昨日の注目はアメリカのCPIだった。CPIの本体部分はプラス0.5%で、コア部分はプラス0.6%だった。いずれも事前の予想をやや上回ったが、それほども大きくそれたわけではない。ジャスト予想通りと言うわけではないが、想定の範囲内のレベルだった。
そもそもCPIはPPIに比べて3ヶ月ほどの遅効性があるとされているので、すでに過去に出てしまったPPIからある程度の傾向はつかめる。だからCPIではドラスティックに反応しないのが、これまでのマーケットの見方であった。それが今回は必要以上に注目を集めてしまったのは、パウエル議長の姿勢の硬化に伴う利上げペースの確認のためだ。
しかしCPIの結果がどのように市場に受け止められるかは、解釈は人によってそれぞれだ。CPIの数値自体がそれほど上がらなかったことをもって物価上昇は頭を打ったという見方もあれば、高止まっているだけで下げ傾向に転じていないとする見方。どちらの観点を重視するかは今後しばらくの市場での消化具合を確かめていくしかなさそうだ。
昨日のマーケットではインフレ高進についてやや楽観的なほうに傾いたようだ。ドル金利は大きくはないが低下し、それを好感して株高も進んだ。そして為替相場では今年最大の値幅をもってドル安が進んだ。
ドル相場は金融政策のタイトニングとともに底堅いものだと考えられていただけに、ドル円が114円台のミドルまで差し込んだのを見せられるとビックリ感を隠しきれない。またユーロドルも下方向しか見ていなかったので、1.14台というのはちょっと驚きだ。
ドル売りはニューヨーク時間を通じて断続的に起こった。ドルが下がる過程では、引っかかるポイントはなかったように見える。私は昨日は早めに寝てしまっていたので、ドル売り参戦はできなかったのだが、相場を見ていたからと言って果たしてドル売りで向かっていけたかどうか。
さて今晩はPPIである。これが落ち着きを示すと、昨日のような利上げモードの過度の織り込みを是正するような展開となろう。ドル金利も明確に低下するとなれば、ドル円も112円台くらいまでの沈み込みは覚悟しないといけないのかもしれない。
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