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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

【2022年の見通し】ユーロ/米ドルは1.18ドルを
ターゲットとする予想も。ECBタカ派転換の
サプライズが起きれば、ユーロは大きく上昇へ

2021年12月27日(月)16:16公開 (2021年12月27日(月)16:16更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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欧州では天然ガスが最高値を更新

クリスマス休暇の中、先週(12月20日~)の米国株は上がりました。


11月からの下落はオミクロンショックとも言われましたが、タックスロス・セリング(年度末の節税売り)だったようですね。

NYダウ 日足
NYダウ 日足チャート

(出所:TradingView

そうであれば、欧米勢が戻ってくる今週(12月27日~)からは「January Effect(1月効果)」で上がるということになりますね。

コモディティで話題となっているのが、欧州の天然ガス価格高騰


欧州での天然ガス価格の指標となる「オランダTTF」は過去最高値を更新しており、原油価格に換算すると300ドル台に達しています。

ドイツを苦しませる「三重苦」

ロシアが欧州向けの天然ガスを止めている、という話ですね。

ロシアの意図はまだ判然としないのですが、ウクライナ情勢も絡んでいるようです。


それに加えて、ドイツはフランスから電力を購入しているのですが、フランスの原子力発電所4基が技術的な問題で操業を停止


ドイツでは風況が悪く、風力発電の効率も悪化


三重苦が天然ガスを高騰させたようです。

天然ガス高騰と聞くと、買いたくなるのが豪ドル


豪州の天然ガスはアジア向けが多いのですが、資源国通貨にはポジティブな材料となります。


また、IEA(国際エネルギー機関)は来年(2022年)の石炭需要が過去最高になるとの見通しを示しました。


脱カーボンに逆行しますが、中国やインドでの需要増が主な原因だそうです。


中期的に見ても、資源国通貨はやはり強いのではないでしょうか。

【参考記事】
豪ドルには、年に1度の「イージーマーケット」のチャンスがまだある! 天然ガスで格差が鮮明な豪ドルは、対ユーロで買い方向!(10月4日、西原宏一&大橋ひろこ)
豪ドル/円は、8月20日がターニングポイント! 「脱炭素」を追い風に、底堅くなる豪ドル/円を押し目買い!(9月27日、西原宏一&大橋ひろこ)

市場の注目戦略は米ドル/カナダドルの売り

今回は年内最後の更新ということで、来年の見通しについても話しておきましょうか。

大手銀行などは、米ドル/カナダドルの売りに注目しているようです。


エネルギー価格の高騰もあり、1.20カナダドルを大きく割り込んで、カナダドル高が進むと見られています。


一部では1.12カナダドルとのターゲットも出ています。

米ドル/カナダドル 週足
米ドル/カナダドル 週足チャート

(出所:TradingView

西原さんご自身の予想は?

近年の為替市場の特徴は、プライス・イン(織り込み)の速さです。


経済指標や金融政策などの予想が出た瞬間に織り込んでしまい、動きが続きません。


カナダは来年4回の利上げが予想されていますが、利上げ観測が少しでも後退すればむしろ売られるリスクもある。


その意味で、同じ資源国通貨でも、利上げがまだ織り込まれていない豪ドルを選択したいと思います。

【参考記事】
【2022年の見通し】2022年も豪ドルに注目! 鉄鉱石の反発は、中国経済復活の兆しか? 豪ドルは主要通貨に対し、大きく上昇しそう(12月23日、西原宏一)

2%インフレ達成で日銀は出口の議論へ?

円についてはいかがでしょうか。


菅政権で大きく下がった携帯料金は、物価の抑制圧力となりました。


実際、携帯料金を除いたCPI(消費者物価指数)はすでに前年比2%を超えている、との試算もあります。


携帯料金値下げの影響が薄れてくる2022年3月以降、CPIが2%を超えてくる可能性もありそう。


そうなると、日銀では金融緩和の出口が議題に上がってくるかもしれません。

米ドル/円については米ドル高・円安予想が多く、その根拠とされるのは米利上げ


ところが、米5年債利回りも米10年債利回り(米長期金利)金利はさっぱり上がりません

米5年債利回り&米10年債利回り(米長期金利) 日足
米5年債利回り&米10年債利回り(米長期金利) 日足

(出所:TradingView

米利上げで米ドル高と言っても、「上がりそう」という織り込みの段階が一番反応しやすく、実際に利上げしてもそれほど上がらない傾向がありますね。


意外と来年は、1米ドル=110円を割るような場面があるかもしれませんね。

インフレ高進でECBにタカ派転換のリスク

もうひとつ注目したいのがユーロ


ドイツの11月CPIは6%(前年比)まで達しており、さらに足もとでは天然ガスが暴騰しています。


インフレ圧力により、ECBがタカ派に転換するサプライズも一部では話題に


このサプライズが起きれば、ユーロは大きく上昇するのでしょう。

インフレの高進リスクが高まっていますし、私も今すぐではないですが、ユーロは買い目線です。

ユーロ/米ドルは来年(2022年)が1.18ドルまで、2025年には1.30ドルをターゲットにする予想も出ています。


今すぐ買うわけではありませんが、来年のどこかでユーロ買いとなる場面が出てくるのでしょう。

ユーロ/米ドル 週足
ユーロ/米ドル 週足チャート

(出所:TradingView

来週の更新はお休みとなり、新年は1月10日(月)からの更新となります(※)。


お正月の為替市場は1月3日(月)から。


日本勢がお休みとなるためフラッシュ・クラッシュを警戒する声も出ています。


念のため警戒したいですね。

(※編集部注:2022年1月10日(月)は祝日のため、ザイFX!サイト上の当コーナーでは記事公開をいたしません。西原宏一さんの有料メルマガ「トレード戦略指令!」では1月10日(月)の祝日も西原宏一さん&大橋ひろこさんによる「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」を配信予定ですので、ぜひ、「トレード戦略指令!」の購読をご検討ください)

【参考記事】
欧米のクリスマスイブは祝日? 取引所は休場? 2021年末~2022年のクリスマスや年末年始にFXの取引時間が変則的にならない理由とは?
日本のFX投資家による円売りは過去最大。年末年始のフラッシュ・クラッシュに注意! 米ドル/円かNZドル/円の売りが良さそう(12月20日、西原宏一&大橋ひろこ)

今年1年もありがとうございました。


来年もどうぞよろしくお願いします!

(構成/ミドルマン・高城泰)

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