FOMC「先送り」で株価ショックの懸念高まる
先週(1月24日~)開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)では、3月の利上げが示唆され、テーパリングも3月上旬終了、バランスシートの縮小は年央以降となりました。
ほぼ事前の予想どおりでしたが、市場ではタカ派的と受け止める向きもありましたね。
【参考記事】
●NZドル/円の下値余地が、大幅に拡大中!ナスダックの調整幅がさらに広がれば、NZドル/円は60円に向けて続落の可能性も(1月27日、西原宏一)
個人的には、もっとホーキッシュ(タカ派的)でもよかったのではと思います。
CPI(消費者物価指数)は7%と、FRB(米連邦準備制度理事会)が目標とする2%から遠く離れています。
なぜ利上げを3月まで待たないといけないんですか?と。
1月に利上げしてもよかったのでは、ということですね。
株価を見ると、先週のナスダック市場は週足が陽線で終わったものの乱高下。
主要な米国株価指数はいずれも200日移動平均線を割り込んでいます。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
FRBが利上げやQT(量的引き締め)を先送りすればするほど、株価が暴落する懸念が高まるだけなのですが……。
FRBの対応の遅れを市場が嫌気する可能性が高まりますよね。
市場軽視内閣で「岸田禍」の造語も
ショックはいきなり来るよりも、先週のように高値圏で乱高下してから襲ってくることが多い。
先週のFOMCによって、株価急落への懸念はさらに高まったと考えていますが、問題は為替ですね。
FOMC終了後、米ドル/円は115円台まで戻しています。
(出所:TradingView)
米利上げによる米ドル高と、リスクオフの円高が入れ替わりながら、今年(2022年)は進むのかもしれません。
岸田政権が株式市場を軽視していることもあり、今すぐではないですが、日本銀行もいずれ利上げへと動く可能性が出てきたことも円高材料です。
ツイッターでは、コロナ禍をもじった「岸田禍」との造語が生まれたり、岸田ショックで損をした人は、億り人ならぬ「岸り人」と呼ばれたり、市場関係者や個人投資家からの評価は芳しくないですね。
高まるウクライナリスク、そのとき市場は
ウクライナ情勢も気がかりです。
新月の2月1日(火)を狙って、夜間の作戦行動が行なわれるのでは、など憶測も飛んでいますが、タイミングはともかくリスクが高まっているのは事実です。
ウクライナで有事が起これば、市場はどう反応するでしょうか。
初動では、安全資産であるゴールドや米国債が買われそうですね。
リスクオフですから株式市場は下がり、円、次いで米ドルは買われるのでしょう。
ロシアに制裁が課されれば、ロシアから欧州へ送られている天然ガス供給が止まるリスクから、高騰するという警戒も出ています。
ロシアは小麦、ウクライナはコーンの大生産国でもあることから、小麦、コーンなど穀物価格も上昇基調に入っています。
今年は年初、2つの流れを想定していました。
ひとつが米利上げによる株価下落、もうひとつがインフレ、特に原油高によるカナダドルの上昇です。
株価下落は想定どおりでしたし、原油も堅調ですが、カナダドルは思ったほど上がらない。
原油が上がっても、株価下落によるリスクオフのインパクトのほうが強いためです。
(出所:TradingView)
豪州は利上げに動くも、注目はナスダック
今週(1月31日~)は、資源国である豪州の金融政策発表が2月1日(火)に控えていますね。
利上げについて何らかの示唆があるかもしれません。
市場は春先以降の利上げを織り込み始めていますが、利上げ期待で豪ドルが反発したとしても、重要なのはナスダック。
米国株の下落基調が続くかぎり、豪ドルが上昇したとしても一時的な反発に終わるのでしょう。
今週はBOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])やECB(欧州中央銀行)の政策発表もあります。
BOEは利上げに動くとの予想がコンセンサス。
米国ではISM景況指数や雇用統計も発表されます。
FRBがインフレ退治に動き出したことで、市場はインフレが持続的なのか沈静化しつつあるのか確認する意味で、ISMの価格指数や雇用統計の平均賃金など、インフレ関連指標に敏感に反応しそうです。
今週の戦略はどう考えますか?
米国株下落によるリスクオフは続くのでしょうし、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)、特に反発余地の限られたニュージーランドドル/円の売りでいいのでしょう。
【参考記事】
●NZドル/円の下値余地が、大幅に拡大中!ナスダックの調整幅がさらに広がれば、NZドル/円は60円に向けて続落の可能性も(1月27日、西原宏一)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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