金融市場の関心事はウクライナ一色に
FX市場を含む金融市場は、通常時は各国の金融政策に影響を受けて動くことが多いです。
しかし、他に何か重大な事件などが起きると、関心事がそちらに一時的に移ってしまい、金融政策など無視してしまうことがよくあります。
世界的な紛争など、いわゆる有事といわれるものがその典型的な例です。最近は地政学リスクという言い方もします。
現在のマーケット状況は、その最たるものです。
ウクライナにロシアが軍事侵攻する可能性が高くなったという報道をきっかけに、金融市場の関心事はウクライナ一色になっています。
【為替ニュース】ドル円、115.55円まで急落 露がウクライナ侵攻決定かとの報道でリスクオフ高まる
— ザイFX! (@ZAiFX) February 11, 2022
ドル円やクロス円は急落。「プーチン露大統領がウクライナに侵攻することを決定」との一部報道が伝わると米国株の急落とともに為替市場ではリスクオフの円高… #zaifx #fxhttps://t.co/ZmI2Taw15V
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プーチン大統領はNATO軍がロシアの領域近くにまで勢力を拡大することを警戒
ウクライナ情勢がどう展開していくのかを予想するは、専門家ですら困難です。
ロシアは、特にプーチン大統領は、ウクライナがもともとソ連の一部であったことを忘れていません。
そして、NATO(北大西洋条約機構)軍がロシアの領域近くにまで勢力を拡大するということに警戒心を持っています。
もともと、ベルリンの壁が崩壊して東西ドイツが統一する際、NATOはそれ以上東には勢力を伸ばさないという合意が米国とあったと言われています。
しかし、それ以降、東ヨーロッパ諸国が次々とNATOに加盟したことが、ロシアにとっては屈辱であったともいわれています。
そういう中で、プーチン大統領は欧米諸国に、NATOの東方拡大前の1997年時点まで軍事配備を戻すことや、ロシア国境周辺に攻撃的兵器を配備しないことなどを求めています。
ロシアと欧米諸国の綱引きが長期間に渡って続く可能性が高い
しかし、この要求は欧米諸国にとってはとても吞めるようなものではないことは明らかです。
現在、双方とも協議したい意向は示していますが、出口が簡単に見つかるはずがありません。
ロシア側とて、実際に軍事侵攻することにはかなりのリスクが生じます。
ウクライナはNATOに所属していないので、欧米諸国がウクライナに軍隊を送るのは難しいのではないかと私は考えていますが、非常に厳しい経済制裁をロシアに対して課すことは間違いありません。
そして、その制裁は相当ロシア経済にダメージを与えるであろうことは、プーチン大統領も分かっているはずです。
こうした状況ですので、双方引けないなかで、綱引きが長期間に渡って続く可能性が高いということが予想されるわけです。
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出てくる情報に振り回されて、特に円相場が乱高下することに。短期間で逃げる姿勢が大切
ここ1週間をみても、ロシアが軍隊を本部に撤退させているという報道で、緊張緩和期待から株高、円安に戻ったとおもいきや、また違う情報が出てきるという状況が続き、直近で言えば、バイデン米大統領が「ロシアによるウクライナ侵攻の可能性が非常に高い。ロシアのプーチン大統領と話す予定はない」と語ったと報じられています。
おそらく、このように情報が目まぐるしく変わる局面がこれからも続きます。
出てくる情報に振り回されて、株式市場も乱高下するでしょうし、FX市場でも、特に円相場が乱高下することになるでしょう。
こういうときは、あまり大きなポジションを取らないことです。
そして、1つの情報の影響は長続きせず、また逆の情報が出てくるだろうと思いながら、短期間で逃げる、こういう姿勢が大切です。
どちらかに決めつけでトレードをしないようにしてください。
(出所:TradingView)
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