日銀に利上げ報道。その意図は?
明日1月18日(火)の日銀金融政策決定会合への注目度が高まっています。
きっかけは1月14日(金)に出た、日銀は物価上昇率が2%に達する前に利上げする可能性について議論する、とのロイター報道。
このニュースが出た直後には、円高が進みました。
西原さんはどう考えますか?
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昨年(2021年)までは、主要国が総じて低金利で据え置きでしたが、今年(2022年)は変化が出てきそうですね。
それにともない、為替のボラティリティが上がるだろうとの予測も出ています。
ただ、日銀についてはマーケットが先走りし過ぎている感も。
元・日銀審議委員の方も早速レポートを出していましたし、何らかの耳打ちやリークがあったのかもしれませんね。
有料メルマガ「トレード戦略指令!」で配信したように、JPモルガンが算出する円の実質実効レートは50年来の安値水準にあり、円安への警戒感が出ているのはたしかです。
日銀については、今後も引き締め方向の憶測やリーク記事が出てくるでしょう。
織り込みに行っては何も出ずに失望する、といった展開が増えるかもしれませんね。
トンガ噴火、金融市場への影響は
週末、トンガでは大噴火がありました。まだ被害状況も判然としませんね。
被災された方は大変気の毒です。ご無事だといいのですが……。
1991年に起きたピナトゥボ噴火では、米が大凶作となり、日本政府はタイ米を輸入しました。
ただ、この「平成の米騒動」が起きたのは、噴火の2年後。影響がすぐ出るとはかぎりません。
地理的に近いのはニュージーランド、そして豪州ですが、為替市場にどのような影響が出るのかは現状、未知数な部分が多い。
今回は南半球での災害ですから、コロンビアのコーヒー、ブラジルの大豆などへの影響も考えられます。
南米産大豆に頼っているのが中国。もし、大豆が凶作となれば、食料インフレが起きます。
カザフスタンの大規模デモは、燃料価格の上昇がきっかけだったように、食料価格の上昇も政治不安を引き起こしかねません。
ニュージーランドは乳製品が主力ですが、代替乳製品に置き換わっていく大きな潮流があり、そこへきて牧草地で降灰に見舞われるなど、噴火の影響が加われば、経済的な打撃となりそうです。
無事を祈りながら、今後の報道を待ちたいですね。
【参考記事】
●ニュージーランドドル/円はなぜ、原油価格との連動性が高いのか?
ドットコムバブル崩壊と同じ道をたどるのか
経済指標では先週、米小売売上高が前月比1.9%の減少となり、予想を大きく下回りました。
半導体不足から、デジタルガジェットが品薄で買えなかったとの話もあります。
【参考記事】
●強気予想が続く半導体業界の注目銘柄をCFDで取引してみよう!
モノ不足でしたから、2021年10月、11月に前倒しで購入していたとの観測もありますが、ミシガン大学消費者マインド指数も10年ぶりの低水準となりました。
消費者マインドも悪化しているのは気がかりですね。
インフレがピークを打ったとの見方も出ていました。
とはいえ、7%のインフレを前にすれば、利上げせざるを得ませんし、市場が織り込むように、年内4回の利上げが行われれば、株価も下がらざるを得ないでしょう。
とくに、グロース株は米長期金利(米10年債利回り)上昇に弱いですから、ナスダック市場は不安ですね。
2000年のドットコムバブルは、利上げをきっかけにして崩壊しました。同じようなことが起きかねません。
米利上げ初動に見られる米ドル/円の特徴
今週の戦略はどう考えますか?
株価下落に相関するのは、豪ドル/円です。
また、過去の例を見ると、米ドル/円も米利上げの初動で売られやすい傾向があります。
利上げ開始時点より半年から1年ほどは売られ、その後、米長期金利とともに上昇していく傾向です。
ここから考えると、3月の利上げ開始からしばらく米ドル/円は弱く、今年のコンセンサスである円安が進むのは、秋以降ということになります。
豪ドル/円か米ドル/円の戻り売りでいいのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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