「よもや」のECB理事会でユーロ高!
ユーロが為替市場の主役に躍り出ました。
2月3日(木)のECB(欧州中央銀行)理事会では、ラガルド総裁が年内利上げの可能性を排除せず、年内利上げ観測が急浮上するとともにユーロ高へ。
西原さんは、ECB理事会直前にユーロ/米ドルをロングにしていました。すごいタイミングですね。

(出所:TradingView)
ECBのタカ派転換も頭の片隅にありましたが、基本はテクニカルです。
ファンダメンタルズは「あとからついてくればいい」と。
ECB理事会と同じ日には、BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])の金融政策発表もありました。
BOEは予想どおりに0.25%の利上げを決定。
メンバー9人中4人が0.5%利上げを主張するなど、タカ派的な内容でした。
BOEと比べるとわかりやすいのですが、利上げが織り込まれていたBOEと違い、ECBは「よもや」のタカ派転換。
そのため、タカ派同士の通貨ペアですが、ユーロ/英ポンドは急騰しました。
「よもや」のサプライズがあったかどうかの違いです。

(出所:TradingView)
次の「よもや」候補は日銀!?
事前にどれだけ織り込まれていたか、ということですね。
次に「よもや」があるとすれば、円でしょうか。
日本の長期金利(10年債利回り)は先週、0.2%を超える場面もありましたが、日銀の若田部副総裁はゼロから上下0.25%の範囲内であれば問題ないと発言しています。

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米長期金利が1.9%を超えてきました。
米国株は反発していますが、日本を除く主要中銀が一斉にタカ派へ転じる中では、やはり崩れるやすいのでしょう。

(出所:TradingView)
ドイツの長期金利も急騰しています。
先月末にマイナス圏からプラス圏へ転じると、先週にはもう日本の0.2%を上回る水準まで上がってきました。

(出所:TradingView)
足もとの金利上昇に対して、ラガルド総裁がどう話すのか。
今夜(2月7日夜)24時45分からの講演が注目ですね。
市場では9月利上げとの見通しも台頭していますが、いったんは冷やすコメントも出るかもしれませんね。

足もとの金利上昇に対して、ラガルドECB総裁がどう話すのか、今夜24時45分からの講演が注目。市場では9月利上げとの見通しも台頭しているが、いったんは冷やすコメントも出るかもしれない (C)Visual China Group/Getty Images
ECBはユーロ高を容認するか
昨年末(2021年末)時点での2022年のコンセンサスのひとつに「原油高でカナダドル上昇」というものがありました。
実際に原油は強いのですが、カナダドルは思ったほど上がらない。
むしろ、物価上昇という形でユーロを押し上げています。
ユーロ高になると、以前ならECB高官が牽制発言で市場を冷ましましたが、インフレ抑制のためならば、あえてユーロ高を誘導する可能性すらあるのかもしれません。
【参考記事】
●反発余地が限られているニュージーランドドル/円を売り。米利上げによる米ドル高と、リスクオフの円高が入れ替わり進む展開か(1月31日、西原宏一&大橋ひろこ)
ユーロ圏のCPI(消費者物価指数)は5%を超えています。
少なくとも、ユーロ高を牽制するようなことは言いにくいですよね。
ラガルド総裁は今回、年内利上げを否定しないだけでしたが、どこかの時点で年内利上げを明言するのでしょう。
それまでは、ユーロの買われやすい地合いが続きそうです。
100ドルに近づくWTI原油
ウクライナ情勢はいかがですか?
ウクライナでの武力衝突を、ユーロの下落材料と見る向きもあります。
ウクライナで有事となれば、リスクオフの円買いでユーロ/円が下落することはあっても、ユーロにそこまで大きな影響があるだろうか、とも思いますね。
WTI原油は先週93ドルまで上昇し、100ドルの大台が近づいてきました。
ウクライナの地政学リスクに加え、寒波の影響で、テキサス州などでは生産障害が起きていることも影響しているようです。

(出所:TradingView)
不思議なのは、ウクライナ国境が緊迫しても、天然ガスの価格が高騰しないこと。
昨年末には欧州で天然ガス価格が暴騰したのですが、今は落ち着いています。

(出所:TradingView)
基本はユーロ/米ドルだが、ユーロクロスでのユーロ買いもよさそう
トルコでは、ウクライナの大統領と会談した直後のエルドアン大統領が、オミクロン株に感染したようです。
症状は軽いとのことですが、容態が気になりますね。
今週(2月7日~)の経済指標では、2月10日(木)に米CPIが発表されます。
インフレ関連の指標は注目ですね。
いずれにせよ、先週のECB理事会はゲームチェンジャーとなる可能性があります。
今週もユーロ買いでいいのでしょう。
通貨ペアは何を選びますか?
基本はユーロ/米ドルですが、米長期金利も1.9%まで上昇していますから、対ニュージーランドドルや対英ポンドなど、ユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)でのユーロ買いでもいいでしょう。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 日足)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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