日、今井雅人)
先々週(11月29日~)には、モデルナCEOがワクチン効果に懐疑的な発言をして、リスクオフ的になりましたが、市場が待っていたのはファイザーの見解。
それがOKとなったのですから、リスクテイクが進むのは当然ともいえます。
オミクロン相場はこれでいったん終了、でしょう。
世界的に見ても死者数が増えているわけではないですし、デルタ株から致死性の低いオミクロン株へ置き換わることでコロナ相場自体、終焉に向かっているのかもしれませんね。
そうなれば、来年(2022年)は人流も戻り、新たな技術が花開く1年となる可能性もありそうです。
RBA会合をきっかけに、豪ドルがトレンド転換へ
金曜日(12月10日)に発表された米CPI(消費者物価指数)はどう見ましたか?
発表直前になってバイデン米大統領が「金曜発表のインフレデータは最近のエネルギー価格の下落を反映していないだろう」と発言したことで、強い数字になるのではとの観測が広まりました。
ところが、結果は事前予想とほぼ同じ、6.8%(前年同月比)です。
39年ぶりの高水準ではありましたが、インフレ期待が高まりすぎましたね。
米長期金利(米10年債利回り)も、発表直後から急落しています。
(出所:TradingView)
個人的に先週、注目だったのはRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])の会合。
金融政策の変更はありませんでしたが、ロウ総裁はインフレ圧力を明確に否定しませんでした。
これにより早期の利上げ期待が高まり、RBA会合後の豪ドルは一本調子に上昇しました。
「2022年5月に利上げ開始、年内3回の利上げ」とのコンセンサスが固まりつつあります。
【参考記事】
●【2022年の注目通貨は?】カナダドルへの注目度は高い。しかし、市場心理が一変した豪ドルの、上昇スピードが加速する可能性も!(12月9日、西原宏一)
(出所:TradingView)
中銀会合ウィーク、FOMCは材料出尽くしに要注意
今週(12月13日~)は中銀会合ウィーク。
12月15日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)を筆頭に、中銀会合が続きますね。
先週の米CPIのように、事前の織り込みや発言によっても変わるため、決め打ちせず慎重に判断していきたいですね。
FOMCではテーパリングの加速がほぼ織り込まれています。
ドットチャートにも注目ですが、事前のコンセンサスほどタカ派的でなければ、材料出尽くしで米長期金利が下がる可能性もありそう。
仮にそうなれば、年内の株式相場では短期的なラリーもあるかもしれませんね。
オミクロンリスクも払拭されましたし、その可能性は十分にあるでしょう。
翌日(12月16日)のECB(欧州中央銀行)理事会での焦点は、来年3月に期限が迫っているPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)をどうするか。
PEPPに代わって、通常の量的緩和を拡充するのでは…との予想も出ていますし、いずれにせよ、ハト派的な会合になりそうな雲行きですから、それと反対に、インフレへの警戒感が強調されたり、タカ派的な発言が出てくると、ユーロが上がるリスクもありそうです。
(出所:TradingView)
ECBと同じく、12月16日(木)にはBOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])の会合もありますね。
前回は、利上げが確実視されながら、まさかの据え置き。
「信頼できないボーイフレンド」との世評どおりになりました。
【参考記事】
●豪ドル高トレンドは、いったん終了。ただし、豪ドル/円や米ドル/円が中期的に上昇するとの予想は変わらず。押し目があれば買い!(11月8日、西原宏一&大橋ひろこ)
今回は据え置きがコンセンサスですから、利上げすれば英ポンドは急騰するでしょうし、ECBと同じくリスクとしてはタカ派方向ですね。
(出所:TradingView)
トルコには「エルドアン大統領の体調リスク」
12月17日(金)には日銀金融政策決定会合もありますが、大きな動きはないでしょう。
主要中銀の政策発表が続きますから、1国だけで判断せず、総合的に見ていきたいですね。
トルコでも政策金利が発表されます。
トルコリラは史上最安値を更新していますが、利上げを憎んでいるがごときエルドアン大統領ですから、利上げはないでしょう。
気になるのは、その体調。
G20(20か国・地域首脳会合)でも足元がふらつく場面が報道されましたし、がんを患っているとの憶測も出ています。
突然の入院や手術、最悪の場合も想定しておいたほうがいいかもしれません。
想定したくないリスクですが、もしエルドアン大統領死去のヘッドラインが流れたら、トルコリラは吹き上
想定したくないリスクだが、もしエルドアン大統領死去のヘッドラインが流れたら、トルコリラは吹き上
2021年相場は実質、今週まで
一連の中銀会合が終わると、年内はほぼ終了、ですね。
欧米勢は今週いっぱいで取引を終えて、クリスマス休暇へ。
戻ってくるのは、12月27日(月)からの週でしょう。
今週の戦略はどう考えますか?
それぞれの中銀の動きを見ながらとはなりますが、基本的にはリスクオンに期待して、豪ドル/円やカナダドル/円の押し目買いを中心に考えていこうと思います。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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